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夏休み前に知ってほしい。子どもたちの水難事故をなくすためにできること。

 行政書士事務所開業準備中の大野です。今日は、所属している会社のグループ企業(株式会社ネオコンクリート)での取り組みについて、子どもたちの夏休みが始まる前に、どうしてもお伝えしたいことを綴りたいと思います。


✅後を絶たない痛ましい水難事故

 我が国では、古くは江戸時代から、農業生産に不可欠な農業用水を供給する施設として、多くのため池が築造されており、我が国の農業の発展に重要な役割を果たしています。
 一方で、農村地域の都市化や混住化に伴い、住民の生活圏内にため池が点在している地域が増えているのも現状です。
 そのような状況の中で、ため池への転落事故の危険性が増しており、ため池の管理に当たっては、一層の安全性の確保が必要となっています。
平成24年度からの調査によると、毎年のようにため池において、滑落等による水難事故が発生しているという現状があり、多い年で年間31件、平均して年間20件の水難事故が発生しています。
 その中でも、ため池水難事故においては10人に1人という割合で、20歳未満の子どもたちの命が失われおり、特に小学校低学年の児童が水遊び中に亡くなる水難事故は後を絶ちません。(令和5年2月『ため池の水難事故の現状と防止対策』農村振興局防災課)

 ため池で水難事故が発生した場合、管理者等に対する法的責任が問われる可能性があります。具体的には、民法第717条や国家賠償法第2条の損害賠償責任などが問われる場合があるため、今後も一層の安全管理や安全対策が必要となってくると思われます。

 こういった状況を鑑み、平成25年5月農林水産省農村振興局整備部防災課監修「ため池の安全対策事例集」では、水難事故対策の一つとして法面を這い上がりやすい防災タイプの張ブロック設置の事例が推奨されています。

✅ため池に落ちたとき、人はどう動くのか


 ここで、2022年に宮城県で実際に起きた、ため池水難事故をお伝えしたいと思います。
 このとき、池に滑落した小学1年男児が犠牲になりました。現場のため池には水面から土手に続く斜面に、陸に上がろうと頑張った跡が残されていました。大変痛ましい事故です。この、残された跡という直面しがたい現実に向き合わなければ、これからもため池での事故はなくならない、と専門家は断言しています。(参考:一社法人水難学会会長 国大法人長岡技術科学大学大学院教授 斎藤秀俊先生のレポートより)

 多くのため池において、いちど斜面を滑落し、入水してしまうと、容易には這い上がれなくなります。既存のコンクリートブロックや遮水シートは、非常に滑りやすく、這い上がるための手足がかりとしての機能をほとんど持たないためです。
 事故が起きた現場には、水面に下りるための階段が整備されていました。残された跡は、この階段からおよそ5mの箇所に、明瞭に残されていたということでした。

 水難事故では、人は落ちた元の場所に戻ろうとします。このように、少し横方向へ移動すれば、簡単に上陸できる箇所があるにも関わらず、です。

✅防災型ソルコマット®開発の経緯


 わたしたちが製造販売しているソルコマット®とは、ブロックマットと称される製品のひとつで、コンクリート製のブロック(ソルコブロック)を専用の接着剤を用いて、耐久性と透水性を兼ね備えた織布(フィルタークロス)に接着固定したマット状のコンクリート製品で、主に法面保護として使用されています。1991年の製造販売開始から、これまでの実績は2000件を超え、多くの皆さまに採用していただきました。

 このような販売推移の中、福岡県福岡農林事務所農村整備課様より、防災という付加価値のあるソルコマット®の開発依頼があり、わが社では平成28年に、防災型ソルコマット®の製品化に向けた本格的なプロジェクト会議が始まりました。

 このように、ため池における水難事故の増加という、解決すべき社会の切実な課題に伴い、防災型ソルコマット®の開発に至ったという背景があります。余談ではありますが、ブロックマットに対し防災型と謳って形状改良を行ったのは、わが社が初の試みです。

 これまでにも、用途に応じて数種類のブロックのラインナップがありましたが、ソルコマット®の主な特徴である【法面の保護、浸食防止機能】に加え、【ため池での滑落防止、もしくは転落時の容易な這い上がり】を開発テーマとして、製品化を実現しました。

✅一般社団法人水難学会との実証実験でわかったこと


 令和5年8月には、防災型ブロックの性能検証のため、一般社団法人水難学会による「ソルコマット防災型 技術適合審査結果」において、重大な水難事故を未然に防ぐ役割を備えているとして、水難事故に対する安全対策技術として適合すると認められました。


一社法人水難学会による技術適合審査結果認証


南日本新聞に掲載された実証実験に関する記事


鹿児島建設新聞に掲載された実証実験に関する記事

 この水難学会との共同による実証実験は、大変有意義な結果をもたらしました。また、実験には地元住民の参加もあり、実際に這い上がってくる様子を目の当たりにした住民からは、命を救う効果がある施工であるとの、安全性を評価する声をいただきました。
 一方、防災型ではない一般的なブロックが施工された箇所では、そもそも這い上がることができないということも実験で明らかになりました。 

✅大切な命をため池で失わないために、わたしたちができること


 わたしたちは、痛ましい水難事故を少しでもなくしたいという切なる思いから、防災型ソルコマット®が、ため池水難事故を未然に防ぐのに有効であることを、たくさんの皆さまに知っていただきたいと思い、日々活動をしています。
 防災型ソルコマット®の資料につきましては、いつでもご請求ください。
 詳しい説明が必要であれば、いつでもご説明に参ります。

 わが社では、これからも、環境の保全を目指した製品を皆様に提供し続けるとともに、時代のニーズや社会の課題に応えるものづくりをしていきたいと思います。
 
 本日は最後までお読みいただきありがとうございました。

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