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37人目

【37人目】Sさん、20代 同い年(pairs)

Sさんとは唯一、友人として現在までつながりがある。

背が高く細身の彼は、とても優しく穏やかな性格で、優柔不断だった。

会う日が決まり、お店の予約をしてくれるというのでお任せしていると「カウンター席しか空いていなかったから、時間変更かお店変更したほうがいい?」と連絡が入った。

カウンターがダメな理由がわからなかったが、本人が嫌だという可能性も考えて「私は気にしないけどSさんが気になるなら」と答えると、カウンター席の予約を取ったとのことだった。

わざわざ確認を取ってくれるなんて真面目な人なんだな、とこの時は思ったが、当日お店でも注文する食事を全く決められない。それはこの日に限ったことではなかった。

優柔不断だと本人も自覚していたが、決めようという努力は特に感じられず、私に全て決めさせるのだった。

・・・

Sさんは恋愛経験がほどんどないらしく、また長らく彼女がいなかったせいかいつも緊張していた。

同い年だしお酒を飲んで打ち解けようとたくさんお酒を飲んだ日があった。

彼はお酒に強く、私の手が止まっていると、飲まないの?と煽る。軽く意地を張った私は目を開けていられないほど酔ってしまい、つい肩を借りて寝てしまっていた。

目が覚めた頃には彼は終電をなくしていた。
手をつながれ、お店の外に出る。私のせいだしなんとなく今日はこのまま流れでホテルでもいいかな、と思った。

ところが彼は家までたどり着けないのに帰ると言って1人電車に乗って行ってしまった。

私の酔いも少しずつ醒め冷静になり、ホテルでもいいか、なんて思ったのを恥じながら帰路についたのだった。

・・・

彼は本当に優しい。
体調が悪かったり、仕事が立て込むと本気でお母さんのように心配をしてくれる。

たまに優しすぎて損をしているなと思うこともあったので、それとなく伝えたりもしたけれど、「仕方ない」と諦めていた。

そんな彼にも、相手を受け入れられない事柄があった。

それを聞いた時、私がそれに当てはまっているような気がした。彼が知ったら、恋人としてうまくはやっていけないだろうと自信をなくした。

・・・

4回目のデートの終盤、「告白される」空気を感じた。彼がそわそわしながらムードのある場所を探し始めたからだった。

優柔不断なのでなかなか場所が定まらなかったが、やっとの思いでそれっぽいところへたどり着き、正式にお付き合いを申し込まれた。

きっと付き合ったら大事にしてくれるだろう。しかし、やっぱり彼の受け入れられない事の話がひっかかりOKすることができなかった。

一度持ち帰って考えたのだけれど、結局「友達でいる」という答えが一番腑に落ちた。

私の気持ちを伝えると、彼も友達になると言ってくれて一つ肩の荷が下りたように接し方に変化があった。

・・・

「友達に」と言いながらなんだかんだそれっきりになることは多い。

彼とは今もたまに連絡を取ってお互いの恋愛の話をしたりもするけれど、友達という選択を尊重してくれた彼の優しさに感謝している。

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