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教育実習体験記Ⅰ「転倒」

さて今回から、教育実習の体験記を書いていく。
わずか3週間の実習であったが、あまりにも濃く、数年が経過した今でも昨日のことのように思い出せることばかりである。そのため、文章化したらどうなるのかワクワクしている。
書きたいことがいっぱいで支離滅裂かつ無駄に長い文章になるかもしれないが、大切な思い出+今後の教訓として残したいと思う。


ー実習開始30分前ー
私の実習は「転倒」と共に始まった。

実習初日、いよいよ始まる実習への楽しみと少しの不安を抱えながら、何年ぶりかの母校へと足を運ぶ…。とはいかず、私はひたすら走っていた。
スーツ姿にリュックを背負い、慣れないパンプスを履いて、シトシトと雨が降る中、学校へ向けて爆走していたのである。
時間に余裕を持って行動しないと不安に感じる性格なので、この日も余裕を持ってゆっくりと歩いていた。

しかし学校まで残り半分を切った時、腕時計をしていないことに気がついた。腕時計は大学での指導で必ず持って行くように言われていたし、スマホの使用は当然禁止のため、時間を把握するためになくてはならないものだ。正直戻ると間に合うか微妙な時間であったが、初日から忘れ物をしている実習生などあり得ないだろうという決断に至り、家まで取りに戻った。

何とか家まで戻り腕時計を手に入れたが、結果再スタートは爆走となり、事態は起こった。
登校して来た生徒で溢れかえる昇降口に見事なスライディングと共に登場したのだ。そう、盛大に転けたのである。パンプスの片方が頭上を吹っ飛んでいったのも視界で確認した。一瞬何が起こったのか分からなかったが、とりあえず起き上がりスーツが無事かどうかだけ確認した。幸い穴は開かなかったが、すぐにパンプスを求めて歩きだした。
その時、優しさに満ちた生徒の一人が「あっ、大丈夫ですか?歩けますか?」と後ろから声をかけてくれた。
心配してくれた生徒を無視するわけにはいかないが、恥ずかしさしかなかった私は「ごめんね!びっくりしたよね。ありがとう!!」と、でかい声でお礼を言いすぐさま立ち去った。

スーツは無事だったが、私の右膝にはそこそこのサイズ感の擦り傷が誕生していた。緊張感からか痛みはそれほど感じなかったが、後に悲劇が訪れる。


ー初日のこと①ー
その後何とか玄関口にたどり着き、実習生仲間と合流。
ちなみに実習仲間の腕に時計はなかった。(後で聞いたら「そっか、腕時計必要か!でも持ってないから買わなくちゃ。」と言われた。右膝がちょっと痛んだ。)
そして控え室に通され、簡単な今日一日の流れを聞き、指導教諭の先生が来るのを待った。
私の指導教諭は穏やかで、とても優しく面倒見の良い女性の先生だった。(これ以降この先生のことはサニーと記載する)

サニーと共に所属クラスに向かう途中、「どう、緊張してる?」と聞かれ、「緊張しかしてないです!」と答えたら、それはそれは上品な微笑みを返してくれた。

所属クラスに到着。
これから朝の会をするので、まずは後ろのドアから入り様子を見るように言われた。ついに、生徒たちとの初対面である。ドアを開けた瞬間視線が集まるかと思いきや、意外と普通。
もちろんチラチラ振り返る生徒もいたが、「何だこいつ」的な視線ではなく若干緊張しているような面持ちであった。
そっか、突然知らない人間が来たのだから、生徒だって緊張するか。私だけが緊張している訳ではないことに気づかされ一瞬ハッとしたのと、ちょっとだけ安心した。

サニーの一声で、朝の会がスタート。
連絡から歌練習、服装チェックと一通り進んでいき、いよいよ先生のお話の時間が来た。

「では皆さんお待ちかね、ういの先生に簡単に自己紹介をしてもらいましょうか。先生どうぞ前に。」

教室がシーンと静まる中、みんな落ち着いて聞いていてくれた。真剣に聞いてくれたのは嬉しかったが、「まずい、反応が薄すぎる。一番注目度が高い最初の挨拶で教室がほぼ無音ってまずくないか?」と焦ってもいた。あの時の笑顔は非常にぎこちないものだっただろう。

ところがどっこい、朝の会が終わり解散になると、これまでとは打って変わり生徒がたくさん寄ってきてくれた。
「部活は何やってたの?」
「先生、ごめんね。このクラス結構うるさいよ」
「この後何してるの?」
「はじめまして、今日からよろしくお願いします」

よかったー。警戒されてた訳ではなかったんだ。
何だか安心したし、「ういの先生」と初めて呼ばれたこの瞬間はとても嬉しかったことをよく覚えている。

喜びをかみしめていたその瞬間、
「もしかして、朝思いっきり転んでた人ですよね? すっごい驚いちゃいましたよ!大丈夫って言ってたけどあの後本当に歩けたんですか?」

はい、まさかの朝昇降口で声をかけてくれた心優しい生徒は、私の所属クラスの子だったことが判明。
恥ずかしさと驚きから、「ね!なんかパンプスとか飛んでて色々と派手な登場だったよね!全く勘弁してほしいよ!」と訳の分からない返答をしてしまった。ごめんね。
数十人はいたはずのあの空間で、ピンポイントで引き当てたのはむしろ凄いと思う。(ちなみに、この生徒さんからは最終日まですっ転んだ事をいじられた。)

無事に?生徒との交流を終え、次は授業見学へと進んでいったのだが、ここで私は最初の驚きと自分の甘さを実感することになる。

もう2000字を超えてしまった。やはり書き始めるとダラダラと書いてしまう。初日はエピソードも多く、書きたいことはまだまだあるが、一旦体験記Ⅰはここで終了。
ここまで目を通してくれた人がいたとしたら、感謝しかないです。
I love you so much.

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