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【映画感想】グローリー-明日への行進- 2014

はじめに

 この映画は、黒人差別についての授業で観るように言われ観賞した。ノーベル平和賞をとった後のキング牧師の話である。

キング牧師について

本名:マーティン・ルーサー・キング・ジュニア 職業:牧師
 1955年、黒人女性ローザ・パークスが白人にバスの座席を譲らなかったことで逮捕された事件をきっかけに、これに抗議する黒人指導者の一人として運動を開始した。
 1957年、キング牧師をはじめとする牧師のグループが南部キリスト教指導者会議を設立し、人種差別に対する非暴力を説いた。
 1963年8月28日に行われた「ワシントン大行進」において「I Have a Dream」という有名な言葉が含まれる演説を行い、肉体的暴力に魂の力で対抗する、すなわち非暴力の人権運動を指揮し、黒人の公民権運動に力を注いだ。
 1964年ノーベル平和賞を受賞し、同年公民権法が可決されることとなる。その後も投票権法などの法改革を推進していく
 1968年4月4日にテネシー州メンフィス市で労働者のストライキを支援中に39歳で暗殺された。

映画の内容

 ノーベル平和賞を受賞し公民権法が可決されたあとの出来事を語る。公民権法の整備は一向に進んでおらず、キング牧師はセルマでのデモ運動を決意。非暴力を掲げるキング牧師側に対し、州警察などの白人勢力は容赦無く暴力を加えやがて黒人に死者もでる。
 そのような状況下でありながら黒人たちはセルマからモンゴメリーへと行進を行おうとする。1度目は暴力に逃げることしかできなかったが、暴力行為の様子をテレビ中継されておりテレビ越しに同志を集うと、多数の人々が全国から参加し行進には白人も参加すると、暴力は振るわれなかったが、参加した白人はホワイトニガーと罵られ暴力を振るわれ亡くなってしまう。
 そのような出来事があり、裁判ではデモ拡大として5日間の行進が認められ、大統領も選挙権の自由を保障する案を議会に提出すると約束した。人々は誇りげに行進を行い、キング牧師はたどり着いたモンゴメリーで演説を行った。

感想

 当時の黒人が白人と同じように出来なかったことで、劇中で触れられていたものがあった。
 ・選挙に参加できない
 ・自由な座席でバスに座れない
 ・公園を使用できない公立学校に入学できない
 ・失業対策をされていない
 私たちにしてみれば当たり前に存在している権利であるが、自由の国と言われるアメリカですら少し前までは悲惨な差別を行っていた。現代においても多少はマシになっているが、しばしば白人警官が黒人に暴力を振るった事件などを耳にすることもあるだろう。非常に愚かで残念な行為に思う。
 さて、映画の感想に入る。ノーベル賞を受賞したからといってすんなりと改革が進んでいかなかったことを知れた。既得権益者である白人がそれを手放すというのも難しいことだと思う。権利を獲得するために戦う相手と同じところまで堕ちずに、非暴力で多くの賛同を得て改正させたのは途方もない時間と労力、根気と我慢が必要だったのだとヒシヒシと感じた。
 どこまで事実の映画なのか分からないが、キング牧師は結構打算的な人だったのだと思った。もちろん綺麗事だけで解決するとこができると考えないが、警官の暴力性を現地の学生に聞いたり、白人が暴力を振るってくるのを計画に織り込んでいたりと、歴史的に勝利した側は後世に綺麗なところのみを伝える傾向があるため、少し意外だった。自分のキング牧師の前提知識は、中学生の頃の英語の教科書に載っていた「I Have a Dream」の演説とローザ・パークスさんとの関わりのみで、ガンジーのような非暴力で世界を変えるという綺麗事のみで考える人だと思っていたため驚いた。
 そのような面から考えると、正確に記録を残すことの重要性はどの分野、事件や行動などにおいても絶対に必要なものであるし、自分達も与えられた情報を鵜呑みにするのではなく、積極的に情報の収集をしなければ無知なままであると思う。
 差別などを無くすためには何も知らない世代がと、下の世代に伝えない世代がどうしても必要だと考える。歴史のどこかで妥協しなければならない世代が現れない限り差別や偏見は無くならないため、変革を起こす人物ももちろん必要であるが、なんの変哲もない一般人と総称される人々の意識の持ち方が最も重要なのではないかと考えた。

おわりに

 ここまで読んでいただきありがとうございました。最近講義で文化の差異を認識することが多く、知らないということはとても怖いことなとだと思います。誰かから聞いたことを鵜呑みにするのではなく、より深く知ろうとしないとそれは無知のままなのではないかと考えます。
 さまざまな視点を持つことで、世界の情勢や仕組みを俯瞰できる人間になりたいと思いました。


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