見出し画像

2021年版カスタマーサクセス10の原則(Gainsight)から学ぶカスタマーサクセスの「今」

【あわせて読みたい!】
本記事で解説している「新・カスタマーサクセスの10の原則」について、
GainsightのCEOであるニック・メータさんと対談した内容をレポートにまとめました!ここでしか読めない特別な資料になっています。
本記事の内容をより深く理解していただくためにぜひご覧ください!

2021年に行われたSaaStr Annual 2021にて、GainsightのCEOであるニック・メータさんが「新・カスタマーサクセスの10の原則」を語る素晴らしいプレゼンテーションをされていました。
英語ではありますが、You Tubeで動画が公開されていますので、主要な部分を翻訳しながら解説をつけたいと思います。

PR:カスタマーサクセスのデジタル化・テックタッチ化ならopenpageを導入しましょう!

カスタマーサクセス10の原則とは?実は2013年の古い情報

カスタマーサクセス10の原則とは、2009年に創業され今やカスタマーサクセスベンダー米国首位であるGainsightが、2013年に発表したカスタマーサクセスの重要原則です。
「カスタマーサクセスの青本」にその内容が記載されています。

しかし、この「カスタマーサクセス10の原則」が発表されたのは2013年なので、今回のプレゼンテーションではもう内容が古くなってしまったとジョーク交じりに語っています。

画像3

「江南スタイルが流行った年ですよ?ずいぶん昔ですよね。ハハハ(笑)」

カスタマーサクセス10の原則を2021年版にリニューアル

そもそも、私もはじめて知ったのですが、このカスタマーサクセス10の原則はそもそも2013年当時SaaS企業は米国でもほとんど少ない状態だったため、10社程度の少ない企業の話をベースにして作っていたもののようでした。
おそらくアップデート出来ていなかったのはもどかしかったのでしょう。

そこで内容を刷新し、発表されたのが、下記の「カスタマーサクセス10の原則2021」です。1~10までの原則がすべて新しいものにアップデートされ、モダンなSaaS経営のノウハウが注入されているように思えました。以下に1つずつ紹介します。

画像2

「カスタマーサクセス原則 2021 ①カスタマーサクセスのあなたの会社のコアにしよう」

こちらのプレゼンでは、「カスタマーサクセスは大事だ」と口では言うけれど実態が伴っていないCEOについての困りごとについて紹介がされています。
これはどちらかといえばカスタマーサクセス担当よりはSaaS企業の経営者に向けたメッセージだと思いますが、カスタマーサクセスを実際に会社の業務の中核にしましょうという内容です。

「カスタマーサクセス原則 2021 ②セールスからCSまでが統合されたカスタマージャーニーを作ろう」

2013年版の原則では、「正しい顧客に販売しよう」でしたが、2021年版では、セールスからカスタマーサクセスに至るまでの全てのプロセスで、顧客に価値提供するという考え方が述べられています。
営業担当が顧客にビジネス目標を聞いておいて、SFAにろくに入力されず放置され、結局カスタマーサクセスが導入時に改めてヒアリングする・・・といったことは日常茶飯事に発生していると思うのですが、それではダメだということですね。
『セールスプロセス、オンボーディング、カスタマーサクセス、製品すべてが統合されていることが重要で、「今すぐには出来ない」と思うかもしれないが、哲学的にはできる』とニック・メータさんは訴えます。

「カスタマーサクセス原則 2021 ③単に顧客を維持するだけでなく、常により多くの価値を提供すること」

ニック・メータさんが反省するように言ってたのは、2013年版のカスタマーサクセス10の原則は顧客を維持することに表現の比重を置きすぎていたということです。結果、CSチームが営業担当者になるケースが多く発生していたのですが、彼はそうではないんだと話します。
「CSチームが営業担当者になるのではなく、CSチームがお客様に価値を提供し、より多くのお客様に支持されるようにすることが重要なのです」
「顧客は常により多くの価値を求めるため、単に維持するだけでは最終的には解約してしまうのです」

「カスタマーサクセス原則 2021 ④カスタマーサクセスには顧客からのコミットメントが必要」

この原則については、日本企業でカスタマーサクセス職をしている人も薄々気がついているのではないでしょうか。
カスタマーサクセスとは双方向のものなのです。最高のCSチームは、顧客をカスタマー・サクセス・プロセスに参加させ、その顧客と相互の成功プランと呼ぶものを作成しています。このようにしないと、負け戦になってしまいます。」

「カスタマーサクセス原則 2021 ⑤カスタマーサクセスOps(CSOps)に投資する」

カスタマーサクセス組織の規模がある一定数に達したら、単にCSMを雇うだけではなくCSオペレーション担当者が必要だと発表しています。
CSOpsの取り組みについては私が以前にnoteに書いた下記記事が参考になると思います。

「営業には営業担当者と営業業務担当者がいるように、プロセスを定義するための先行指標を理解するためにはカスタマー・サクセス・オペレーションが必要なのです」

「カスタマーサクセス原則 2021 ⑥スポンサー顧客の退職時のオペレーションを作る」

こちらの原則についても、日本企業でカスタマーサクセスを行っている方は「あるある」と共感するネタではないでしょうか。
熱心に導入してくれたご担当者様が退職してしまうと、ツールが解約されてしまうのです。

アメリカ人の56%が今年中に転職する予定だそうです。カスタマーサクセス担当ができることは、LinkedInのアップデートを受け取ったときや、自分が売った相手が会社を辞めたというメールを受け取ったときに、心を沈ませるだけではなく確固たるプロセスを持つべきです。新任の担当者にはギフトバスケットを贈るとか、本を贈るとか、資料を贈るとか。ミーティングを設定して、情報を送って、運用して、、、このようなステークホルダーの退職時のプロセスを設計し行うべきだと思います。」

「カスタマーサクセス原則 2021 ⑦プロダクトチームとカスタマーサクセスチームは「Best Friend Forever」親友になるべきだ」

ニック・メータさんは、「今日、ほとんどの企業ではそうなっていません。それは、両者の話す言葉が違うからですね。」と語ります。
私自身も、openpageのCEOの立場で、製品開発とカスタマーサクセスを横断してマネジメントをする中で感じたのですが、SaaS企業経営においては両者のコミュニケーションは非常に重要だと思いました。これは顧客と対面しているカスタマーサクセスが、VoC(顧客の声)の運び手となるからですね。

少し脱線するかもしれませんが、openpageでは製品開発とカスタマーサクセスのチーム連携が重要であると捉え、米国のカスタマーサクセスツールのVitallyを導入しました。(Vitallyについては下記記事を参照ください)

openpageの基本機能の利用状況をVitally側で全社・カテゴリ別・個社別で可視化し、オンボーディング状況や運用状況をプロダクト開発・カスタマーサクセスの両社共通のダッシュボードでチェックすることで、好ましい顧客体験が出来ているのかを見えるようにしています。

同じ指標や同じツールを意図的に部署横断で使うことで、両チームの業務理解や協力関係の醸成を図ることを意図しています。

「カスタマーサクセス原則 2021 ⑧プロダクトがタイムトゥバリューを加速させる」

最近、私が米国でよく聞くのは「プロダクト主導」という表現です。先日日本でも書籍が発売されたPLGの経営戦略は日本のSaaSベンチャー企業・ベンチャーキャピタルの間で話題になりつつあります。

ニック・メータさんは製品主導ではないカスタマーサクセスを、ちょっと古くなっていると話します。
今最も人気のあることのひとつは、製品を使ってお客様を案内することです。これはアドビの例ですが、製品のオンボーディングでお客様をガイドしています。これは当然のことで、誰もが何らかの方法で実施すべきことです。その方法はいろいろあります。製品自体はオンラインなのに、それをオフラインでやろうとするのは、ちょっと古いやり方です。」

PR:ここで宣伝ですが、弊社製品のopenpageは製品主導でオンラインのカスタマーサクセスが出来る方法の一つです。製品と会員データを連携し、違和感のない形でオンライン上でカスタマーサクセスをガイドするためのSaaSです。上記表現にドキッとした方はぜひ資料請求ください。

「カスタマーサクセス原則 2021 ⑨ネットレベニューリテンション(NRR)を深く理解する」

私がはじめて「NRR」という経営指標を見たとき、「またよくわかんないSaaSの指標が出てきたよ・・・」と本音では思ったものですが、中身は非常にシンプル。

同顧客の売上維持率のことで、契約した顧客に絞り前年と比べてどれだけ売上が伸びたか、今年の売上は前年の100%なのか、110%なのかを見るという指標です。昨年売上10億円→今年売上11億円であればNRR110%です。

なお、アメリカの上場SaaS企業のNRRの中央値は117%だそうです。これは毎年+17%成長しているということですね。

プレゼンの中では下記のスライドを用いて、NRRが大きくなるほど企業価値も大きく評価されることが紹介されています。

画像3

まぁこれは素人目で考えれば当たり前のような気もしておりまして、110%成長の企業と170%の企業であれば、それは後者のほうが高い時価総額が付くよな・・・というのは理解しやすいように思えます。
そしてこのNRRを牽引するのはカスタマーサクセスの契約維持や単価向上が起因するため、カスタマーサクセス部門も経営指標としてのNRRを意識するべきです。

「カスタマーサクセス原則 2021 ⑩カスタマーサクセスは指標ドリブンであるべき」

Gainsightは営利企業ですので、当然ながらこの発表でGainsightを買いたい!と思ってもらわなければならず・・・最後にちょっとポジショントークが見え隠れしたのですが、ラストの原則はカスタマーサクセスは指標ドリブンになろうというものです。
ここでは、弊社Gainsightのメンバーが作った指標の資料は素晴らしいよ!と投資家に褒められたカスタマーサクセス数値のGoogleスライドを紹介しています。これはネットで検索すると誰でもダウンロード出来るようになっています。カスタマーサクセスのデータを経営的にどう見せるか役立つものとなっています。(ただ、このデータを出すのにはGainsightのようなツール導入はほぼマストになるでしょう)

おわりに

お読みいただきありがとうございました。
もしよろしければ、記事のシェア・Twitterのフォローをお願いします。

※数社限定で、弊社テックタッチ製品のカスタマーサクセスクラウド「openpage」のトライアルを提供しております。ご興味がある方は製品フォームないしTwitterよりお問い合わせください。


藤島 誓也:Twitterアカウント
https://twitter.com/seiya_fujishima