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ある日から本が読めなくなった自分は鬱病だったのかもしれない。

ふと、ネットである記事を見つけて、あれ?自分も同じ症状だった、というか今でもこの状態に悩まされている事に気づきました。

鬱病になると本が読めなくなる。


もう少し詳しく言うと、文章が読めなくなり、頭に入ってこなくなる状態でして、以前に比べればだいぶ良くはなっているんですが、あれだけ好きだった小説やビジネス本などの活字の本や、漫画でも文字が多いものは読んで理解することが難しいときがあります。(ただ、書くことは好きなんですが)

いつから、この症状が出たかというと、9年前まで働いていた会社での辞める最後の1年くらいで発症しました。

新卒で入社して13年間、この会社で働き続けたんですが、とにかく忙しい会社で、よく言っても悪く言ってもブラック企業。

残業と休日出勤は当たり前で代休など取れず、有休使う奴は反逆者みたいな雰囲気で、平均年間休日20日、残業時間は毎月100時間超えは当たり前。この状態で90連勤とかやったり、今思えば正気の沙汰じゃない働き方してたと思います。

ついでに言うと、これだけ働いても残業代は「営業手当」という謎の手当に置き換えられ、1ヶ月に3,000円~5,000円だけ支給。
これだけ働きまくったおかげで、業界でも最年少クラスで支店長になったんですが、最後まで給料は手取り20万円を超えることはありませんでした。

それでも、仕事は楽しかったんですよね。こんな状況でも慣れれば天国。むしろ、90連勤が自慢話になるくらいの社畜っぷりで、部下にも「男は働いて死ね」とか言ってましたし、完全に会社に洗脳されてましたね。今思うとゾッとします。

ところが、変調をきたしてきたのが、支店長に就任した最後の1年。
ただでさえ忙しいのに、それに加えて支店の全責任を負わされ、休日は完全にゼロになり、絶えず仕事の進捗や結果に追い回される毎日。

ある日、マネージメントに関するビジネス本を自宅で読もうとしたら、急に嘔吐しました。
それまではビジネス本は自分に知識と知恵を与えてくれて、明日への活力になっていたはずなのに、この日からは自分を追い詰めるプレッシャーとしか感じなくなり、どんどんと本が読めなくなり文章が読めなくなっていきました。

もう、この頃から、明らかに心も体もおかしくなっていたんですよね。
症状はこれだけではなく、食べることが大好きだったのに、全く食欲がなくなり、部屋の片付けができなくなり台所の皿を腐らせたり、ゴミを捨てに行くということすら面倒になり、更には不整脈と手の震えが止まらなくなる、そして夜眠れなくなるといった症状が出始めました。

うちの母親も鬱病で長く苦しんでいるのを見ていたので、もしかしたら自分も・・・と思い、心療内科に行ったんですが、症状聞くだけで何も言われず、毎回、睡眠導入剤だけくれるという感じで、なんとなく「病院も何も言ってくれないし、仕事でも誰も助けてくれないし、見捨てられたんだ」と思うようになりました。

それでも、この状態で1年近く頑張り続けたんですが、症状は悪化する一方。文章が読めなくなるだけではなく、今度は数字が把握できなくなるんですよ。損益計算書とか読むことが厳しくなり、最終的にはコンビニでお釣りの計算ができなくなり、毎回、札で払うもんだから小銭の山になる。

そして極めつけが、会議に向かう途中の地下鉄のホームで

「あ、あれに飛び込めば楽になれるんだ」

このときの自分は生死の狭間にいました。

だけど、飛び込まず

「命より大事な仕事は無い」

と、自分で振り払って、このとき会社を辞めることを決断できたおかげで、今も生きています。

会社を辞めて地元に帰ってきて、それからは1年近くほぼ無職状態。命の回復期間に当てました。
仕事を辞めて、だいぶ気持ちが楽になったおかげで症状も解消されてきた部分もありましたが、とにかくしばらくは体と頭が疲労していて何もする気が起きない状態が続きました。

とりあえず、不整脈を循環器内科で調べてもらい、これは神経的なものだから落ち着くのを待つしか無いと診断され、手の震えは元々「本態性振戦」という病気を持っていたことが分かり、鬱病でこの病気の症状が悪化することがあるということを言われました。

地元に戻ってからも鬱病なのかどうなのか?ハッキリとしたことは分からなかったんですが(どこの心療内科も最低でも1ヶ月待ちという状態だったので、行かなかったんですが)、ただ何もせずにいては、このまま引きこもりとして朽ち果ててしまうと思い、週3でスポーツジムに通って運動に汗を流し、ネットで自分がやりたかった旅行や勉強をやりつつ、地元にほとんど友達がいなかったので積極的にSNSのコミュニティに参加して友だちを増やし、夜の街で笑いながら酒を飲むという、無職の帝王を満喫。

だけど、運動するのは苦じゃなかったんですが、人と会うのが本当に怖くて、無理やり自分を奮い立たせてコミュに参加して、知らない人と酒を飲んで酒の勢いで仲良くなったりしてました。
今はこんなことなく、普通にできるように回復してますが、当時は出かける直前まで手の震えが止まらなくなったりしたこともありました。

それから1年後、あれだけ酷かった症状もかなり緩和されてきたので、サラリーマンに復帰・・・したんですが、やっぱり失読症のような症状は改善せず、本を買っても読めない。会社のマニュアルを読んでも頭に入りにくい、という状況が続いていました。

そんな状況でしたので、このままサラリーマンを続けたら、また前に逆戻りするんじゃないか、という不安しかないまま1年が経とうとしたある日から、休みの日は体が動かず、何もしたくなくなるという、以前にも体感していた症状がぶり返してきました。

「これはまずい。また悪化する前になんとかしなければ」と、思えるうちに手を打とうと思い、「どうせ一度は死のうと思った命なんだから、人生残り半分、好きに生きてやれ」と決断。

7年前に独立開業して一人親方として自由気ままに働き今日に至ってます。

鬱病だったのか、鬱病じゃなかったのか、今だに分かりませんし、鬱病だった人間が1年程度で良くなって独立開業しないだろう、と言われるとそんな気もします。

ただ、本が読めなくなった症状が出てから9年になりますが、今も活字の本を読むのが大変です。昔はビジネス本は1時間もかからずに1冊読めていたのが、今は2時間、3時間、それ以上時間がかかり、頭になかなか入ってこない状況は続いています。
あれなんですよね、文章を読もうとしても「文章が滑っていく」んですよ。目で見ても頭に入らず滑っていく。疲れているからとか関係なしに、この症状に苦しめられてます。
が、まあ、ただ、これくらいの後遺症で済んだから、ヨシとしなければ、と思っています。

ただ、これだけは言いたいです。

鬱病かどうかは、本人は気づけないし、周りも気づかせてくれない。

鬱病じゃないにしても、人間は限界になると死を選びます。

自殺は計画的じゃなくても、衝動的にやってしまうものです。

今までにあり得なかった不調は心の悲鳴です。

逃げることは負けることではありません。勇気のあることの証です。

ツラい環境からは逃げてください。一番大切なのは自分の命です。

逃げたら、お日様の光を浴びて運動してください。そして笑える人の側にたくさん寄り添ってください。

そんなになるまで頑張った貴方の経験は、貴方が元気になったとき、間違いなく世の中に必要とされる経験です。安心して今は休んでください。

貴方を助ける人は必ずいます。

そして、ある日、必ずこう思います。

「あのとき、死ななくて良かった」

地下鉄に飛び込もうとしていた瞬間の自分へ言いたい言葉でもあります。

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