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10. 大学院生のサバイバル状況(お金の問題)

頻繁に話題になる大学と大学院、ひいては国の研究について。

特にここでは奨学金について、少しだけ院生の現状を記しておきたいと思います。

関係ない人もぜひ読んでください。
「苦学生の院生がこの状態で本当に良いのですか?」
と私は問いかけたいです。

最初にー悩んでいる院生へ(自分へ)

もし孤独に戦っている人がいたら、話なら聞けますし、知っていることならお話しします。
研究の費用に関しては私もかなり苦悩していますが、
とにかく院生の場合は、奨学金と研究助成についても目を光らせてください
自分の周りの様子で判断しないでください。
どの奨学金にも、どの研究助成にも言えることですが、「諦め」で申請しないのはもったいないです。
特に周囲に採用者がいない、相談できる人がいない、促されもしない、優秀だと思っていない、、、そういう周囲の環境で諦めないでください

何度でも言います。
応募条件さえクリアしていれば、誰でも応募資格はあります。

ここまで強く言うのは、私自体が「どうせ周りが何も話していないからやっても無駄なのかも」「奨学金なんで成績優秀の選ばれた人だけがもらうもの」と思っていたからです。
その後、応募しはじめて、いろんな先生、いろんな院生と話して、その考えが変わりました。本来の奨学金は優秀者だけを選ぶべきではないということ、そして自分が奨学金や研究助成の応募条件にしっかり当てはまっていたことに気付きました。(=周囲からの圧や思い込みがむしろ間違っていたのです、、、)。

結構あると思うんですが、今の日本の現状では院生にはもともと家庭環境の多かった人の割合が増えるように思います。正式なデータはないのですが、私はかなり生きにくいです。
実家が一軒家だとか、
本棚がバーっとしっかりあるだとか、
簡単に海外に資料調査に行っていたりだとか、
実は学費は全部親が払っているとか、
すごく小さいところで感じていることは多いです。
(大抵貧しい方だけ気付くんですよねこういうの)

何度も言いますが、日本のこの環境で、安定して収入がない人が研究するのはかなり酷です。これば現実です。
夢とかやる気とかがあれば困難も乗り越えられる、とかいう現実味のない話で済ませて欲しくないです。

味方を作って

なので、現状でも研究したい人がもしいたら、同じような家庭環境や収入の辛さでもやっていけている人を味方につけてください。

これは私が後悔している、自分がもう一度やり直す際の、1つの改善点です。
もちろん協力してくださった先輩もいました。特に下に説明する院生の業績返還免除については、「どうせ自分なんか」と諦めていましたが、先輩が背中を押してくれました。
その先輩自体も本来だったらあまり関わりのない他分野の先輩だったりします。
研究助成の申請書を見てくれたのも、他分野の先生だったりします。
なので、狭い場所で思い悩まないでください

※もちろん大学院の閉鎖的環境が仇となり、様々な研究の道が途絶えてしまう現在の大学院のあり方に賛成は全くしていません。
ゼミの中心にいる先生方により、特に研究助成が優遇されると言う噂もまだ聞いたことがありますし、そういった情報自体が入らないゼミもあると思います。

長くなってしまって申し訳ないのですが、悩んでいる人は本当に多いと思うので、記しておきました。


大前提として気にしておいて欲しいこと。

とりあえずなんですが、まず苦学生だと思っている院生(あるいはこれからなる人)は、奨学金や研究助成を探し尽くしましょう。この理由としては、第一に、自分の費用のやりくり=研究計画にほぼ等しいから。 (裕福なら何にも言いません、あと文系の方が直結して影響を受ける印象です)第二に、申請書を書いたり必要な書類を集めるには相当精神的に苦痛になるから。(備えておこうという感じ)第三に、表面上の制度説明だけでは「思っていたのと違った」ということがよくあるから。

大学によって様々な奨学金制度を用意しています。
この「様々」とは多いと言っているわけではなく、
独自のシステムでの奨学金が多い(あるいは授業料免除)ということです。
なので、研究したい場合は学費を調べるとともに奨学金について、
特に「どのような審査基準」で、「何人ぐらい採用されるのか」
また「採用時期」まで知っておくと安心です。
あとは、いくつか外部に応募したりする場合もそうですが、これまでの採用者、採用人数や分野を見ておきましょう。サイトで公表しているところはしています。院生がどの程度採用されているのかで、モチベにもなったりします。また落ちた時に「どうせ倍率10倍とかだし」と傷になりにくいです。
研究助成は准教授以上の人ばっかり採用されているものもあるので、それらは優勢順位は下にしたりして。
知っている採用者がいれば(知っていなくても連絡先を入手できるのであれば)、申請書類を見せてもらいましょう

財団の奨学金

あちこち(と言っても枠が足りているということではないです)の財団で奨学金の情報が出ています。辛いかもしれませんが、条件に合うものを探しましょう。
常に気にしていなければならなかったりしますし、
良さそうなものが
「大学1年生限定」とか、
「分野限定」とか、
「特定の地域出身者限定」とか、
自分が対象から外されているものはかなり多くあると思います。

私もいろんな通知が来るたびに確認していますが、採用できそうな物なんて、5つあるかどうかだったりします。また、学内の推薦が必要な場合もあり、その場合大学内で先に選考を行うこともあります。情報は見逃さないでください。

いざ応募しようと思っても面倒だよね

いざ応募!と思ってもですよ。どの申請書にも大体両親の収入証明とか、
自分の成績表だとか、学士修士の終了証明書だとか、確定申告書類だとか、
本当にもう叫びたくなる(私は泣いた)ほど、書類があります。
特に私が精神的に辛かったのは、応募書類の記入するところで…
研究内容ならまだ良いのですが、「学業以外に頑張っていること」を書かないといけなかったりするんです、、
もうなんか、いろんな概念定義崩壊してしまって、いつもその部分は提出ギリギリに目を瞑りながら書いていました。
研究がしたいのに、それ以外のことアピール…したくないな。
「研究中心に生きている」と書いたものもあった気がしますが、それ多分落ちてます。
ごめんなさい、あちこち応募しすぎて(ほとんど不採用だったので)、記憶から抹消されかかっています。
本当に毎回毎回400円とかする課税非課税証明書や成績証明書を財団ごとに3、4枚提出しなきゃいけない、
書留で送るので送料も馬鹿にならないし、
奨学金と研究助成の応募でどれだけお金使ったのかなって思いますね笑。

国の貸与奨学金制度に業績返還免除があるっていうけど

細かいものは私も追えていませんが、私自身は第一種貸与奨学金(JASSO)を修士からかりています。利子のない貸与奨学金です。既に修士の奨学金は半額免除となり、返済しなければならない金額は決まっています。大学院に入ってからの特徴としては、①大学院生本人の収入で申請ができること②研究業績で返還額を減らす(全額か半額)ことができる可能性が稀にあるということ(皮肉)、③院生なのでかりれる額は高め、あたりがメリットか?と、思います。

ただしメリットと言いつつ、制度時代はデメリットの方を私はいつも考えています。
この奨学金には私はまだまだ色々改善点があると思っています。

その理由としては、
①貸与終了年までの業績で院生同士で相対的に比較されて推薦枠を取り合うこと
→推薦されるためには大学にまず自分の業績をまとめたものを提出し、大学の推薦枠を得る必要があります。ここでまずふるいにかけられてしまうのです。

②私の1つ下の学年から、申請に博論が重要視(というか芸術系以外は必須?)されるようになった。
→特に修士博士と標準年限で終えないことが珍しくない研究科もあるので、これではかなり申請に不利になってしまったのではと危惧しています。

③文系の院生の業績が出始めるのは、理系よりも遅く、標準年限で区切り業績勝負させるのは無理があること。

④私の場合ですが、両親が高齢で親族にも若い人がおらず、保証人を立てられなかったために機関保証制度を利用したため、実際の貸与額から一定額天引きされてしまっていること。
→これは以前に全て機関保証にするという案が出て問題になっていたことにもつながりますね。

あと、業績免除の推薦の割合、3割なんですよ。3割。この3割りの中で半額か全額。

はあ、なーんで院生は新しい給付奨学金制度、対象外なんだろう。

ああ、辛いね。

日本の奨学制度についてはいろんな問題や制度の細かい変化があるので、全てを網羅して追うことは難しいと思います。
自分のやれる範囲でトライしていくしかないと思います。
同時に、研究科の指導に当たる先生方には、ある程度自身の分野に対応している奨学制度や研究助成制度について、一律で知識を得て欲しいなと、私は思っています。
「良い大学や良い先生につくこと=そのような支援制度への応募のバックアップが強い」と考えられそうですが、
私自身は家庭環境というか親の収入が少ない方なので、研究にその家庭環境の影響が出るようなことはまず無くすようにするべきだと思っていて、
そのための最低限の斡旋は教授や大学がするべきではないかな、と思います。

あちこちの大学院生と話していると、研究上の当然のことがバラバラなので、
少し考えを書き留めてみました。
いろいろ応募して、外部の奨学金と研究助成、1つずつ通ってはいますし、アルバイトを色々続けたおかげで、今学内の給与制度と、外部の業務委託で働いたりして、とりあえずこのコロナを耐えています。

私が最終的に良くなっても、(来年から奨学金もなくなってどうなるか不明ですが)、今後の院生が同じような苦労をするべきだと私は思いません。


良い研究環境で、研究に没頭できる人が増えることを祈っています。

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