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音楽教室を運営するために必要なこと

「子どもにピアノを習わせたいんだけど、、、」

そうお声掛けをいただいてから、もう3年が終わろうとしています。

たった2人の生徒さんからはじめた「出張ピアノ教室」。いまでは、28人の会員数になりました。

初めは、ピアノなら多少弾けるし、時間に余裕のある今なら、数人であれば教えられるかな、なんて軽く考えていたのですが、いざ教室を運営してみると、大変なことだらけ。あの時こうしておけばよかった...。そんな私の失敗談と運営のヒントをざっくり書きたいと思います。

今日のトピックは「教える力」です。


教室開設の前に持っておきたいもの

それは、すばり「教える力」です。

音大卒の人間が教室を始めると初めにぶつかるのがこの「教える力」。

今まで、演奏研究を中心にしてきた人間が、ただ単にピアノが上手に弾けるからという理由で教室を開設した場合、まずうまくいかないでしょう。他人よりも上手く弾ける自負や優越感は、教室運営にはかえって障害になることがあります。

 「教える」ことと、「演奏する」ことは、全く別物だということです。

考えてみれば、今まで私たちは「教えられる側の人間」だったのです。 「教えられる側の人間」は、知識の吸収は得意であっても、「教える側の人間」、すなわち、他人に知識を分け与えることは得意ではないはずです。すぐ転身できるはずもありません。

音大のピアノレッスンは、与えられた課題に対して自分で向き合い、さらに深めようと師匠のレッスンを受ける。教室では、そのレッスンに対する基本姿勢は変わりませんが、教室に来る相手はほどんどが子どもです。ましてや、初めて習う子どもが、初めから音大生と同じようなレッスンを受けて、自分の課題に向き合えるわけがないのです。宿題ね、と課題を出しても、練習してくるわけがないのです。

「ピアノって楽しい!」「こんな曲が弾けるようになりたい!」「もっと弾きたい!」

こんな感情が生徒に芽生えるような指導と、自ら学ぼうとする姿勢を養う意図的な「段取り」が非常に重要なのです。


<レッスン実施におけるポイント>

☆わかりやすく伝えられるか

どの年齢の生徒(子ども、大人)にも、噛み砕いて、わかりやすく伝えられるかどうか。言葉の使い方、言い方、相手の心に響く言葉かけができるかどうか。その言葉や資料によって、想像・イメージできることが「わかりやすい」の近道のような気がします。

☆教材研究に没頭できるか

使う教材や曲の弾きづらいところや、こども一人では越えられない壁、乗り越えさせたい箇所などをきちんと把握しているかどうか。その箇所に対してどんな言葉を使って、どんな教材を使って教えるか、指導法や手段を用意しているか。

☆努力を強要して、生徒が嫌になるレッスンになっていないか

「練習しないと上手にならないよ」「宿題なんでやってないの?」などの冷たい言葉かけ、消化しきれないくらいの課題を出す、何度もしつこく練習させる、などなど。本来なら、これは「義務ではない学び」なのだから、自分から楽しく学べるように、初めの手ほどきをするのが私たちピアノ講師の仕事なのではないかと思うのです。

☆できないことばかりを指摘・否定していないか

 音の間違い、リズムの間違い、弾けていないことなど「間違ったこと」を指摘したくなります。しかし、当然のことを言っているのに、生徒には「否定された」と解釈されてしまいます。当然、否定ばかりする先生の言うことは聞かなくなります。そして、最後にはトラウマに。

私が一番気を付けているのは、「ユーモア・ポジティブ」「3つ否定したら6つ承認する」このバランスです。

☆生徒の立場や気持ちを瞬時に察知できるか

 その日によって生徒さんの様子も変わります。「今日は疲れているのかな」「眠いのかな」「家庭でなにかあったかな」「今日はやけに元気だな」など、細かな状態を察知できるかどうか。これが、レッスンの質を上げるポイントにもなります。人間、調子の悪い時に詰め込んで学んでも、効果はほとんどありません。だらだらするくらいなら早めに切り上げる、嫌いな曲、苦手な箇所は長時間弾かせず気分転換を図って切り替えるなどの、「その場の状況判断」も非常に大事だと思います。


おまけ

教える」ことと、「演奏する」ことは、全く別物を教えてくれた生徒たち

「音楽で食べていくにはどうしたらいいか」。この問いに行き着いた先が「音楽教師」でした。その時は、「自分は音楽が得意だから」「歌えるし、弾けるし、いけるよね」なんて甘く考えていました。しかし、授業は空振り。何をやっても生徒の心は動かなかった苦い経験があります。「先生の授業、つまんねぇ」「何が面白いの?」「今日の授業の目的は何だったの?」「別に音楽なんて、どーでもいくね?」「先生が演奏上手いのはわかるけど、だから何なの?」など、反応は様々。横向く生徒を何とか振り向かせたくて必死に頑張った教材研究や指導法研究、それによる子どもたちの反応が、今となっては私の宝物です。少しでも、音楽教室運営をされている方の力になれればと思っています。

次回もお楽しみに(≧▽≦)




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