おかあさんが、おかあさんになった日のこと。
こんにちは。 絵本ライフスタイリストのうたむらあかねです。
新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言が解除したタイミングで、3か月前にはじめての息子を産んだ姪に会いに行ってきました。
生後まもなくの頃会った時より、姪と息子の距離感がぐっと縮まり、強い愛情と信頼の絆が結ばれているように感じました。
ママと子ども、パパと子ども、この間に入り込む余地はありません。
姪の初めての出産と育児を見ていて思い出した絵本があります。
長野ヒデ子さんの「おかあさんがおかあさんになった日」(長野ヒデ子/文、絵童心社)
子どもが生まれた日は、そう、おかあさん、おとうさんが生まれる日でもある。
私の年代からすればおばあちゃん、おじいちゃんが生まれる日でもあるわけです。
思い返せば、母親は一日してならず。
私も母親になるために、もがき、悩みました。
生まれたばかりの子があまりに小さくひ弱で、「この子を死なせてはならない!」と自分に言い聞かせた日。
私って母親として大丈夫なのか?と悩んだ日。
ひとりでは何も出来ない赤ちゃんと向き合う日々は、想像していたよりずっと緊張を強いられる日々でした。
長野ヒデ子さんの講演会で絵本の誕生秘話を聞いたのは4年ほど前のこと。
長野さんは取材でお産に立ち会ったそうです。その時感じたことが後にこの絵本になったそう。
「(お産に立ち会って)赤ちゃんは自分の力で生まれてくるということに感動しました。あんな小さな体で、何もかもわかっていて、人としてのすべてを、生まれながらに持って生まれてくることに!。これはすごいことだと思いました。すべては〈生まれる〉ことから始まります。赤ちゃんが生まれることで、たくさんの喜びが生まれる。命が生まれる喜びを知ることが、自分自身を大事にしながら生きることにつながるのだと思うのです」と、長野さんがお話してくださいました。
うまれたての赤ちゃんが何にもわからないならば、うまれたてのおかあさん、おとうさんも、何にもわからなくて当然なのです。
お互いの存在を大切にし、お互いの成長を見守ることで、少しずつ親になり子になっていく。
よちよち歩きはお互い様。
何かが出来ないと悩む前に、出来たことを喜びましょう。
出来ないことをほじくり出さず、出来ることを見つければいいんです。
姪は私に向き直ってこう言いました。
「子どもを産むずっと前は、子どもに興味がなかった。はっきり言えば、子どもが好きじゃなかった。でも、自分の子が生まれて、子どもの可愛いさに驚いている。自分の子だけじゃない。今は、子どもという存在すべてが愛おしい。それが一番変わったこと」と。
おかあさんがおかあさんになった日のことを、いずれ姪は息子に語ってやれるでしょう。
息子はきらきらと瞳を輝かせてその話を聞くはずです。
長野さんはこの本の続編として「おとうさんがおとうさんになった日」、「おばあちゃんがおばあちゃんになった日」も書かれています。
子どもに読み聞かせながら、親も力をもらえる一冊です。
傍に置いて…自分がおかあさんとしてうまれた日のことを忘れそうになったら、そっと開いてみてください。
では、また。