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大虎の泣く子も黙る小説小噺

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#北杜夫

#1 羽蟻のいる丘/北杜夫

北杜夫「羽蟻のいる丘」(新潮文庫『夜と霧の隅で』収録)

女の子がじっと土を見つめている。蟻がいるからだ。蟻の行列を見つめて遊んでいるところから、徐々に後ろのほうにいる男女へと話は向かっていく。女の子の母親と、色が黒く額が広いけむくじゃらの男の二人が何やら話をしていて、その会話が小説の核心である。男女の心理の機微がそこはかとなく穏やかな空気のなかに描かれている。終盤、男のある一言で突如しかし必然性

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