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いつかきっと思い出す、2020。

大人になってから、自宅で年越しをしたことなんて、もしかしたらなかったんじゃないか。目の前の祭りを愛して生きてきた上に、ここ数年は年末年始こそ遊びに来ておくれ!というスタンスのお店をやっていたので、道玄坂か歌舞伎町にいたような記憶です。大掃除を終えた部屋で茹でたての蕎麦を食べながら過ごすのかもしれない大晦日にちょっとソワソワしています。というわけで自分の備忘録として、今年の振り返りをしてみたいと思います。とても個人的な文章になりますので、あしからず!

飛び回っていた1月

年越しは、東京ミステリーサーカス(TMC)のカウントダウンイベントでした。2020年はイマーシブシアターを沢山作るぞ!と決めていたので、勉強も兼ねて年末はヨーロッパでイマーシブ三昧。ロンドンのヒースロー空港から羽田、そのままカウントダウンイベントという狂ったスケジュール。沢山の人が集まってくれて、みんな笑ってくれていて、この時既にTMC総支配人を退任することは決めていたので、ひとりひとりに感謝を込めてお土産シールを配っていました。

1月のカレンダーを見返すと、新しい企画の打ち合わせを沢山していました。2020年は節目になるので、とにかく新しいことに沢山チャレンジするぞ!という意気込みで、13日の誕生日も初めて行ったベトナムで迎えました。意気込みをみなさんに伝えるために、行き先秘密のシークレットバスツアー「STAR UP COASTER 2020」も開催しました。

そんな中でも、新型コロナウィルスの情報も不安気に追っていて、1月下旬頃からTMCではマスクをつけて接客をさせていただくようになりました。はじめて『クルーはマスク着用の上ご対応させていただきます』という旨の張り紙を貼った時のことはよく覚えています。まだ、マスクをすることがお客様に失礼になってしまう可能性もあるので、張り紙でお断りをさせていただいていた時期でした。

ゆるやかに変わった2月

2月前半はシンガポール(社員旅行)からトランジットでハワイ(義妹の結婚式)と、無茶なはしごをしていました。2020年、イマーシブシアターともう1つ、力を入れたかったのが『ひみつ喫茶室』という、秘密に気がついた人だけが入れる喫茶店だったので、どちらの国でもスピークイージーにばかり行っていました。あとは変装を伴うマーダーミステリー。こちらも『銀座・有賀写真館物語』という、着物を着て楽しむイマーシブシアターの参考のためでした。とても悩んで、対策を練って渡航しましたが、残念ながら行ける最後のタイミングになってしまいました。

帰国してからは、仕事がゆるやかに変わっていきました。TMCの引き継ぎをしながらも、消毒や検温のシステムを整え、お客さんがどうすれば安心して遊びにこれるかを考えたり。新しいものは作り続けているけれど、だんだんとコロナ対策について考える時間が増えていき、見えない不安の中、施設運営をしていました。

大きな選択をした3月

3月は、ずっと記者会見とにらめっこしていた記憶です。『いつでもふらっと来れば、物語体験が出来る』場所を守りたい気持ちと、お客さんや働いてくれているみんなが安心できる環境と。何が正解なのかを、毎日考え続けていました。そして、3月28日、年末年始も休まず開け続けていたTMCを閉じる決断をしました。力不足に泣きました。

3月31日、TMCの総支配人を退任しました。ずっとお店に育ててもらっていたので、次は場所から離れ、SCRAPの執行役員として新しい物語体験を作っていくぞ!と気持ち新たに頑張る決意をした矢先、仕込んでいた新しいイベントはすべて延期もしくは白紙になりました。告知済みだった『有賀写真館物語』や『泊まれる演劇MIDNIGHT MOTEL』だけでなく、告知前のものも沢山ありました。

コメントに救われた4月

心機一転4月、とはいきませんでした。7日には緊急事態宣言が。しかしその3日後にオンラインで開催した『のぞきみzoom』が自分にとっては大きな転機になりました。参加してくれた皆さんのコメントに勇気づけられ、離れていてもインタラクティブな体験は作れる、と確信しました。誰かの小さな選択と応援が誰かの行動を後押しする体験に可能性を感じ、翌日には『インサイドシアター』の企画を考えはじめました。

この時期は、周りの諦めない人たちの行動にも刺激を受けました。この時期、すごく沢山の連絡をいただいたのを覚えています。特に、偶然同じ日に(3日だった記憶)『劇団ノーミーツ』を立ち上げた広屋くんとこれから自分たちには何が出来るかを話したり、『泊まれる演劇』のプロデューサーの花岡くんから『zoomの部屋をホテルの部屋に見立てて何かやれる可能性ありますかね?』と連絡が来たことは印象的でした。泊まれる演劇は延期を発表した日にはオンライン公演が動きはじめていて、花岡くんの行動力と企画センスは相変わらず素晴らしいなあと、一緒に制作出来ていることが嬉しかったです。

4月末は『ひみつ喫茶室』のメニューをくまっキーがお届けする『物語のあるデリバリー』を実施したりしました。もう必死。

頑張ってくれた喫茶室のスタッフに本当に感謝。単身赴任のお父様が娘さんにサプライズで依頼してくれた写真を見て、じんときました…。

夢中で制作した5月

ゴールデンウィークは大忙しでした。1日に『Mystery for You』の発表。

そして同じく1日に、『泊まれる演劇ROOM101』がスタートしました。

この時期に郵送を伴う有料のオンラインイマーシブシアターが出来たこと、花岡くんはじめ木下さんや素敵な役者さん達との制作は自分にとって刺激的で、やっぱりここでもチャット上のお客さんの言葉に励まされました。

SCRAPでも既存公演のオンライン化が進み2013年に制作した『忘れられた実験室からの脱出オンラインver』もスタートしました。社内でもチーム問わずどんどん新しいコンテンツが生まれていて、みんな面白いな〜自分も頑張るぞ!と思えた良い時期。新作をいくつも同時進行で制作していて、狂ったようにPCに向かっていました。早く届けたいという一心で作っていたのに、はじめてのオンライン公演制作の難しさに直面して、5月スタート予定だった公演を延ばした時は、力不足を強く感じて、めちゃくちゃ悔しかったです。

悲しみの6月

緊急事態宣言もあけ、街は元通り…というわけにいはいかず、お店などを開けているけれど、なかなかお客さんが戻らないという、次なる試練がやってきました。そんな中、2019年秋に誰にも知られずひっそりとオープンした『ひみつ喫茶室』を閉じる決断をしました。

珈琲と謎をお届けするデリバリーなど色々トライはしたものの、お店は歌舞伎町のど真ん中で、家賃も安くない。TMCにある違和感に気がついて、謎を解き明かした人だけが辿り着けるという構造は、経営に負担をかけすぎる。元々、世の中にリリースを出すことはせず、秘密を愛するお客さんの憩いの場所として、じわじわとアリスの穴に落ちる人が増えていくと良いなと思っていて、そのコンセプトは崩したくなかったので、今、無理して続けるのは適切ではないと判断しました。家具も、メニューも、自分の足で探して考えて、TMCのみんなと作ったものだったので、終わってしまう時はすごく寂しかったです。力不足で、悔しくて、でもいつかどこか別の秘密の場所で再開出来ることを夢見て、食器も家具も全部残しています。

末には『泊まれる演劇ROOM102』の開催も。相変わらずのスピード感で面白かったです。

はちゃめちゃな7月

7月には春から作り続けていたものがやっと出せました!まずは、リアル脱出ゲームデリバリー『青梅雨に届いた手紙』。謎制作はSCRAPの荒浪くん、脚本は安岡くんです。ご自宅で、遠く離れた大切な人と繋がりながら楽しむ意味がある公演を目指しました。まだ遊べます!

そして、インサイドシアター『SECRET CASINO』。これはめちゃくちゃ難産で、イシイジロウさん、素晴らしい役者さん、そしてプロデューサー、システム担当、制作さん、広報さんなどなど(書ききれない)…チームみんなの工夫がぶつかりあってやっと完成。生まれたばかりのチームで、オンラインだからこその、インタラクティブ演劇が作れたのではないかと思っています。

観客参加型VRドラマ『社内恋愛探偵』がはじまったのも7月でした!

プライベートでは、音楽と飲食をテイクアウトする『CULPOOL -TAKE OUT-』に参加。ライブをみながらリアルタイムに飲食をデリバリー。楽しかった!

じっくりと8月

SECRET CASINOでいただいたお客さんからの声が嬉しくて、インサイドシアター第二弾に着手しはじめた8月。フェスや夏祭りがないぽっかりとした8月から『僕等のラストフェスティバル』の企画を考えていました。

そして、1日からは京都で『泊まれる演劇 STRANGE NIGHT』。感染対策のため、わずかな滞在、ほとんどオンラインでの参加でしたが、花岡Pはもちろん、左子さん、三橋さん、竹内さん、役者さん達、、関西にはすごい人しか住んでないのか?!と思うぐらいすごい公演でした。リアルなホテルという舞台はすごく自由で、魅力的で、アイデア出しも楽しかった。参加できた人は絶対ラッキー!

学び多すぎた9月

4日からは『AD-LIVE』がスタートしました。こちらもギリギリまでリアル公演として制作していたものの、オンライン(無観客)に。

テーマが『脱出』ということで、総合プロデューサーの鈴村健一さんにお声がけいただいたのですが、謎をここまで上手にドラマに絡める方法を私は他に知りません。物語の構築方法、役者さんのアドリブ、そしてスタッフの皆様の動き…どこをとっても素晴らしくってずっと感激していました。オンラインになった時の演出の舵切りも見事でした。そして、本当にひとつとして同じ公演がない、どころか毎回想像の斜め上の感動をくれる物語が展開されます。どうかBlu-rayで観てほしい!!!そして、AD-LIVEで好きだなあと思ったポイントがこちら。スタッフさんが1枚1枚手で貼っていて。本当にお客さんを大切にされているんだなあと。

青春を駆け抜けた11月

10月の記憶がないので飛ばしました(笑)おそらくこちらを作っていました。高校時代みたいに、無我夢中で。

配信会場としてお借りしたリアル高校にWi-Fiを入れるところからはじまったこの公演。一緒に作った関係者のみなさま、遊びに来てくれたみなさまに感謝しかありません。この時の心情はこちらにて。

同タイミングで、昨年から個人でジョインさせていただいていたProject:;COLDがスタート。最高のクリエイター陣に混ぜてもらって、体験ギミックをお手伝いしてます。こちらも高校の文化祭が舞台。どうなっていくのか、ハラハラ見守っています。

テーマソングの『勘ぐれい』が好きすぎて、毎日のように聴いています。秘密が隠されているMVもとてもいい。

そして12月

来年の仕込みを沢山しています。発表されているものだとこちら。大晦日撮影にて、なんとか仕事納め。

振り返ってみると、今年はほとんどオンライン上で参加型の物語を作っていましたね。参加型の物語を成立させてくれた、オンライン上の参加者のみなさん、ありがとうございました。

今年出会った人、はじめて一緒に仕事をした人も沢山。全員すごい人だったなあ。まだ直接会えていない人もいるけどね。来年もどうぞよろしくお願いします。表現力豊で参加型公演に理解のある役者さん達との出会いも大きかった。そして以前から変わらず、私の思いつきに乗ってくれた皆さん、大変なのわかってるだろうに乗ってきてくれて本当にありがとうございます。来年もどうぞよろしくお願いします🙇‍♂️

さまざまな決断をするにあたって、自分の力不足を感じることも多い年でした。2021年は、既に大きめのリアルイベントがいくつか決まっているので、1年遅れ分めちゃくちゃ楽しませるぞと思っています。覚悟してくださいね。今年は、新しいチャレンジをするぞ!という意気込みが、こんな形で決着するとは思っていませんでしたが、場所や媒体を飛び越えて、体験を考える地面がぐっと広がった年で、学びが多く、全部やってよかったなって思います。どんな形式でも物語体験の舞台にするから、どんとこい!な気持ちなので、お気軽にお声がけください!

あっ、あと5分で年が明ける!こんな長文駄文を最後まで読んでくれたあなた、ありがとうございました!

ありがとうございます。面白い体験を作ることに還元していきたいと思います。