合コン編、Kさんの場合 前編
マッチングアプリをする傍らで、出会いの場にはできるだけ顔を出すようにしていた。
幼なじみに誘われて参加した合コンで三つ歳上だったKさんと出会い、そして沼にハマった。
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社会人になってから合コンに行ったのはこの日が初めてだった。学生の頃にも何度か参加したのだが、うまく話せなかった思い出しかない。
緊張しながらお店へ入ると、すでに3人の男性が。飲み会好きな幹事とお調子者のTさん、そしてその友人のKさんである。
初見ではタイプではなかったけど、笑った顔が可愛くて一瞬でハートを撃ち抜かれた。
面倒見の良い性格なのか、暴走しがちなTさんのお世話役と呼ばれていたし、騒がしいノリについていけない子にはさりげなく話題を振ってあげるなどの気配りができる人だった。
昔から、場を俯瞰して見ることができる人に惹かれがちだった。そういう意味でも周りに気を配ることのできる彼は、私の中で一気に気になる存在へと浮上したのだった。
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二軒目で行ったカラオケで、トイレから戻ってきた彼が私の隣に座り、2人で話すことができた。
周りの音に声がかき消され、お互いの耳元に顔を近づけ会話する。さりげなく肩に触れられると、フワフワとした気持ちになる。
あとで幼なじみから、彼が私の隣に座りたがっていたのだと聞いて嬉しかったのを覚えている。
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解散後、すぐにKさんからLINEが届いた。
「美味しいお酒のお店があるから行きましょう!」
気になる人からの連絡にどうしようにもニヤニヤがとまらない。
社交辞令の可能性も考えて一旦は引き気味でいたが、翌日になると日程の候補が送られてきたので嬉々として返信をしたのだった。
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約束の日、彼が言っていた美味しいお酒のお店へ行き、夕方から2人でお酒を飲んだ。
気になる人と飲むお酒はどうしてこんなにも美味しいのだろうか…。
なんとなくお互いの恋愛の話になったので彼の過去について探ってみると、意外にも彼女が6年以上いないと言う。
振る舞いを見ていてもモテそうなのに。不思議に思ったが、長らく彼女がいないというのは私の中では好印象だった。そしてちょっとだけミステリアスに映ったのだった。
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その後も毎日LINEを送り合った。
私は彼のことを好きになると確信した。というか、たぶんもう好きになっていた。
彼の方から次のデートの打診もあり、少なからず私のことを気にしてくれていると思っていた。
だから、出来るだけ気持ちを隠さずに素直に振る舞った。きっと彼は私の好意に気づいていたと思う。
それから二週間が経った。約束していた1日デートの日、一緒に過ごして改めて思った。
Kさんと付き合いたい。
ただただ楽しくて浮かれてた。
もう絶対に彼しかいないと思ってしまった。
彼は自分の家族や、自身の将来について語るようになった。
彼の言うことには共感できたし、悩みを抱えていれば一緒に解決したいとまで思えた。
何よりも、私にこういう話をしてくれたことが嬉しかった。
思えばこの時が沼の始まりだったのかもしれない。彼の掌の上で転がされている(むしろ自ら転がっている…?)ことに気付くことができずにいた。
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夜は居酒屋を何軒かハシゴをしてお酒をたくさん飲んだ。
お店を出ると楽しさはピークを迎え、フラフラな足取りで出会った日と同様にカラオケへ向かうこととなった。
お互い少しだけ歌うと、急に後ろから抱きしめられ、そしてそのままキスをした。
思いのほか遠慮がちに近づいてくるので、もどかしくなり受け入れてしまった。
カラオケを後にして、私たちは颯爽とホテルへ向かうことにしたのだった。
後編へ
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