私が教育業界からIT業界へ飛び込んだ理由

 5年以上働いていますが「IT関係の仕事をしています」と言えない程度の人間です。しかし、なんだかんだ係長を任されています。

1.私が教育業界からIT業界へ飛び込んだ理由

 関東圏でそこそこ有名な学習塾で文系科目を小学1年生から中学3年生まで教えていましたが、このままではまずい! と思いIT業界へ飛び込みました。
 なぜこのままではまずいと思ったのかは以下のとおりです。

・社内の「生徒のためならサービス残業、持ち帰り残業当たり前」という文化。
・毎日残業2時間はするよね?
・月に2日休めれば御の字。15連勤とか普通だよね? といった空気。
・講習期間中は9:00-22:00勤務。施設のオープン作業やクローズ作業は勤務時間には当然含まれない。
・授業準備は絶対に職場でやるな!

 ちなみに仕事そのものは大好きでしたし、楽しかったです。今も戻ってガッツリ仕事がしたいなあと思うこともあります。

 しかし、このような働き方では自分の子育てはできません。本社の事務仕事については会社も育児中の女性優先と暗に言っていましたし、結婚や妊娠を機に仕事をやめる女性社員がほとんどでした。

 教育関係の仕事をしてきたこともあり、自分の子どもの教育にはしっかりと取り組みたいと思っていました。
 また、私の父親は教師をしていたのですが、仕事ばかりしていてほとんど関わった記憶がありません。私からみて父方の祖父母も教師だったため、父親も自身の親に育てられた記憶はないらしいです。そんな父親はよく「俺は公僕であり、全体の奉仕者である。だから地域の子どもたちを育てる。家のことは母親に全部任せる」と私に言っていました。
 理屈はわからなくないのですが、子どもの頃は納得なんてできませんでした。今もそうです。確かに教師という生き方として素晴らしいかもしれないが、教師であり、私の父親であるのに、なぜ教師としてしか生きないのか。
 私はそんな風にはならないと思っていたのに、父親のようになってしまう気がしたのです。このような思いから教育業界から離れることを決意しました。

 飛び出す先はどこでも良かったのですが、奥さんがIT業界で働いていることもあり、なんとなく気になった零細IT企業を受けました。
 転職エージェントを介している場合、履歴書不要、社長面接1回で選考が終わるという今なら大丈夫か? と少し思ってしまうところですが、社長と話していてこの人となら働いてもいいなと思っていました。
 数日後、採用の連絡が来てそれを受け、IT業界に飛び込むことになりました。

2.常駐先でのヘルプデスク勤務、そして現場リーダーへ

 採用された会社の中で一番売上が大きいチームに配属となりました。任された業務は客先常駐型のITヘルプデスク。そこでのオペレーターです。
 1年ぐらい毎月問い合わせ対応件数一位をキープし、リーダークラスの退職もあってか、同じお客様の特殊な対応、1人常駐の拠点を任されることに。通常では3年ぐらい経験しないと送り出さないんだけど、というプレッシャーをかけられながらも、子どもが生まれるまで1人で対応し続けました。
 途中、コロナ禍による緊急事態宣言により、イレギュラー対応ばかりになりましたが、これを難なく乗り切りました。教育業界で経験してきた子ども、学生バイト相手とは異なり、大人と大人のやり取りなので、難易度自体は低く感じました。

 ITの技術力はITパスポート、情報セキュリティマネジメント検定取得レベルです。IT的な技術力はあまりなく、現在も会社の中では真ん中ぐらいだと思います。
 しかし、客先常駐というコミュニケーション力を求められる場面では良くも悪くも目立つことができました。社内のメンバーからも代わりに客先の担当さんと話してほしいと頼まれることもしばしばでした。

 IT業界に来て思ったことはプレゼンがうまい人が圧倒的に少ないということです。客先依頼で他IT企業の営業プレゼンを見聞きすることもあるのですが、正直、レベルは高くないと感じています。

 教育業界では「クラスに偏差値50以下がいない。けど、トップ層を作れない。授業も微妙」というパッとしない教師でしたが、業界が変わるとこれほどまで変わるのかと驚きました。
 ちなみに偏差値50以下を出さないためにやっていたことは「授業以外の時間に見かけたら絶対に話しかける。雑談をする」ということです。雑談するためにも小学生の間で流行っているアニメとかはTSUTAYAで借りて見ていました。これを徹底すると小学生ぐらいなら確実に宿題やってきてくれます。

 話がそれましたが、問い合わせ件数でやる気、コミュニケーション力で信頼を勝ち得たのか、社長からまずは主任を任せたいという話が降りてきました。

 子育てをする際、私は時短が必須条件なので、それでもいいのであればと返答しました。社長としては全く問題ないということで、謹んでお受けすることに。その後、主任として1年間、時短でありながらも出せるものをすべて出して仕事をした結果、係長を任せてもらっています。

 今現在も、時短勤務をさせてもらっている恩義に報いるため、日々出せる力を出し切って仕事をしています。会社に借りばかり作りたくないので、時短であっても通常勤務の方以上のパフォーマンスを出してやる! と全社員の前で宣言し、自分を苦しめています。

3.転職は正解だったのか

 転職は結果的には正解だったと思っています。希望していた私生活との両立もできていますし、仕事そのもののストレスはほぼありません。
 しかし、ワーカーホリック気味だったためか、仕事に物足りなさを感じることはあります。また、生徒の合格発表日のような強烈な喜び、もしくは絶望的な落胆はありません。システム障害が起きるとちょっとした興奮はありますが、何年も指導してきた生徒の合格発表と比べると刺激不足なんです。

 つまり、仕事単体で考えれば正解とは断言できないのですが、ワークライフバランスを考えれば大正解だと思っています。

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