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『すべてあなたが決めていい』介護に悩む私の心が楽になった本 vol.3

母が発熱した2022年の秋。壮絶な大ゲンカをした。思い返しても、馬鹿だったと反省している。

まず病院に連れて行くのが、とにかく大変だった。自分はコロナではないと言い張る母。寝ていれば治ると。

宇宙空間で一人で生きているなら、それでいい。いや良くはないんだけど。でも、家族がいて、社会で生きているからには、自粛しなければいけない。もしコロナに感染していたら、母はデイサービスを休むべきで、私だって仕事を休まなければいけない。

症状が出てからコロナ陽性と判定されるまで、3日を要した。家の中での感染対策は不可能だった。母は自分が感染源であることを理解できない。

どうしても欲しい物があると、すでに少し症状が出始めていた私に買い物を頼む母。体調も悪いし父に頼んでくれと言ったけど、母は拒否。だったら自分で行くと言って聞かない。そんな諍いが絶えなかった。

母の陽性判定からすぐ私にも症状が出始め、休日を挟んで3日後、陽性と判定された。さらに2日後、妹も陽性になった。

私は情報弱者だったと思う。もっと対策を打たないといけなかった。自分に症状が出てしまってからでは、とても頭が回らない。

コロナかもしれないと思った時、1番始めに頼ったのはケアマネさんだった。地域包括支援センターの方々に聞きたい。介護が必要な人がコロナに感染した場合、家族の身の安全は防げない。

職場からも保健所からも、私まで発症しないために予防するよう言われたけど不可能だった。防ぐ知恵を持っているなら、前もって教えて欲しい。それは安心になる。

そんな自粛中に、たまたま手元にあった本。


玉置妙憂さん『すべてあなたが決めていい』


私の悩みの大半は、母の健康状態に左右される。
今回のようにコロナに罹るとか。

母は自分の健康を顧みずに生きてきた。歯医者に行くのが嫌い。市の健診を受けたことは一度もない。こちらから言わない限り、自分から病院に行くなんて考えは無い。とにかく病院が嫌い。

現在の母は体調不良のオンパレード。病院に行く際は全て私が付き添う。自分の健康を考えなかったツケが娘に回るなんて理不尽だと思っていた。母には何でも自分でできるという自負があり、娘に対する感謝の気持ちは無い。

けれど、この本は私の心を本当に楽にしてくれた。なんというか、覚悟をくれた。私に足りないものをスーッと理解できたら、重たさが減った。

『自分を後回しにしていないか』


まずは自分が安定していて幸せで、その中から差し出すんだと。『自利』と『利他』というらしい。

分かるし、よく言われるけど、介護してると難しかった。だって自分を最優先になんてできない。自分を犠牲にする。だから辛いし、いつも折り合いを模索している。

でも私の場合、介護だけではない。仕事で忙しい時に自分は置き去りになる。私には何か、そういう癖がある。

難しいけれど今は、心の中に『利他』という言葉があるだけで何かが違うように思える。


とても好きな空。夕焼けと夜空の合い間。
最近の小さな趣味はグラデーション採集です。
そして、この日は三日月の斜め下に
木星と金星が並んで見えたのです。


私は食べることが大好き。けれど、忙しかったり辛かったりすると後回しになってしまう。ストレスで本当に食べたくなくなる。

家族3人コロナに罹った時は、ひとり無症状だった父に買出しを頼んだ。ろくなものは食べられず、荒んでいった。いろんな場面で諍いが多発した。

こういうことなんだと思う。精神が安定しない理由は。自分が大切にしたいことを後回しにすると辛くなる。

『利他』の前に『自利』ということ。自分を犠牲にしてまで、人のために生きなくていい。

本当に何もかも嫌になって、すべて捨てたくなる時がある。投げ出さないために必要なことを、教えてくれたように思う。


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