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カスタマーサクセスの青本を要約する~原則⑤ロイヤルティ構築に、もう個人間の関係はいらない

カスタマーサクセスを勉強しようと思ったときに、最も有名でおすすめされる本は「カスタマーサクセスの青本」だと思います。

しかし、このカスタマーサクセスの青本、翻訳のせいなのか少し内容がわかりにくいです。
実際のカスタマーサクセス業務を行っている方に向けて、本の内容を要約・解釈しわかりやすく表現する必要があります。
そこで、「カスタマーサクセス10の原則」の主要なものを取り上げ、カスタマーサクセスの現場で役に立つノウハウをお届けします。

▼カスタマーサクセス10の原則:解説記事をリンクでまとめております

ロイヤルティ構築に、もう個人間の関係はいらない

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顧客にとって手厚いサポートは、ハイタッチで全てのお客様に手取り足取りフォローすることが一番です。
しかし、社数、売上、LTV、人件費コストなど諸々を考えた場合、お客様全員に人的サポートを提供することが難しくなってきます。
「個人の関係はいらない」というよりは、「制約があり、すべての顧客に対して個人の関係は作れない」といった表現のほうが正しいように思えます。

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その場合、上記の図のように全顧客のLTVを出して、「高いLTVの顧客」と「低いLTVの顧客」でサポートレベルを調整する必要が出てきます。
ここで登場するのが、カスタマーサクセスではお馴染みの「テックタッチ・ロータッチ」モデルの話です。

テックタッチ・ロータッチでの顧客フォロー

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高いLTVのお客様に対しては売上が発生しているため人件費コストをかけてハイタッチのサポートが出来ますが、低いLTVのお客様に対しては残念ながら難しい場合があります。
そこで、低いLTVのお客様に対しては、顧客が何人増えても対応できるような仕組みづくりを行い、ツール活用などによって拡張可能なフォロー体制を築くべきです。

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ロータッチ・テックタッチの設計に関しては、主に3つの観点でカスタマーサクセスの青本に記載があります。
1つ目はコミュニケーション戦略。
2つ目は顧客同士の結びつけ。
3つ目がフィードバックループ。

これらは現場業務を進めるうえで最も知りたい内容だと思うのですが、カスタマーサクセスの青本には実はさらっとしか記載がなく・・・
そのため別情報で補う、ないし自身で考えていく必要があります。

テックタッチ・ロータッチ①:コミュニケーション戦略

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1つ目のコミュニケーション戦略に関しては、Gainsightが提唱しているフェーズ管理のモデルを参考に設計すると良いでしょう。
プリセールス(受注前)から始まり、オンボーディング→アダプション(利活用)→グロース(継続契約、契約拡大、利用拡大)の順番で顧客深耕していくモデルです。

具体的なイメージは、以前に書いたこちらの記事の「2.Salesforceのカスタマーサクセス全体像」にSalesforceの施策が確認できます。

オンラインの学習コンテンツ、ウェビナー、コミュニティなどを土台にしながら、定期的にメールやアンケートで顧客コミュニケーションを図るテックタッチ・ロータッチをされているのが分かります。

テックタッチ・ロータッチ②:顧客同士の結びつけ

「顧客同士の結びつけ」は、要はコミュニティ、ユーザー会など顧客同士が集う施策を指しています。
こちらは国内ではMarketoの取り組みが参考になります。

Marketoは毎年、Marketoユーザーの中でも積極的に製品の利活用をし、コミュニティでの貢献も高い顧客を表彰しています。
すごく良いなと思うCTAは、「Marketoチャンピオン」として顧客を讃えたページの中にある「Marketoチャンピオンが集うコミュニティへ」と誘導しているボタンです。

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この案内からはコミュニティの中に有識者がいる安心感がありますし、そのような有識者と繋がりたいというインセンティブも働きます。

またMarketoは「ユーザー分科会」として細かい業界や用途に区切って小規模のグループイベントを行っています。これも「同業界の○○さんがいる」という参加意欲に結びついています。

テックタッチ・ロータッチ③:フィードバックループ

フィードバックループとして最も好きな事例は、やはりSalesforceです。
Salesforceは「IdeaExchange」という仕組みで、ユーザーからほしい機能のアイデア投稿や投票、コメントを募ることで、製品改善のフィードバックをウェブ上で行う仕組みを作っています。

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こまでの投票システムを自社で作るのは難しいと思うのですが、メールツールやアンケートツールなど、ITツールを利用して意見を募る活動はロータッチ・テックタッチとして必須でしょう。

おわりに

お読みいただきありがとうございました。
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藤島 誓也:Twitterアカウント
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