息子から学ぶ夢中力
「ママといく!」
今朝、娘を学童に連れて行こうとしたら、息子に言われた。
そういえば、今週は娘を優先していて、息子は夫に託していた。最近の息子は登園前に気が済むまでストライダーに乗るようで、夫が疲れた様子でいたのを思い出した。
娘はパパでもいいと言ってくれたので、2人を見送ってから息子と家を出る。
家の前の信号を渡ると、左に曲がるところを直進する息子。
そんなことを考えながら、息子の後を追う。
直進した先は住宅街の路地裏だ。
ほとんど車は通らないので、安心して息子を見守れる。
すると、息子は水たまりを走り抜けていった。見渡すと、前日の雨によってあちこちに水たまりがあるのに気づく。
息子はストライダーで水たまりを通り抜けるのが大好きだ。
なので、漏れなく渡っていく。
さらに進むと、特大の水たまりが現れた。大きさは直径2メートル、幅は1メートルくらい。
スピードを加速させて水たまりに突っ込む。
ストライダーが止まる前に水たまりを抜け切るのが楽しいのか、何度もチャレンジしている。
呼びかけても、こちらの声は聞こえないようだ。
息子は夢中になると、ZONEに入り外部からの音は遮断される。その状態に没入していった。
途中、徐にストライダーから降りる。そして、手で押したまま駆けていき、ストライダーだけ水たまりを走らさせた。方向を変えて、何度も何度も。
自分で乗った感覚と、手で押して水に入る感触が違うのだろう。
息子は次々と試していく。
次は、ストライダーに乗って水たまりに入る。ただし、わざとゆっくりと。スピードが遅いので、自然と水たまりの中を歩くことになる。
靴のどの高さまで水が浸かっているのかを、体を横に倒しながらじっと観察している。
家から出発して10分後には、ズボンも靴もびしょ濡れになっていた。濡れた服が苦手な息子は、自らズボンを膝までたくし上げる。靴も濡れているだろうけど遊んでいるからか、気にならないようだ。
そう思ったけど、小さい頃に私も似た経験をしたことを思い出した。
それは雪の日のこと。
小学生のとき、膝丈下まで雪が積もったことがあった。雪が嬉しくて、お気に入りのエメラルグリーンの長靴を履いて、友達と小学校まで行っていた。
その日は休校だったのだろうか。
辺りがやけにシンとしていたのを覚えている。
あちこちに足跡をつけて、そろそろ帰ろうと話したら、濡れている靴下に気づき、急に冷たさを感じた。そんな思い出。
熱中してると不快なことに想いが向かないのは、息子も同じ。
とにかく楽しいから、自分で試したいのだ。すでに30分近く経過していたが、急ぎの仕事もなかったので息子をボーッと眺めていた。
「きょうは、はれる?」
急に息子から聞かれ、我に返る。空を見上げると覆われていた雲がどこかに流れ、青空が広がっていた。
「うん。晴れてきたから、太陽さん出るかもね」
そう言うと、息子は急に幼稚園に向けて走り出した。満足するまで待てば、息子も自然と動き出す。
そんな言葉が、息子の背中から伝わってきた。
この記事が参加している募集
noteを継続して発信するため、サポートいただけると嬉しいです!いただいたサポートは、自分の気づきや発見をするための活動に使わせていただきます!