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家で飼っている猫である

彼の名はハッキリしていない。ムーちゃんと呼ばれている。

何故そう呼ばれているのか。「名前がついてないから『無名(ムナ)』で、称して『ムーちゃん』」「月刊誌ムーから取った」「猫はいつもムッとしてるから」などの説があるが、そこら辺はあやふやである。

結局のところ、買い始めて一年近く経つ今になっても、「ムーちゃん」と呼んだところで猫は反応しないため、名前なんて所詮、人間がその個体を識別するためだけに存在する道具なのかもしれない。

猫にとってもそうだ。生まれてきた瞬間を見たわけでもない(譲り受けた猫だから)のに、勝手に主人を決められて勝手に引っ越されて勝手に名前を付けられるのだ。愛着なんて湧きやしない。

ただ一つ言えるのは、ムーちゃんは我々家族にとって、癒しの存在であるということだ。

彼が「ニャア」と一言浴びせるだけで、我々の声はいきなり甲高くなり、「どうしたの〜〜?」とせり寄るのだ。

我々が帰宅したときも、一人が寂しかったのか、ひっついてくる。寝ているときもあって、それもかわいらしい

抱いてあげると嫌がるが、シャーともスンとも言わない。最後には暴れ回って腕の中から脱出するのだが、そこまで含めて愛らしい。

名前などというのは、少なくとも猫にとっては所詮、識別するための道具だ。

しかし、猫には優しくしてあげよう。優しくしてあげたいし。

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