見出し画像

「交わりが生まれる場所」 ONE_THROW・ 東海林 佳介

OPEN MAGAZINE "Interview"では、「場づくり」に焦点をあてて、その領域を担う人物にインタビューを行うことで、未来へのヒントを探ります。

今回は、神奈川県川崎市・宿河原駅から程近くにある、バスケットコート併設型コーヒースタンド・ONE_THROW〔ワンスロー〕。代表の東海林さんに、開業1年を迎えた率直な気持ちと今後の展望ついてお話を伺いました。

開業1周年を迎えた「今」

-- 2021年の8月に開業し1周年を迎えた「今」、率直にどのようなお気持ちでしょうか。

東海林さん:そうですね。10年間続けてきた港湾関係の仕事を辞めて一念発起して起業したので、正直続けていけるのかが不安でした。でも、今日までやってこれてホッとしています(笑)

-- お店を続けてきてどんな時に「やりがい」を感じましたか?

東海林さん:「ここ(ONE_THROW)ができてよかった」と色々な方に言ってもらえた時です。宿河原には地元の方々はもちろん、僕のように新しく拠点を構えたり、移り住む方も多くいらっしゃっるのですが、隔てなく集える場所として、少しでも誰かのきっかけになれていれば嬉しいですね。

-- ONE_THROWはバスケットコート併設型のコーヒースタンドという少し特殊な環境ですが、運用面で苦労されたことはありましたか?

東海林さん:バスケットコート使用上のルールを決めるのに悩みました。そもそも住宅街にあるので利用時間を設けたり、ゴムチップ舗装にしたりと、騒音対策が必要でした。

とはいえ、ルールに縛られた場所にはしたくないので、必要最低限のルールにとどめています。みんなが使いやすく、そして地域の方々にも受け入れてもらえるようなバスケットコートにしたいと思っています。

-- では、コーヒースタンドを運営していく上で大変だったことはありますか?

東海林さん:地域の方々に営業スタイルを理解してもらうのに苦労しました。「コーヒースタンド」と「バスケットボールコート」が併設されている場所なので、はじめはお客様の戸惑った感じも垣間見えましたが、今ではこの場所の使い方をご理解いただいて、日常的に利用して下さる常連さんも増えてきました。

クラファンを振り返ってみて

-- 店舗立ち上げの際に挑戦されていた"クラウドファンディング"は、実際にやられてみていかがでしたか。

東海林さん:限定された地域のプロジェクトだったので、地元の方々のご理解とご協力が必要不可欠でした。クラファンを通して地域の方々と繋がることができて、リアルにコミュニケーションをとれたのが大きかったです。資金面だけでなく、人と繋がれるきっかけにもなったので挑戦してよかったと思っています。

-- では、具体的に挑戦して良かったことは何ですか?また「もっとこうしておけば...」みたいな反省点もあれば教えていただきたいです。

東海林さん:良かったことは、このプロジェクトが地域の方達に関心を持ってもらえていると確信できたことです。右も左も分からない状態だったので、とても励みになりました。

逆に反省点は、知り合いに全く頼めなかったことです。自分の挑戦にお金をもらうことに抵抗感を感じてしまい、素直に頼めなかったんです。

でもこれからクラファンに挑戦しようと思っている方がいれば、知り合いにもしっかり自分の挑戦を理解してもらった上で、頼ることも大きな選択肢だとアドバイスしたいです。

その後に沢山恩返しできればいいと思うので。(笑)
それぐらいの気持ちで自分の挑戦に自信を持ってほしいです。

自分達らしいやり方

-- 東海林さんが「場づくり」をする上で大切にされていることはありますか?

東海林さん:とにかく「一言話す」を徹底しています。今だったら「もうすぐ夏が終わりますね」とか「過ごしやすい気候になってきましたね」とか。全員が反応してくれるとは限りませんが...。

でも、そうやって仲良くしていただけるお客さんを探しているところはありますね。(笑)

-- ON_THROWでは地域を巻き込んだイベントも積極的に行っていますよね。9月末に開催された「縁日」とはどのようなイベントなのでしょうか。

東海林さん:「縁日」は、コロナで中止になってしまった地域のお祭りに代わるイベントです。子供たちが楽しめるようにヨーヨーだったりスーパーボールすくい、射的、ミニバスケットシュートといった内容にしています。実際には大人の方が懐かしさを感じて、楽しんでくれていたかもしれません…。(笑)

-- イベントの企画は東海林さん自身で考えているのですか?

東海林さん:基本的にはそうです。ですが、お客さんとの会話の中からアイディアを得て企画を組んだりすることが多いです。

最近だと「オコサマルシェ」というイベントを開催しました。その名の通り子供たちがお店を考えて出店するイベントです。

当日は、手作りのおもちゃやオリジナルのアクセサリーを販売する子がいたり、お菓子すくいをやる子がいたり、個性あふれるお店で溢れていました。最終的には子供たち同士仲良くなって、交換会が開催されていました。(笑)

「誰かのやってみるをサポートする。」というONE_THROWらしいイベントになったんじゃないかと思っています。

地域主体の前に「自分たち」がどうか

-- 店舗前の通りを"裏宿"〔うらしゅく〕にしたいというお話をお伺いしました。具体的にどういった取り組みなのでしょうか。

東海林さん:「原宿の"裏原"〔うらはら〕みたいに活気溢れる道にしたい。」という純粋な思いから生まれた取り組みです。(笑)

最近、同じ通りに知り合いが美容室を出店しました。もともと別の場所に店舗を構えていたのですが、自分の取り組みを話したら移転先に宿河原を選んでくれたんです。

もっと面白いお店だったり、オシャレなお店が増えてほしいですね。そうすれば、宿河原に人が集まって、街全体が活性化していくのではないかと思っています。

-- 東海林さんの熱い想いや人柄に惹かれて宿河原に足を運ぶ人もこれからどんどん増えてきそうですね。

東海林さん:そうだと嬉しいですね。それこそ「場づくり」を行っていく上では"コミュニティー"は欠かせないと思うので、自分がまず色々なコミュニティーに属したり、とにかく「やってみる」精神で、新しい環境に飛び込むことは大切にしています。(笑)

-- 地域密着型のカフェということで、地域の食材を活かしたドリンクやフードの開発はされてきましたか?

東海林さん:実はそこがあまりできていなくて。宿河原は「なし農園」が多いので、なしを使ったドリンクやフードも検討しましたが、地域の"当たり前"を採用しても、地域の方々はワクワクしないのかなって思ったんです。地域を巻き込むのは良いことだけど「地域の方々にとっていいことなのか。」と考えるようにしています。まずは自分たちがワクワクすることをやっていきたいですね。

意志を受け継ぎ、伝えていく

-- それでは、東海林さん自身がこれから挑戦していきたいことはありますか?

東海林さん:やっぱりこの街をもっと盛り上げていきたいです。宿河原という街を "ブランド"にしたいと思っています。そこで、"シュクシーズ"というアカウントをインスタグラムで立ち上げました。このアカウントではONE_THROWで発信しきれていなかった宿河原の魅力について発信していこうと思っています。

-- まさに町おこしですね! "シュクシーズ"の名前の由来は何ですか?

東海林さん:宿河原の"宿"と"succeed"という英単語の”受け継ぐ”という意味を掛け合わせて名付けました。次は僕たちのような若い世代が宿河原を盛り上げていく番だと思っています。宿河原の良さはそのまま、未来に残していきたいです。

シュクシーズには他のメンバーもいて、全員ONE_THROWで出会ったお客様なんです。シルクスクリーンプリントで服作りをされてる方や、この間までボクシングの日本チャンピオンだった方とか。(笑)

「世代を超えた出会いや、ご縁で新たなモノやコトを生み出したり。」それが宿河原という地域におけるONE_THROWの存在意義だと思っています。

ONE_THROW 〔ワンスロー〕
誰もが楽しめる、地域に根ざしたバスケットコート併設型コーヒースタンド。
Open = 12:00〜19:00〔日曜日:12:00〜18:00〕
Regular holiday = 月曜日 / 火曜日
Adress = 神奈川県川崎市多摩区宿河原3丁目 8-3
Instagram・ WEBEC
※ 宿河原シュクシーズ instagram



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?