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寄稿『-土木・建材・工法における我が国の知的財産活動について- 建設業における知的財産活動の概観と展望』【著】大樹七海 「建材試験情報Vol.57」<一般財団法人建材試験センター>

一般財団法人建材試験センターの機関誌「建材試験情報」Vol.57 2021年9・10月号に、上記タイトルにて寄稿致しました。

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1.想定読者像

今回、知財について初めての方から、中上級の方までを対象とする、というイメージで執筆いたしました。

建設業界における知的財産について考えるにあたり、「建材試験情報」誌の読者の皆様の中には、「知的財産活動を積極的に推進している」という方から、「日常業務において知的財産活動をさほど意識したことはない」という方まで、様々におられるかと思われます。知的財産活動に対する、この様な温度差は、後述する様に、他分野と比較して建設業界特有の事情が存在することが考えられます。産業全体の知財活動の中で、建設業界の占める割合は高くありませんが、それが今後の建設業界の知的財産活動においても重要性がないということではありません。”

2.知的財産活動とは

そもそも、タイトルにある「知的財産活動」も、どういうことを指すのだろうか、と思われる方もおられるかと思いまして、説明を入れさせて頂きました。

"知的財産活動は、伝統的な特許権、実用新案権、意匠権、商標権の創出と活用、それらに関する係争に加え、営業秘密(ノウハウ)やプログラムなどの「著作権」まで広がりました。近年は、IoTやAI、ロボットにビッグデータを活用して、新たなビジネス”の創出を目指す、第4次産業革命の波を受けています。これに伴い、知的財産活動は、「データ」や契約や知的財産に基づく大学や異業種や海外との「社外連携」に活かされ、オープンイノベーションの動きが活発になりつつあります。一方で、ネット上で情報が容易に入手できる状況にある中、海外市場に…(続きは本誌をお読みください)

3.知財部について

知財部をお持ちの会社ばかりではないとも思います。知財部について説明を入れさせて頂きました。

”知財部では、一般に、知的財産の創出・保護・活用に関わる、調査・出願・申請手続き・契約・交渉などに関する業務が行われます。自社及び他社の権利の質や内容、競争力、市場規模と将来予測、リスクの大きさなどを多岐にわたって把握・判断し、事業戦略に活かすことが求められます。(略)「特許権・実用新案権・商標権・意匠権」の業務が中核となります。近年では、コンプライアンスの観点から、技術情報発信時における著作権のトラブル防止、不正競争防止法等を念頭に、自他社秘密情報の不用意な漏洩防止のためのリスク管理へと業務が拡大しています。また、建設業界においては、JVや工区割り、各種技術工法協会における知的財産の取扱いなども含め、いわゆる「標準化」に相当する対応にも関係しています。”

4.分野別における知的財産権活動

世界最大級の知的財産ユーザー団体として、今年9月で設立83年目を迎える、一般社団法人日本知的財産協会が挙げられます。
2021年6月9日現在の会員数は1,343社であり、このうち建設分野は48社で、全体のわずか3.6%となります。
本稿では、電気業界、化学業界と比較しています。産業分野により、ビジネスモデルが異なるため、収益構造は様々で、それに伴い知的財産活動も多様となっています。

5.知的財産活動に及ぼす建設業界特有の事情

他業界に比較して、知的財産活動に及ぼす建設業界特有の事情については、6つの観点から要因を考えましたので、本稿をお読み頂ければと思います。

6.建設業界の出願状況
7.大手5社の知的財産活動
8.中堅・中小 建設企業 における知的財産活動
9.工法における知的財産権

続いて、建設業界の出願状況、そして大手の動き、中堅中小企業の活動を見ていきます。
とりわけ、建設業における知財を活用したビジネスモデルの基本類型のなかでも、工法について取り上げました。

10.国土交通省のNETIS について
11.国土交通省のi-Construction について

最後に、新技術の研究開発や普及を促す役割を担う同制度について、知財の観点から考慮すべき点を取り上げさせて頂きました。

上記いずれかの項目に、ご興味ありましたら、各項目は短く読み易いので、ご活用頂ければと思います。



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