離党後に書いたnote記事を理由に、日本共産党から、除名の次に重い「処分」を受けました
離党してから約1ヶ月後に日本共産党からメールが届く
3月8日に、日本共産党(以下共産党と表記)千葉県中部地区委員会のT委員長からメールが届きました。内容は以下のとおりです。
共産党の内部事情が知らない方には、何を意味する文章なのかわからないと思います。また、「処分」の理由については、極めて非論理的かつ支離滅裂で、理解不能でしょう。
そこで、端的に解説をします。
まず、筆者は、2022年10月末に共産党の勤務員を退職しました。最大の理由は体調不良です。1月に赤旗配達中に大怪我をし、それ以降、疲労・不眠などに悩まされていました。他にも退職理由として、党への不信もありました。
その時点で、筆者は、共産党千葉県中部地区委員会の常任委員かつ地区委員という役職についていました。
退職にあたり、この二つの役職を解任してほしいと口頭でお願いしたのですが、なぜか地区委員については、筆者への確認もないまま、継続されていました。
筆者は、共産党職員を退職したあと、政治と何ら関係のない会社で働くことにしました。したがって、地区委員という共産党の幹部としての活動は不可能です。
にも関わらず、なぜこうなったのかは分かりません。聞き間違いでもあったのでしょうか。
いずれにせよ、意に反して「地区委員」は継続されましたが、それに伴う活動は何一つしませんでした。
ただし、この時点では、一度は離党を考えたものの、親しい党員からの説得に納得し、共産党員を続けていくつもりでいました。
しかし、退職後に起きた小池パワハラ事件・千葉県書記長除名事件における県委員会の対応・松竹伸幸氏除名事件、さらにはその間に発せられた共産党中央の見解を読む事により、だんだんと考えが変わっていきました。
そして、2月9日に行われた志位委員長の談話を翌日の新聞で読み、それを読んだあとに、離党届をメールしたのです。
その結果、「現職の地区委員が離党」という事態になりました。その扱いについて、県委員会どころか、中央委員会まで関わってきて、冒頭に書いたメールのような「処分」が決まったとのことでした。
「処分」の理由
メールの文章は、共産党内部用語が多用されている上に、論理的に滅茶苦茶なので、普通の人には理解できないと思います。
ただ、結論は明確です。
「意見の違いを理由に外部に離党表明」というのは、離党した理由の一部を書いたnote記事「2月9日志位発言の問題点など」に対するものです。
それによって、筆者は共産党に「処分」されてしまったのです。
なお、細かい事を言うと、共産党にとっては、離党届を受理したあと、いくつかの党内処理を行い、それが完了した結果、離党手続きが完了する、という事になります。
したがって、冒頭のメールにあるように、筆者の離党日は共産党の記録では2023年3月11日となります。
しかしながら、それは事務処理上の都合でしかありません。
筆者は、2月10日に離党届を出した時点で、共産党員という自覚は一切なくなりました。当然のことです。
以降は共産党に対する厳しい批判もこのnote記事のみならず、ツイッターでも発表しています。
一方、共産党のほうでは、「事務処理が終わっていないから党員だ、だから処分する」という理屈でこのような事をおこなったわけです。
それにしても、この理由はいくらなんでも無理がありすぎます。
事務処理上は「党員」かもしれませんが、こちらは離党届を出しているのです。
しかも、筆者の離党は、離党を表明したツイートを週刊文春が紹介するなど、そこそこ話題になりました。
ならば、自身で離党した理由を説明するのも当然の事です。誤情報が飛び交ってしまっては困るからです。
実際、筆者の離党の理由について虚偽のツイートをした共産党都議もいました。
自らの行動の理由を説明する事のどこがいけないのでしょうか。そして、それは「処分」に値する事なのでしょうか。
いずれにせよ、2月10日に離党届を提出したにも関わらず、2月15日に書いた記事を理由に、3月11日に「役職からの罷免」という「処分」を受けました。
処分のあとに離党手続きが行われたわけです。
日本共産党の処分について
さて、除名処分が大きく報じられましたが、共産党の処分にはどのようなものがあるのでしょうか。
共産党の規約にはこう書かれています。
離党した理由をnoteに書いたことにより、筆者は「党と国民の利益をいちじるしくそこな」ってしまったようです。
ところで、規約四十九条にある通り、一番重いのは除名です。一方、一番軽いのは警告です。
この事は、パワハラで「警告処分」を受けた小池書記局長が、以降も平然とTVや赤旗一面に出続けていることからも明らかです。
そして、筆者の受けた「機関からの罷免」は除名の次に重い処分です。
せっかく「処分」してもらったので、共産党における処分の事例並びに、問題を起こしたけれど処分されなかった事例をいくつか調べてみました(氏名については敬称
まず、権利停止処分を受けた元草加市議のF氏ですが、不倫・セクハラを理由に議員辞職に追い込まれています。(参考・佐藤のりかず市議ブログ)
元共産党の理論雑誌「前衛」の編集長で、中央委員在任中に痴漢で現行犯逮捕されたK氏は、中央委員を罷免されました。筆者と同じ「機関からの罷免」を受けたわけです。
話題の松竹伸幸氏ですが、表にあるように、同趣旨の内容の本を出した鈴木元氏は何の処分もされていません。(追記・2023年3月15日付で鈴木氏も除名されました)
また、処分を受けなかった事例で挙げた富田林市議のO氏は、同僚議員にモラハラ・パワハラを繰り返しました。大阪府委員会も、氏のハラスメントを認めたのですが、現時点で処分はされていません。それどころか、地元の共産党は、被害者の市議を村八分扱いしています。
(2023年3月26日追記・パワハラを理由に、一番軽い「警告」処分を受けたと発表されました。また、地区委員も本人の希望により「解任」されました。地区委員を「罷免」された筆者に比べると極めて軽い「処分」です。なお、氏は離党のうえ、無所属で次の選挙に出るそうです。)
杉並区の件に関しては、東京都委員会のサイトに、見解が載っています。加害者を処分したとはどこにも書かれていません。
先日、共産党の長崎県委員長と書記長が、「共同通信配信の松竹氏インタビューを掲載した」という理由で、長崎新聞社に「抗議」をしました。
公党が憲法21条で認められた報道の自由を侵害したわけです。
多くの批判を受け、抗議は撤回されました。しかし、当事者の長崎県委員長・この件に関わった中央委員・「抗議」を肯定的に掲載した赤旗編集委員会への処分は一切ありません。
これに関する会見で、小池書紀局長は「言論の自由を断固として守る」などと言っていますが、言論の自由を侵害した幹部に対して「処分なし」では何の説得力もありません。
加えて言えば、筆者の言論の自由も全然守られていません。
これについて報じた産経新聞記事の一部を紹介します。
赤線部分をみれば、かなりの詭弁・強弁である事は明白です。この持って回った言い方を解釈すれば、常任幹部会に上げられない状況で、志位氏・小池氏ではない、常任幹部会に所属する人が、この「抗議」にGoサインを出した、と解釈するのが普通です。
そして、小池氏は自民党がよくやる「秘書がやった」論法で、常任幹部会の責任から逃れようとしています。
いずれにせよ、筆者は、パワハラ・セクハラ・報道の自由侵害を行った人々より重く、痴漢の現行犯で捕まった人と同レベルの「処分」を受けてしまったわけです。
処分の意味と効果について
というわけで、痴漢と同レベルの重罰を受けてしまった筆者ですが、既に離党していたため、強い不快感こそあれ、何一つダメージを受けてはいません。
それもあって、「やはり共産党を辞めてよかった」などの、プラスの感情しかありませんでした。
当たり前の事です。
そもそも、処分とは何のために行うのでしょうか。
共産党として、組織に残すのにふさわしくない人を追い出すのが除名です。一方、他の三処分は「問題を起こしたため、一定の制裁をする。反省し、引き続き党員として頑張ってほしい」というもののはずです。
しかし、筆者の場合は、離党しているのです。処分の効果など、何一つありません。
また、処分には他の党員に対し、「このような事をしたら処分される」と認識させ、党内の規律を維持する効果もあるでしょう。
これについても、今回の処分に効果はありません。この処分を知って、「わかった。自分も処分されないよう、将来離党したときは、手続き終了まで離党の理由を発表しないようにしよう」などと思う党員も一人もいません。
つまり、この処分は、筆者にとっても共産党にとっても、まったくもって意味がないのです。
そのような事のために、統一地方選が目の前にせまっているこの重要な時期に、中央委員会までが出張ってきて、少なくない時間をかけて、筆者の処分について論議していたわけです。
「時間の無駄」の見本のような行為です。
ちなみに、冒頭のメールが筆者に届いたのは夜の22時42分でした。最初に自身が考えた常識的な案が許可されなかったうえに、中央・県にいる、論理的思考力を持たない「幹部」のせいで、こんな遅くまで働かされてしまったT地区委員長には心底同情します。
ではなぜ「処分」をしたのか
何の効果も意味もない処分を、離党した筆者に行った理由は何でしょうか。
処分の理由は、noteに「2月9日志位発言の問題点など」を発表した事です。読んだ中央や県の幹部は、さぞや惨めな思いをしたと思います。
そこで、彼らが持っている権力をふりかざして、筆者を「処分」したくなったのでしょう。
その理由として挙げたのが「意見の違いを理由に外部に離党表明すること」でした。
党規約第十七条「党の全国方針に反する意見を、勝手に発表することをしない」を使わなかったのが興味深いところです。
まあ、これを使ってしまうと、筆者の書いた文章のどこが問題なのかを論じなければならなくなります。
しかし、筆者による志位氏の発言や赤旗政治部長の文書への指摘を覆せる反論を書く能力は、中央委員会や千葉県委員会にはありません。
だからこそ、「離党表明を公表したこと」を使ったのだと推測しています。
しかし、既に離党届を出した筆者が「noteに離党した理由を書いた事により、痴漢の現行犯で逮捕された人と同じ処分をされる」というのは明らかに異常です。
加えて言えば、「意見の違いを理由に」などとつけてしまうと、「やはり異論を許さない党だったのだな」と判断せざるをえません。
そのような党へのマイナス評価よりも、自分たちの権力誇示を優先したわけです。
筆者の場合は、党籍ならびに地区委員という役職が残っていたために、このような嫌がらせをしてきました。
一方、筆者と同じ2017衆院選小選挙区候補だった埼玉のHさんは、離党したあとも、無償で赤旗の配達・集金を続けていました。
ところが、Hさんがnoteで共産党を批判する記事を書いたところ、上からの指示で、配達・集金を辞めさせられました。
別にHさんにとっては、自由に使える時間が増えただけで、何一つ害はありません。
一方、地元の支部は、配達・集金の負担が増えてしまいました。
権力を振りかざして異論を排除するためには、支部や党員の負担がふえても構わない、という考えなのです。
筆者に対して愚かな決定をした中央委員会や千葉県委員会には呆れ果てています。
一方で、常識的な解決法を提案していたT地区委員長ですが、「処分」が可決された事を伝えるメールのなかでも、自分の体調を気遣ってくれました。
また、党員時代、自分が最もお世話になった方は、離党後に、自分をねぎらってくださいました。
そのように、「下」にいけば、まともな人はたくさんいます。しかし、「上」の劣化は想像以上に酷い事がよくわかった、今回の一件でした。
共産党中央が、「元同志大野よ、あなたが思っているより、我々はもっと酷く劣化しているのです。」という言いたかったがゆえの「処分」だったのだな、と思っています。
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