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<知財界の教育>2024年「弁理士の日」企画寄稿:大樹七海

 毎年、ドクガクさんこと内田浩輔弁理士により、7月1日の「弁理士の日」を記念してテーマが発表され、知財関係者が、各々のブログ等の媒体上でそのお題に沿って寄稿されるのが常となっています。

2.これまでの寄稿リスト(2016~2023年) 

 ドクガクさんのお誘いを受けて、今年で参加9年目(えっ、9年目!?)になります。過去の寄稿リストを以下にまとめてみました。

🌟2023年
「科学・知財コンテンツ制作に対して思うこと&新連載について」(この時は超大変でマンガ制作できず)
(テーマ:「知財がテーマのコンテンツ」)

🌟2022年
「宇宙人と結んだ条約」漫画
(テーマ:知財業界での大ピンチ)

🌟2021年
「弁理士ウェイの世界」漫画
(テーマ:知財業界での夢と希望)

🌟2020年
「アフターコロナの世界」SF知財漫画
(テーマ:コロナ終息後の知財業界)

🌟2019年
「特許の鉄人」イラスト
(テーマ:知財業界での初体験)

🌟2018年
「弁理士VS便利屋」漫画 
「特許制度VSアンチパテント論」漫画
(テーマ:知財業界のライバル)

🌟2016年
AI知財漫画
(テーマ:知財業界でホットなもの又は新しいもの)

3.「知財業界の教育」について

 今年選ばれたテーマは「知財業界の教育」です。
今年は頑張って、マンガ描きました!(1.5日費やす)
では、どうぞ!!

『知財業界の教育』変遷 大樹七海 2024年7月1日

《知財界の教育》について

 知財界の教育についてですが、大きく分けて、以下の3つが挙げられます。

(1)弁理士試験受験対策(アカデミック)

(2)実務修習(弁理士スキル)

(3)周辺法律・経営手法やマインド(経営スキル・人生スキル)


(1)弁理士試験受験対策(アカデミック)について

 まず①「弁理士試験受験対策」については、
過去問/条文/審査基準/判例を基本とし、最短合格のノウハウは先輩(塾等)から入手します。
他の受験生の中での己の位置を知る(相対試験でもある)/スケジュールを理解します。
 これら対策については、以下にマンガ『弁理士への道』(弁理士試験ノウハウ・シミュレーション仮想体験)を描いていますので、ご活用下さい。
 多くの受験生を見続けてきました(多くの受験生から報告を毎年頂いてきました、ありがとうございます。悲喜こもごも心に残っています)。
 今後もアップデートできればと思っており、その際には仲間を集めさせて頂こうと思っています。

(2)実務修習(弁理士スキル)

 次に②「実務修習」について、弁理士試験合格者は合格後に「実務修習」必須で、また弁理士会で「明細書作成の塾」も開かれます。また常に「弁理士会の研修」で多くの講座が提供されています。
 一般向けには、特許庁INPIT等が多くの講座を用意しています。また「IPランドスケープ」などの調査かつコンサルスキルも民間団体等の講座から学ぶことができます。
 主にOJTで学んで行くのが主流ですが、実務書籍やWEB上からも有用な知識を入手していきます。書籍ですが、あれだけの知識が詰まっていて、あの値段はものすごく安いです(書籍にもよりますが)。
 知財の実務系を集中して扱っている出版社として挙げられるのが、発明推進協会経済産業調査会は令和6年3月31日に解散し、発明推進協会に吸収されまして、今後、「現代産業選書」シリーズなど、発明推進協会より出版されます)でしょう。

 数は多くありませんが、知財系を扱う出版社は他にも幾つかありますので、今後書こうと思っていますが、書店の知財コーナーで、色々手にとってみてみると、自分の自分の段階や欲求にあったものが分かると思います(色々見方はあるのですが、今回はこの辺で)。
 私は今後、「みなさんの知財系出版の手助けをしたい」と考えているので、このあたりもまた書きたいと思っています。

 尚、私が出しているものとしては、以下があります。

◆国内法・弁理士関連についての書籍(日本の弁理士の歴史も)
『弁理士にお任せあれ』(発明推進協会)

 一般の方にむけて書いていますから、営業向け・特許事務所事務の方・新入社員の方におススメです。
 弁護士との違い、弁理士は口でなく、ペンで戦う、<権利を形成するという、クリエイティブ業務>であることを、初めて強く提唱した書でもあります。またかなり意匠権についても力を入れています。

◆諸外国・知財法律周辺についての書籍(世界の知的財産権法の歴史も)『世界の知的財産権』(現代産業選書シリーズ)

 上記が「国内法」であれば、こちらは「諸外国の法関連知識」を、極めて幅広くかつ横断的に扱っています。クライアントと海外にあたる際に、その国を理解するために一読して頂くと、その国の考え方及び法改正の方向性がわかってきます。

◆いままでにない、三位一体(学術面・実務面・社会生活面から同時に考えた)の知財全般解説・WEB誌上講義
『大樹七海の知財教室』(建材試験情報)

 一般の方向けに、しかし極めてハイレベルかつ最新の法・ビジネス知識を入れ込んで、毎回創り上げています。「知らない方」に「わかりやすく説明する」とはどういうことなのか。ここを突き詰めることで、鍛えられます。
 わかる者同士で話しているだけでは、タコツボ化していき、根本的な問題の解決への力が弱ってきますからね!

 

(3)経営スキル・人生スキル

 次に③ビジネススキル・法律業務・経営手法やマインドですが、これは知財に関わらず、資本主義社会で生きていく上においては、「この世のシステム」を知らないといけません。また、科学技術や法律を適用する相手である、「人間そのもの」のことを深く知っていく必要があります。
 法改正や国の政策方針を追い、<その課題と解決の方向性をどう導きだしているのか>、それを常に把握しましょう。
 知財界では、「内閣府知的財産推進戦略本部」が、日本の方向性横断的に方針をまとめているので、何に重点が置かれているのか理解しておくと宜しいかと思います(色々見方はあるのですが、今回はこの辺で)。

 私が出しているものとしては、以下があります。

知財界初の本格ストーリーマンガでよみやすく、一般の方へ、AIとスパコンの知識(産学官連携の仮想成功事例として)の補充に適しています。
 こちらは、だいぶ浸透してきたと思うのですが、「ビジネスツールとしての知的財産」という概念を初めて強く提唱する、という役割を果たした書籍です。一般の方の間では、まだまだに感じています。わたしたち、がんばりましょうね。ちなみに、漫画にて商標について説明しているところは、私の論文から抜き出したものなので、要点を相当まとめて、コマ内に配置しています。

◆発明事業のなんたるか、について学ぶ

 発明事業化の一筋縄ではいかない、泥臭い道筋を、発明事業家の人生を通して追体験して、そこにある普遍的人間の法則を知る。社会と人間を深く学んでいく、そうして、「いまの世界がどうできているかを、知る」
 それらを知った上で、私たちは、「この世界を、どうしていきたいのか」それを考えるのに、人類史を踏まえることほど、貴重な教育的資料はありません。
 この壮大な試みにて、連載しているのが『発明事業列伝』(「知財ぷりずむ」経済産業調査会から発明推進協会へ)です。

 現在、また別の視点により、壮大なスケールの書籍を執筆中で、「皆様の人生に資することのできるもの」、と確信しています。もう少々お待ち頂ければと思っています。

さて、今年のマンガにもどって・・・

「知財界の教育」のあしあとを、まとめていきたい。

 「知財界の教育」の変遷について、実はずっと書きたいと思っていて。(色々な、受験指導の先生たちのこと、今はない予備校もある予備校も。知財系大学のことも。知財系発信者の方々のことも、この方々の貢献を遺していきたい。いま過渡期な気がします。残していかないと記憶から消えちゃう
 だから、みなさんから、広く、エピソードを聞いて、残していきたいと思っているところなのです。
 実は、80代の方、70代、60代、50代、40代、30代、20代、お話ししていて、かなり「知財界の常識」が違っていることに、前々から気づいていまして、まずい、というか、このあたりの各世代間の知識を、共有しあえたらと思っているからです。
 そうでないと、「重複」のムダが出てきますし、なんのために、なぜこうなっているのか、これがわかっていると、各世代の知識と成果を、次の世代に繋げて、「積み上げていく」ことができません。安易に壊す、変える、そのままにする、などは、これは地球上のエネルギーの損失にもなるわけで、よくよく考えないといけません。
 長くなってきてしまいましたので、このあたりで。今回、ここをかなり書いて行く予定でしたが(代々木、LEC、TAC、知財系大学・大学院の勉強、そのほかとか、歴代の先生たちや、勉強手法など、、)漫画制作パートで、あまりにエネルギーをもっていかれてしまったので、文章パートまで手が回らなかったというのが、本音です(^^;
 では、一緒、一生、勉強
。でも、それは喜びながら、進んでいく未来を見ていける、期待として向かっていければと思います。一緒に学び合いをさせて下さい。

大樹七海 拝 2024年弁理士の日によせて。

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