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山にもらったこと 「人生には、上書きがある」〜秋川渓谷編〜

実はトラウマになっていました。沢登り。
2020年の米子沢の一件で。

「初めての沢が米子っていうのはちょっと無謀だったねー」
「クライミングの講習とか何回か受けてからトライしないと」
誰に話しても同じように言われ、身の程知らずだった自分を恥じるばかり。その後の一年、再トライはおろか、山で小さな沢をみるだけでもビクッとするようになってしまい・・まずい、このままでは登山自体ができなくなってしまう!そんな危機感を抱いていたところに「ウチの沢登りに参加したら?楽しくて意識が変わるよ!」と、神の声。主はその2ヶ月後には穂高縦走へといざなってくれた、国際山岳ガイドの近藤謙司さん。差し伸べられた手を掴み、AG(近藤さん率いる山岳ツアー会社アドベンチャーガイズ)で、2021年初夏、奥多摩は秋川渓谷へ。いざ2度目の沢登りに向かったのでした。

あふれる緑の下、心地よくせせらぐ小さな沢。厳つい米子沢とはスタートから全然違う。

そうそう、こういうの!こういうのを想像していたのよ、私は!
なんで、先にこっちに来なかったのか・・!
けれどもちろん、ここだってこのままのはずがなく。徐々に水量は増え、流れが険しくなり始めて・・。

他のメンバーは皆キャッキャと笑顔なのに、私だけがどんどん神妙な面持ちに・・。

激しくなっていく流れに、米子沢での恐怖が蘇る・・やがて一つ目の沢を登る。後ろからフォローしてくれる近藤さんの「流れの真ん中に足を着かない!」という叫びに反し、まんまとド真ん中に足を着いてしまう私。近藤さんの股の下をすり抜け流されて、滝壺にドボン。無理だやっぱり、ここでやめておこう。と落ち込みかけたら「水は優しいから落ちても痛くないでしょ!ほら泳いで、も一度ここまでおいで!」神の声に、なんとかやる気を奮い立たせる。

二度目のトライでどうにか一つ目を登り、二つ目の滝では脇の岩を上がる。
下でAGのスタッフガイドさんが準備を整えてくれ、上から近藤さんがこちらの登るペースに合わせて引き上げてくれる。

ここまでやってもらって、ようやく上がれる。ここよりもっと激しい米子沢でどれだけの危険に晒されていたことか。あらためて慄く私。
3つ目、最後の滝。スタッフガイドさんは、全員が登り終えるまで、滝の中でずっと、もしもの滑落を受け止める体制を取ってくれていて。

頭が下がる。カッコ良過ぎ。

怖い、けど上でケンケンが引き上げてくれてるんだから、絶対大丈夫。
ありったけの勇気となけなしの運動神経を振り絞って登る。

そうして上がり切った時の達成感、爽快感、嬉しさ、と言ったら!!
恐怖心がまったく無くなったというのは嘘になるけど。私の沢登リは、ただ恐ろしいだけのものから、スリルを超えて達成感と爽快感を得られる、楽しいアドベンチャーに、上書きされた。

終了後、笑顔になれたこと、本当に嬉しかった。
近藤さん、AG のスタッフさん、ありがとう!!

またきっと楽しみたい、沢登り!

@2021/07/11



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