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Zoomがイマーシブシアター(観客参加型演劇)の会場になった話。


#のぞきみZOOM という生放送を行いました。待ち合わせ予定だったけれど、会えなくなってしまった男女がZoomを繋いで会話をするのを、自宅からこっそり覗き見できる観客参加型リモート演劇です。実験企画だったのですが、1000人以上の人がリアルタイム参加をしてくれて、リモートで体験を作るヒントになったので、記録をしておこうと思います。(ネタバレを含みますので、視聴してから読んでいただける方が楽しめるかと!)

数日で消す予定のアーカイブはこちら(リアルタイムじゃないと整合性が取れない部分が若干ありますが、雰囲気はアーカイブでも掴んでいただけるかと思います※2分過ぎからはじまります)

リモートでイマーシブシアター(観客参加型演劇)は作れるのか?

私がイマーシブシアターが好きな要素のひとつに「コミュニケーション」があります。役者さんとのコミュニケーションも、同じ空間を共にしている人とのコミュニケーションも、そこから生まれる物語を自分たちだけのものにしてくれる大切なものだと思っています。コミュニケーションが無いイマーシブシアターも沢山ありますが、自分が何かしらで世界に入り込めるものが個人的には好きなのです。

そんな自分の理想のイマーシブシアターをお家にいながら、出演者も全員遠隔で楽しんでもらえる方法はないか、と考え抜いたのが今回の『Zoomを使った会話を覗き見し、リアルなツールで双方向性を出す』というシステムです。

イマーシブシアターの「あ!今舞台と、世界と私達の境界線がなくなった!!」という瞬間を、家からの参加でも作り出したかったのです。

リアルの方が面白い、にならないために。

「リアルのイベントが出来ないから、WEBでやる」というものにはしたくないと思っていました。WEBでやるからこそ、リアルより面白いものを作らないと意味がない。映画やテレビとも違う体験にしたい。これがめちゃくちゃ難しい。やっぱりリアルな体験ってすごいんです。目の前で行われる演技、生演奏、自分の手で何かを掴む感覚。これを超えるなんて出来る?!と頭を抱え、自分が好きなインターネットをふんだんに入れ込むことにしました。リアルなイマーシブシアターが「自分の足を使って」見たいシーンを探しに行くのならば、WEBのイマーシブシアターでは「自分の手を使って」見たい情報を探しに行けるようにしたらどうだろうか。その情報にストーリーがあれば、それはひとつのシーンになるのではないか。

そう考えた結果、女の子の裏垢、適当に作られた有名人のまとめサイト、こっそり書いてるnote、危ないサイトと隠しメッセージなどなど…インターネット上に10個ほどの舞台が生まれました。(詳しくはYouTubeにある解説を見てね)

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リアルタイムの意味の持たせ方

次に考えたのが「ライブ」である意味。リアルタイムで、お客さんの行動によって、どんなドラマが生まれるかがわからない、あのドキドキ感が好きなんです。WEBでイベントを作るなら「録画でいいんじゃん」にはしたくない。ライブ感が欲しい。WEBでやってるからこそ面白いライブ感でぱっと思いついたのが、UberEatsの配達画面でした。

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頼んだものを、お店の方が準備している様子を想像できるとか、ちょっと道に迷っちゃう配達員さんをリアルタイムで追うとか、めっちゃストーリー性ありません?!自分がいない現場にUberEats差し入れをするのが好きなので"いつ届くかわからない。その気になったら誰だって届けられる"と言うギミックを入れました。

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そして登場人物と「コミュニケーション」が出来ることもリアルタイムでやる面白さに繋がります。大勢見てくれた場合のことを考え、電話、LINE、twitter、FAX、フォームなど、離れた相手に届けられる出来る限りのコミュニケーションツールをご用意しました。LINEを送る、などはリアルなイベントよりハードルが下がるという良い点もあります。

ライブだもの。お客さんの行動によって、展開が変わると熱いですよね🔥

皆で一緒に見ているからこそ楽しい!の作り方

冒頭で、同じ空間を共にしている人とのコミュニケーションも大切だと書きました。WEBだからこそ面白く出来るポイントもあります。

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これはとある大事なシーンなのですが、YouTubeのチャットも、twitter上も、背中を押す皆さんの声が流れる流れる。これは…サマーウォーズで見た光景だ!!!!!となりました。こんな感想も。

そしてとあるシーンのあとのtwitter。これは全然想定してなかったんだけど、みんなエンダーアアアしてくれて心がポカポカしました。

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電波を伝った一体感

この生放送、感染予防のため出演者は全員別々の場所からZoomを繋いでの放送。何かトラブルがあっても走っていけないので、もうお互いを信じるしかない状況、さらに千手観音レベルに様々なPC動作を1人でしなければならない状況でした。そんな中、皆さんの熱い叫びが文字となり伝わり、1人でいるのに1000人で同じ会場にいるみたいな感覚でした。

みんなでワイワイ、家からの会話のきっかけになるようなコンテンツにしたい」と思ってはいましたが、想像以上の盛り上がりでとっても嬉しかったです。

普段イベント会場に足を運ぶのは難しい方々にも参加していただけて、これはWEBならではの可能性なので大切にしていきます。

何をもってイマーシブシアターというか

私は世界規模のイマーシブシアターのオタクなので、自分の制作物を「イマーシブシアター」というのは恐れ多過ぎて、いつも何かしら違う表現でやろうとするのですが、今回アンケート等に『イマーシブシアターとしてすごく面白かった!』と沢山書いていただき背中を押されました。舞台(役者)との垣根がなくなり、自分で見たいものを選べ、自分が世界に介入できるという点では、そう言っても良いんじゃないか。ならば、この濃密接触がNGな時代にもイマーシブシアターが作れるのではないかという希望を持ちました。

実はこの春、告知をしていなかったものも含めると、4件のイマーシブシアターが延期または中止になりました。濃密な没入感が面白いものなので、仕方ない。そして何より残念に思ったのは、他の面白そうだったイマーシブシアターもすべて延期や中止になっていることです。去年は狂ったように海外に行っていた私ですが「今年は日本で面白そうなイマーシブが沢山あるから日本で楽しもうー!」と思っていたほどに、この時期がくるのを楽しみにしていたんです。

場所があって、役者さんが揃って、告知をして、稽古をして…という段階があるイマーシブシアターは(他の演劇やエンタメもそうだと思いますが)安心な世界が訪れても、すぐに開催できるものではありません。活発になっていくには少し時間がかかるのかなと思っています。せっかく盛り上がっているジャパニーズイマーシブシアターを盛り上げ続けたい!そんな中、お家にいながら楽しんでもらうためのヒントをもらえた夜でした。実験に参加してくれたすべての人に、とても感謝しています。

STAYHOMEで観客参加型イベント、未来に向けて

今日得たヒントを元に、また色々妄想をしていこうかなあと思っています。出演してみたいという役者さん、一緒にストーリーやシステムを考えてみたいというクリエイターさん・企業さんなど、もしいらっしゃいましたらお気軽にご連絡ください!

役者さんは、めちゃくちゃ大変だと思います(笑)今回数日前のオファーにも関わらず出演いただいた梅田脩平さん、佐藤みつよ さんは本当に素晴らしい役者さんでした。もし他にオンライン演劇を考えられている方がいましたら、ものすごくオススメの役者さんです。

そういえば私の愛するシークレット・シネマさんがロックダウン・パーティをやるみたいなんですよね。のぞきみに集中していたらチケットソールドアウトでした。世界中の人が楽しむんだろうな、ゾクゾクしますね。

最後に感想をいくつかご紹介…

STAY HOMEで良かった、って嬉しい言葉ですね。いつでもどこへでも、楽しい物語体験をお届けしていきます!







ありがとうございます。面白い体験を作ることに還元していきたいと思います。