36人目
【36人目】Rさん 20代、同い年(pairs)
ペアーズを再開してから少し経った。多くの人とのやりとりに疲れてしまい、Rさんのメッセージには1ヶ月ほど返信をしていなかった。
そろそろ一区切り付けようと思ったが、Rさんに返信していなかったことに少し後ろ髪を引かれた。
返信が来ないのを覚悟して久しぶりにメッセージを送ってみると、「久しぶりですね!」と嫌味なく返してくれたのだった。
・・・
ところが、実際会ってみると思っていたよりも鼻にかけたような話し方をする人だった。
彼はトップの国立大を卒業した超エリート。
勤め先も誰もが知る一流企業で、日常でもその会社のロゴをよく目にする。
彼が自らそのロゴを指差して「自分の会社なんだ」と教えてくれたので、「すごいですね」ととりあえず返した。
・・・
私もいじわるなので、彼のプライドの高さに気づいていながらも反応をあまり示さなかった。
「ねぇ、泣いたことある?」
突然、テーブルに肘をつき手のひらを組んで、じっと睨むようにこちらを見ながら問いかけられた。
もちろん泣いたことあるし、なんなら感情移入しやすくて映画なんかでもすぐ泣いてしまうタイプだよ、と言うと、「感情があまりなさそうだよね」と納得のいかなそうな表情を浮かべていた。私の何を知っているのだろう、と思った。
彼は続ける。
「最近いつデートしたの?」
実際はアプリを通じてかなりの人数とデートしていたけれど、重ねて会っている人もおらず、一度きりのデートをデートと呼んでいいものか。正直に答えられるはずがない。
「しばらくしてないかな」
と答えると、
「俺は先週したよ。来週も行く」
と言うので、もう今日は不毛な時間でしかない、と私の中で彼をナシへと振り切ったのだった。
・・・
「また食事誘っていいですか?」
帰り道にそう聞かれ、あなた来週デートするんじゃ…?と喉元まで出かかったが、
「そうですね」
と無難な返事をしてしまった。
「今までで一番手応え感じないわ」
なぜか腰に手を当て、私の顔を覗き込むように一言残し、彼は改札をくぐって行った。
・・・
彼のデートの予定は正直どちらでもよかったが、並行してる、という話をされたのはRさんが初めてだった。
19人目のRさんと遊んでいた時に、別の人の話をしてしまうというミスを犯したことがあったが、こうしてやっと聞かされた側の気持ちを改めて理解することができる。今後にいかしていこう、と思ったのだった。
あと、返信が1ヶ月も遅れてしまったことに関しては反省してる。
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