『リードギター』

訪問介護、看護や医療をしていると
上手くいかない場合もある

スタッフミーティングの際に出た
解決出来ない問題
そこで現場に向かうことになつた

大勢で押しかけてもなので
居宅ケアマネと訪問看護が同行

ピンポンしても応答なし
時間をおいてまた、ピンポン
怒号が聞こえる

ドア越しの会話
帰れだけど顔だけでも見せていただけませんか、無理強いは出来ない
暴力を振るわれる前に退散するしかないのか

そう思った時にドアが開いた
玄関の脇に何か見えた
リードギターが立て掛けてある

土地柄や年齢構成から
「かなり前に、ゴールデンカップという
店がありましてね。矢沢永吉さんが
まだキャロルでデビューする前に
出演していたんです」

確か、バンド名は、ヤマトかザベースか
忘れましたが
他愛のない話に車椅子の男性の
怒号が消えた

「本牧のほうかな、
センセはバンドやつてたの?」

いいえ、ツェッペリンを好きな
友達に誘われてライブハウスに
見にいつた事はあります、ゴールデンカップ

「知ってます」
言葉が敬語に替わり、バイタルを取らしてもらえた。内服の話にもなつた
ケアマネと看護師はまたの訪問を
約束して話は終わった

誰もが病気になりたくてなつた訳ではない
半身不随になり生活は不便で不安で
仕方ない、絶望してるかもしれない

介護や看護困難の患者さんもいる
理解あるひとばかりではない
それでも
医療従事者は向き合っていかねば
ならない


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