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39人目

【39人目】Mさん、20代 歳下(タップル)

Mさんとは初対面な感じがしなかった。
学生の頃仲良くしていた男友達にとても似ていたからだろうか。写真では横顔しか写っていなかったのでまさかこんなに似ている人が来るとは思っておらず、いざ会ってみたら話し方も背丈も顔の印象も、もはや友達そのものだった。

お昼頃から待ち合わせをして昔ながらのカレー屋さんで昼食を済ませ、渋めの喫茶店でコーヒーを飲んだ。マイペースな彼に波長を合わせていく。穏やかな気持ちになった。

少し前からゲーム機の購入を考えていたらしく、家電量販店へ行きたいと言うので喫茶店を出てついて行くことにした。

ゲームコーナーで30分以上は悩んでいたと思う。購入に踏み切れるよう背中を押したり、付属品を一緒に選んだりした。初対面のデートですることではないな、と思いながらも不思議と自然にそんなやりとりもできていたのだった。

・・・

気がつくと外が暗くなっており、そろそろ解散しようとしたところ、彼の方から一杯だけ飲まないかと誘ってくれたので近くのお手頃な大衆居酒屋へ入ることにした。

そこでの会話も他愛のないものだったと思う。昔から知ってるような感覚の相手なので、恋愛に発展するような話を全然することができなかった気がする。

そして会計の時、事件は起こる。
ゲーム機を購入した彼は、現金を全く持ち合わせていなかった。
故に、私がその場で全額払うこととなった。
幸いお手頃な居酒屋だったので高額とはならなかったが、彼からお金が返ってくることはなかった。なぜ誘ってくれた時にお財布を確認しなかったのか…。少なくとも私ならそのあとコンビニに寄って現金を下ろして返すだろう。

・・・

後日、お誘いなのか絡みなのか判断がしづらい連絡が届いたりしたが、考えるのが面倒になり、もう一度会いたいと思えるほど気持ちを盛り上げることができなかった。

友人に似ているというのは安心感に似たものがあったけれど、恋愛的な気分にならない大きな原因にもなってしまうのだと感じたのだった。

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