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夏のおわりに
24の夏が終ろうとしている。どの歳の時よりも寂しい季節であった。いつの時よりも猛暑だったにも関わらず、ぼくの意識は冷たい風の中にあった。これは、愛の持ち腐れだろう。
少年の時にはないなにかがぼくのここの中に溢れ出している。誰かに捧げなければならないものなんだろうこれは。これから生きていく上での世界像はもう完成しているのだずっと前に。ただ漠然とこの地球上であそぶ主人公であったぼくはもういない。これからは誰かに向かって行かねばならない。みんなで切り拓いた世界で愛を育まねばならない。
ある時に出会った友には、徐々に愛が注がれ始めていた。もう彼1人では生きていなかったのだ。少なくとも、彼と人生を共有する1人きりの存在を強く感じてしまった。またある友は新たな命を抱き締めていた。そこでは愛が循環していた。そこには強い覚悟なしには得られな愛の賜物があった。
訳も分からずぼくたちは求め合う。それが幸せであることを実は知っているからなんだろう。ぼくたちはみんな強いフリをしている。まっすぐ立っているように見えるようでゆらゆらと揺れながら、お互いに近づいていく。ヒトは世界という像を認識する。そしてそこで振舞うことを知っている。それぞれにとっての立ち位置を知っている。自然を相手にしては叶うはずがないことを知っている。人生を知っている。けれども全部知っているようでそこに確実性はない。だからぼくたちは求め合う。顔を、言葉を、感触を、身体を通じて。世界はひとりじゃないという不確実な確実性を探し求めている。その中で共に生きる人と出会うべきことは知っているのに。
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