【 壮年E 】 前編
君との連絡を絶って、どのぐらい月日が流れただろう。
あれだけ毎日やりとりしていたのに。
連絡先ひとつ削除したら終わる関係。自分からブロックして消したのだけど。(は)
マッチングアプリで知り合い、連絡先を交換しても、細く薄い縁で終ることもしばしば。
壮年Eとはそのような薄く細い繋がりになると思わなかった。
というのも、彼は私がアプリ使用フィーバー中の序盤走者で、いちばん長くメッセージが続き、いちばん多くアポをした人物であったからだ。
顔もLINEのペースも信用度も申し分ない。小柄でシャイでぎこちなくて、やや肌荒れしてるのは気に入らんけど。(オイ)
土日会えたし、平日も夜ご飯行けたし、いつでも連絡の返事は早めにちゃんと返ってくるし、時間厳守してくれるし。真面目にお勤めしてるし。ワタシの希望を聞いてくれるし。服装だってちゃんとお洒落してるし、好きなものに共通点だってある。何より私に優しいし従順だ。私の指摘を素直に受け入れる姿勢をもっている。
いったい彼の何が不満なんだ?
アポがだいたい割り勘だったこと?
エスカレーターでエスコートが下手なこと?
肌荒れが気になること?
クリスマス会えるか遠回しに聞いてきたから?
自分の気持ちは明かさず、俺の事どう思ってる?とか聞いてきたから??!?
至近距離になったとき、壮年Eはどきどきしてしまったのか、下半身反応してたから?
女性の扱いにあまり慣れてなさそうだから?
年齢が歳下で若いから?
オスらしさを感じないから?
彼は所謂、条件が良いとされる分類の人間だったはず。
なのに好きだとは思えず。
そうだ、条件で好きになろうとしていたのかもしれない。
そうでなければフイウチで繋がれた手を、さりげ無く振り払う事などしなかっただろう。
To Be Continued
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