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おもちゃメーカー時代、ボツになった企画書を今みてみよう

20代前半、俺はとある玩具メーカーの企画開発部にいた。

勤めていたメーカーの出す商品は保守的な感じだったのだけど、当時のマネージャーは俺の保守的ではない発想を買ってくれていたみたいで、やる気になっていた。

「ぜってー面白い商品を出して、世間に認めさせてやる!!」

という気持ちが強くあり、2週間に1回ある自由参加の新商品企画会議には必ず1商品以上企画書を作って提出していた。

俺は特にノンキャラ(版権がいらない)企画に対するこだわりが強くあり「版権モノは少なからずそのキャラのファンじゃなきゃ買わない!でもよ〜、ノンキャラならロイヤリティも払わなくていいし、すぐ作れるので、俺は絶対ノンキャラで商品を作るんや!!」と、ものすごくやる気に満ち溢れていた。ノンキャラというかガチャガチャ商品かな。

今考えると、勤めていた会社の商品は女性向けのかわいい玩具が主力だったのでそれに対するアンチテーゼであり、「俺には大人の女性がどんなものをカワイイと思うか、当人じゃないのでわかんねーよ!」という思考停止だったとも思う。よくないね。そういう攻めに見せかけた逃げ、一番ダサい。

ちなみにその企画開発部は俺以外全て女性で、企画開発部に男が入るのは数年ぶりだと後に聞いた。

そういった事情もあり、まあものすごいアツさで企画会議に臨んでいた。つまらない企画を出した同僚にはイライラするくらいにだ!

「お前…、ノンキャラなのにその程度のオモロで売れるわけねーだろ!!!もっとトガれ!!!!なんでそれが面白いの!?(思考を)ズラせよ!!」と内心キレながら他人のプレゼンを見ていた。マジで。

もちろん面白い人もいましたよ!

でも、俺は面白いくらいにボツになったし「よく分からない」とも言われた。ここまできたら「ボツの数でも負けちゃいけない!」と思い、とにかく数を出した。もちろんある程度の質は維持してたと思うが、とにかくジャストアイデアでも提出していた。

多分、その当時「面白いと思われたい!認められたい!」という欲がものすごかったからだろうな〜。

そんな風にバンバンアイデアを出して、刺さることもあったのだが、基本ほぼボツ。

悔しかったのは「面白いけどウチじゃない」と言われたことである。

「面白いのに製品化がダメだったら、俺がここにいる意味ねーじゃん!!」と思い会社を辞め、なんか面白いことやりたいなと思い、「デイリーポータルとかのおもしろブログなら俺にもできそうなんじゃね?」と思い、ブログを書き始め、今なんとかWEBライターを名乗れているので、「人生……」と感じている。

先に言っておくとそのメーカーは今も順調なので、経営判断は正しかったと思える!俺だけが間違ってる!!

そのへんの話は一番最初にお金をもらって記事を書いたジモコロの記事を見てください、と。

↑今だと文章等荒いし、恥ずかしくて読めない……。

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ちゅーことで、昔作った企画書(主にガチャガチャ)がまだPCに残してあったので貼っていきます。


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これ、「前へならえ×フィギュア」は絶対相性いいと思って企画したのだけど、ダメだったね。というか、この企画がダメだったから「こんなに世の中に合わせるかつ、体操服を着させることでコストを合わせつつ、新規性もある前へならえというポーズを提案しつつ、前へ“ニャ”らえとダジャレまで仕込んだのにNGくらったら、ここではなにもできねェよ!」と思って辞める決意をした。

いい企画だと思うけどな。これを作ったのが7年くらい前、今は似たような商品ありますね。ちくしょー!!

そういやこれがボツになった時、マネージャーに「この企画でさえダメなら、僕は今後この会社に貢献できないと思います」と涙ながらに訴えたな。(正確には「この会社の主力商品、俺が魅力を正確には分かっておらず、だから僕以外がやった方がいいと思う。僕がやっても中途半端になるだけですから……」と中途半端を怖がる『逃げの理屈』だったのだけど……。全部俺が悪い)

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これキタンクラブから出てたね〜!上記の記事を見た方は分かるけど、面接の時にこの企画書見せたら「いま、これウチもやってる」って言われたんだよね〜。おもちゃの企画ってどのメーカーも考えてることほとんど同じだと思ったね。みんな他社から自分の考えていた商品が出るたび「くっそ!!!!」って悔しがってると思う。

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精霊馬もかなり早めに面白がっていたんじゃないだろうか?でも、2020年にみた感想は「どこかでやってそう」だな。新しくはない。でも、ゼンマイで動かしたいよね、精霊馬。


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これは完全にマキシマム ザ ホルモンのインディーズ時代のシングル『肉コップ』のジャケット見て企画した。アイデアはマジで全く関係ないカルチャーが発端になることが多かったな。アイデア術とかの本を読んだけどマジで役に立たなかった。

ガチャガチャと相撲って相性いい気がするんだよね。そして相撲×ロボも好き。飛龍の拳のロボの花ってやつもいたし。令和になってもカルチャーブレーンの話をするな!!!!

スモー・トルーパーは普通にフィギュアほしいな。

というか俺は既存のものを太らすっていうものに、未だに面白味を感じている。


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時代を感じる名前。これはフェリシモの妄想商品化道場にも送って掲載された。このピーと鳴るアヒルのソフビ、めちゃくちゃ遊び甲斐あると思ってたんだけど、最近新日本プロレスがコラボして、似たような商品を売ってた。まあ、先に出したモン勝ちですからね。

まあ、要はベアブリックの新しい素体としてアヒルを使いたかったのよね。

ネーミングはゲスの極み乙女から。いい商品だと思うんだけどな(チッ!)


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これはもうどこかがガチャガチャで出してましたね。スプリング遊具をガチャガチャにしたかったのではなく、フツーならありえない生物でスプリング遊具を作りたかったのが本心。公園はおもちゃ企画大喜利と相性がいい。


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「食べ物の中でも嫌われている食材が、人間から逃れるため、足を生やして逃げてきた」という裏設定は後付け。単純に「食べ物に足を生やすと気持ち悪いけど可愛いよな」って思って考えた。


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スイカがまだ小さい時、四角の箱に入れておくと四角くなるという話から、「じゃあ、果物を動物の形の箱に入れたら可愛くなるのでは?」と考えて、イチゴをカエル型のケースに入れてみたというフィギュア。可愛いよな。このアイデア、まだ手垢ついてないと思う。ネタ元はなにわ小吉の王様はロバにそんな話があったから。

当時、いかに他のメーカーがネタ元にしないものに影響を受けるか?ってことを考えてたな。


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個人的に基盤ってかっこいいと思ってるんだよね。基盤のネックレスとか、アクセサリー、自分が女の子だったらつけたいもん。これもかわいい。アクリルと転写プリントで作りたいな。suzuriで作ろうかな!


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これタカラトミーがやりそう。ガチャガチャのこういう地味な家具をフィギュア化ブームはもう一段落してますよね。でもまだ新幹線の椅子は出てない。


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仮面ライダーの元ネタがバッタということなので「じゃあ逆に、バッタを仮面ライダーカラーにしよう!」って企画。「逆に」精神、企画にとってめちゃくちゃ大事だと思う

絶対ライダー世代のおっちゃんとか好きそうな企画だけど、勤めていた会社ではライダーの版権扱ってなかったので、提案すら無理だった。

俺は絶対ムリな企画でも構わず企画会議に出していた。

なぜって?

人のアイデアは誰かのアイデアの呼び水になるからサ……(これはマジで言ってる)。とにかく声に出すべき。つまらないアイデアでも。


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美味しそうなごはんストラップがあるなら、まずそうな失敗メシストラップもあっていんじゃない的なノリで作成。


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俺の大好きな「太らす」企画。成型色(色を塗るとか、スタンプを押すという工程が増えるほどコストがかかるので、素材そのままの色を使うこと。肌色一色だったキン消しを想像してもらうと分かりやすいかも)だしいいと思うけどな。


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パンダの穴がグリーングリーンアーミーという、緑の成型色なのに全然安っぽくなく、成型色である意味もあり大変素晴らしい企画を出したのが悔しくて、なにかもう1翻乗せて商品化したいなと思い企画。

動物×チョコに「暑がり」という設定を乗せ。溶けつつある動物を再現したフィギュア。めちゃくちゃいいと思うけどな。俺は「溶ける」というコンセプトも大好きでよく企画していた。


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鳥獣戯画が面白くて、なんかもう1翻乗せたいなと思って骨にした。鳥獣戯画はなんかガチャガチャにもなってたな。ガチャガチャって基本パロディができるから面白いんだよね。伝統芸能とか現代風にイジりまくりたい。


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骨のない動物にもしも骨があったら……っていう企画。

最近こういう本出てたよね?もし人間があの動物と同じ骨格だったらどうなるか?的な本。多分、あれとやってることは同じ。


↑これだった。


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この辺、完全に投げやりだし、電気グルーヴにハマってたのが分かるね(笑)。


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「バカ外国人の間違った日本文化」が好きで、もう台紙から間違った日本語使いまくろうぜ!と、めちゃくちゃ気に入ってた企画。

寿司の擬人化ですね。「体育座り」ってコンセプトもものすごくガチャガチャ向きだったと思うな。これ、気持ち悪いけどフィギュアあったら未だに欲しいわ。


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ダリの「溶けた時計」が好きなんですよ、モチーフとして。だったら、色々なもの溶かそうぜ!って感じで、溶かしたのが果物だった。アート作品ぽくていまだに好きだなこの企画。だれかやってくれ!!MOMAに置いてくれ!!!


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「ラブワゴンが大破してたら面白いな」って考えてて(我ながら最悪な思想である)、「廃車フィギュアいいじゃん!!」ってニヤニヤしながら企画書作ったの覚えてる。

たしか、これもどこかが商品化して「くそ!!!俺もっと前から考えてたのに!!!!」って悔しかったの覚えてる。


他にもたくさんあるんですけど、なんとなくまだ企画書がPC内に残ってたので公開しました。

こういうガチャガチャ系のアイデア出しは大好きだし、いまだにこういうのは考えてるので面白いと思ったら、誰か連絡ください(笑)。

改めて見返してみて、2020年にも通じる面白い企画いくつかあったと思うよ!!!!俺は間違ってなかった!!!!!!間違ってるのはこの世界と社会!!!!!!!!!

ここがヘンだよ俺以外!!


さようなら!!!



てか、アレだぜ。俺は企画でなく制作進行が絶望的に苦手だったとかだったら笑うよな。




笑えよ!!!!笑ってくれよ!!!!

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