ドロップアウトの窓辺

転居先のキッチンの正面には小窓が設けられている。そこを通じて、小鳥やセミ、下校途中のこどもたちの姿を感じる。ここは以前とは違う。”忙しい車”は通らないようだ。駅を降りればすぐに、とてつもない急こう配が待ち受けている。そうここらは丘陵地帯である。そして何よりも緑が多い。もう身体はこの場所に馴染んて来たようだが、働く手立てをどうしようか。いったい何に追われ何から逃げるようにしているのだろうか。この部屋には誰が追ってくるのだろうか。小窓から僅かに不安を吐き出しながら、考える。


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