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市民オペラに参加するということ 14

休憩後は「愛の妙薬」から離れる。なにやら翌春に、またコンサートだかなんだかに出るのだそうだ。そしてそこでは、先日の合唱祭でやったのより、たくさんの曲を披露するのだと言う。「愛の妙薬」から2曲、そのほかに先日の合唱祭で歌った「乾杯の歌」および「行け、我が想いよ黄金の翼に乗って」、加えてオペラ「カルメン」から「ハバネラ」、オペラ「カヴァレリア・ルスティカーナ」から「オレンジの花香り」を歌うのだという。そのための練習をする。

はじめに歌ったのは「オレンジの花香り」だった。「カヴァレリア・ルスティカーナ」は見たことのあるオペラなので、この曲を少なくとも一度は聞いたことがあるはずなのだが、曲は知らなかった。でも会の人たちはみんなが歌えるようで、私はまたしても、初見で曲に付いて行かなくてはならなかった。仕方ないのでまた、初めは口パクで、音と歌詞をさらい、2回目以降から小さな声で歌う。そんなに難しい歌ではなかったので助かったが、苦難の連続だ。

次にやったのは「ハバネラ」。これは「カルメン」の中の曲なので問題なく歌える。でも先生から注文がつく。この歌は男を誘惑する歌なのだから、善良な市民みたいな歌い方をしてはいけない、舞台の上では違う人物を演じないと、とのこと。私は善良な市民なので、そういう要望には応えられないよ、と思ったが、せっかくなのでそれっぽい想像をしながら歌う。

「乾杯の歌」はこの間合唱祭で歌ったばかりだし、歌わなくていいわね、と言うことでスキップする。私にとっては全然歌わなくてよくないのだが、まあ次の本番までにはまだ時間があるし、今日やらないのは仕方ないだろう。

「行け、我が想いよ黄金の翼に乗って」も、この間合唱祭でやった曲だが、こっちは練習する。私はこの曲も、まだかろうじて歌えるというレベルでしかないので、練習してもらえるとありがたい。イタリア語の読みが怪しいところもまだある。この曲は音はそんなに難しくないが、表現はちょっと難しいので、練習すべきところは結構あるようで、何度か練習を繰り返す。だから、まだあやふやなところのある私にとっては助かった。

いろいろ練習しているうちに、あっという間に予定された時間が終わる。使った椅子を消毒して片付けて、窓を閉めて解散になる。練習に来るのは億劫だが、いざ歌うと楽しい。今日は喉の調子が少し悪かったのだが、歌ったらかえって改善した。年末年始を挟むので、練習はしばらく休みになる。休んでいる間に、きっとまた曲を忘れてしまうことだろう。まあそれはそれで仕方あるまい、と思いつつ、帰路に着く。なんだかんだ言っても、この状況下で合唱を再開できたのはよかった。

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