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書かざるを得ないね…

僕は理屈っぽいくせにくだらない悪ふざけをする彼をずっと苦手にしていたが、去年末あたりからYouTubeで彼の様々な肉声を聴いたりもちろん作品を聴いたりしてきて、そうした中で三歳の頃の写真を見て年端もいかないのに子どもらしからずの表情を見た。

そして瞬時にこの人は音楽に限らない天才であり、故にその時々にやりたいことをやってきた人だったのだと理解して素直に受け入れられるようになったけど、それから掘っていけばいくほどまぁとんでもなく面白いことばかりだったな。

内容に富んでいながらわかる人にはニヤッとさせる対談を数多く残した浅田彰と真面目にわかりやすくバッハを伝える一方、明石家さんまとの録音ではロクでもない遊びをヤり続けていることを確認しあっていたり。
(クラシックの有名どころも散々で酷い「遊び」はしてきているから、その直系の後継である彼がそんなことをやっていたのは当然とは言える。今現在の価値観では違和感があったとしても。)

尖っている時期にあれは演歌みたいで嫌いと言い切った『線メリ』はやはりこの先も残るし、後年は極めて大切に思いを込めてこの曲を演奏していた。

『ビハインド・ザ・マスク』がなぜ海外でウケるのかを彼は考え続け、ロックでエレキギターを一躍主役に押し上げたギター・リフを鍵盤でやってみたあたりにあるのかなととりあえず結論を出していた。
(スコラ音楽の学校・ロック編四回目)

確かにあの曲はピアノで弾くのは難しいのにギターなら指をネック上でスライドさせたり弦を離したり押さえたりするだけで簡単に演奏できることを確認させた上で、そのこといつわかったの?とか、つくるのにどのくらい時間かけたの?とかピーター・バラカンに聞かれて、数十年ずっと考え続けてまだわからないとか、つくるのは一瞬でできちゃったとか答えていて、一種の畏怖の目で見られたりもしていた。もちろん僕もそうなってしまった。
ポピュラー音楽の分野では、この曲は今後もカバーする人は出てくるだろう。

幾らでも彼の生涯に渡る肉声は残っているから、お楽しみはこれからと言ってもいいですね。

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