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早稲田の古文 夏期集中講座 第7回 無名抄の入試問題

2017年度、早稲田の法学部の実際の入試問題を見てみることにしましょう。まず、問六の「錐、嚢(ふくろ)にたまらず」は慣用句としてできなくてはいけない基礎問題です。とんがった錐は、どこに入ってもふくろをつきやぶって表面に出てしまう。隠しようがない、という意味ですから㋭の「才能のある人は必ず世の中から評価される。」が正解です。

赤本の解説には、慣用句を知らなくても文脈から正解がわかる、としていますが、逆だと思います。慣用句のイメージから正しい文脈を推理すべきでしょう。

同じことは問八の内容合致問題にも言えることです。赤本には、問八は消去法で解けば必ず正解にたどりつける、とありますが、いちいち全部読まなければいけない、というのは時間がかかりすぎて効率的ではありません。

冒頭の「同じ人」は何を言いたいか、中心テーマをつかめば、よいのです。あちこちの歌会などにでしゃばっていって自分の顔を売るなどという卑しいことをしてはなりませんよ。控えめにしていなさい。あなたは、才能のある人だから普通に努力していれば自然と「嚢中の錐」のように人から評価されますよ、という主題なのです。このような教訓というのは意外とわかりやすいものです。

こびへつらい、人の顔色をうかがっておどおどと生きる小心者になりなさんな、ということです。現代でもよくある話です。

そのような価値観からすれば、㊁の「和歌を詠む場を選べ」ということと、「もったいぶっているという批判も甘受せよ」という言い方が一番近いはずです。選択問題は文の中心テーマと一番近いものを選ぶというものです。正しいか間違っているかの選択基準でなく、意味するところが近いか、遠いかの「距離感」の問題です。誰でも正解とするわかりやすい基準ではなく、ぴたりと合う問題はないと言ってもよいでしょう。

早稲田は故事成語がよく出ています。漢文とセットになることも多いので、故事成語から入るのが一番近道です。最低限、高校の国語資料集にある故事成語は暗記すべきでしょう。故事成語はわかりやすいものばかりだからです。



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