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めんぱ屋を開業する前後にどんな準備をしたか?のお話

こんにちわ。大井川めんぱ大井屋店主の前田です。今日は久しぶりに仕事のギアを落としてのんびりと作業とか営業しておりましたのでちょっとノートでもしっかり書いて帳尻合わせときたいなと思った前田は筆ならぬキーボードを取りましたので過去のお話を少し

時々前田のところに工芸を目指している人からの相談とかというのも来ることがあります。そういうのがだんだん増えてきたので手取り足取りお伝えしていくのも忙しくて難しくなりそうな昨今。そこでノートに民藝や工芸で生き抜いてやろうと思っている人は前田くんの前例はこんな感じやったでというのを書き記しておくのでよかったら参考にしといてくださいね!


めんぱの修行をやり切って、さてどうやって生業にしていこうかな?と思った時に前田が取った行動が店舗を開くという方面に舵を切りました。

こういう工芸みたいなことを修行してその後どういう道筋を描くか?いく通りかの選択があると思います。例えば簡単な方法でいけば、修行した工房でそのまま雇ってもらうとか、どこか他の工房に就職するとか、何かの助成を受けれる形で初めてみるとかネットショップ開いてみるか?とかね。そのどれもが自分にはしっくりこないし、それじゃあ無給で修行した意味がないと思ったわけです。だって将来のリターンが全くなさそうだしね。投資を回収できないだろ?って思ったわけです。


もちろん前田も色々検討しましたが、井川メンパという特性を考えてみてその時どう思ったかといえば稼働している井川メンパの専門店というものがその時点ですでにどこにも存在していなかったので、とにかくお客さんと昔ながらの店舗販売で繋がるという方向へ思考しました。


その瞬間からどれくらいの規模でどのような立地でどの程度のコストでお店を開けるのか?ぐいぐいと考えていったのを覚えています。まあ、あまり深く書かないけれど、とにかく静岡市内では商売するなという圧力があったのも実はあってさてそれをどれくらいの期間で実現すべきか?色々と考えたわけですね。浅い程度でこれなんでどういう状況だったか鑑みてよね!


最初に考えたのはまずは資金の調達でした

修行というのはそれぞれいろんなパターンがあると思います。何かしらの補助金とかで養成を受けている場合は修行期間にある程度のサラリーを確保して資金を用意できるかもしれません。また開業に当たっても幾らかの手助けがある場合も工房によってはあるのかもしれません。

私の場合はそういった助成もなく、自分で借り入れてリスクを負う他には選択肢がなかったのでまずは銀行からどれだけの借り入れができるのか?調べました。

具体的に言えば政策金融公庫から200、信用金庫から300。無担保で借り入れれる限界がこの当たりでしたね。そして今の店舗物件を見つけて、店舗の購入費用、木工機械の購入費用、材料の仕入れ費用、運転資金に振り分けてみてなんとか1年くらい先までの道筋が朧げながら見えてきました。結果それでなんとかなったし、というかなんとかしたしその中でやれることをやり切って突き進むしかなかったのですね。貧乏したけども


次に考えたのが店舗型井川メンパ屋として何ができるか?でした

卸商売を基本やらないしやれない理由があったので、店舗型のやり方では当然接客という要素が出てきます。生産だけに集中できるわけではないので、このやり方は結構若い人には無茶かもしれませんね。でも、前田は一応一通りの社会人経験があったので接客や営業なんかはあまり問題ではないと思ったのですね。BARの経営、営業職、ぷっちっと芸能職歴などがあったわけです。もちろん普通というか一般職などもやりましたけど。

店舗型のメンパ屋としてはそれこそ静岡市葵区井川にあった井川メンパ海野さんのイメージを参考にさせていただきつつも、どういう有り様が皆さんの心の吟腺に触れるのかな?なんて考えながらコストをかけれない状況の中で一人お店を改装したりなんかしながら店舗を作り上げていきました。それはそれで結構楽しいものでもあったわけです。


そしていよいよ店舗型の井川メンパはこうあるべきだ!をやり始めました

普通こういうクリエイターになるとまずは商品を全力で作り込んでいくことに集中しがちです。良い物を作れば必ず売れる!という風に考えがちだろうと思います。もちろんそうだとは思いますが、そういうものは後々でも追いつき追い越せになるはずです。まずは稼ぎを得る現場の方程式を作ることが先決だったので前田の場合は店舗を兎にも角にも開いたわけです。
そして売れる準備が整ったというところからやっと制作を始めたので、その前後にすでにテレビの取材など受けておりそれを見た気の早い人がどんどん来店してくれましたが、売れるものが何もねえ(笑)というところからスタートしたわけです。まさか空気を売るわけにもいかず、制作したいのに接客だけで時間が食われていくということになっちゃたのは計算外でしたね。

ですが、おかげでとにかく作りさえすればなんとかなりそうだという安心感を得ることはできたと思います。その辺りから自分の理想というか、最初は貧乏するだろうけどやっぱり嘘つかない作り込みを実践したいと試行錯誤をするようになったのですね。

つまり最初の一年目などは元々の井川メンパを模倣するだけで終わりました。2年目以降になんとかこうとか諸々を大井屋テイストにバージョンアップさせていきながら、それをお客様との実践でどの方向が大事なのかを探りつつ3年目辺りからやはりオーガニックというか本来あった古来の製法へ遡る思考に至ったわけです。


最初から全て見えていたわけではない。だけど兎に角メンパ屋を諦めずに続けられるという土台を作ることに集中した3年でした

クリエイターに欠けているというか共存するのが難しいのがこの辺りの感覚のように思います。俺は唯一無二の素晴らしいものが作りたいし作る自信があるから独立したクリエイターになるんや!と希望に燃えている人は大勢いらっしゃると思います。

良い物を生み出したい。と思うのはとてもピュアでクリエイターには大事な要素だと前田も思います。ただ、大事なのはそこだけやろうとしても先が続かないという現実を知って欲しいのです。

商売というのはお客様がいて、つまり自分を応援してくれる人々がいて、初めて自分の稼ぎが生まれてくるわけです。この稼ぎをつまりお客様のことをゼロベースで考えていると絵に描いた餅でしかなく、数年後夢を諦めざるを得ないという状況になる人が実はほとんどなのだと思うのです。


民藝で生き抜きたい人はまずはローコストで店舗を構えることから始めるべきだと思います

ウェブ上に簡単に店舗を構えられる時代にはなりました。しかし我々のような工芸品というものはやはり実物が一番の説得力ある武器になると思うのです。いくら写真を上手く撮って加工して売り抜いたとしても、どうせそのうち低い評価をちらつかされて潰れるのもまた工芸品店の未来です。
大事なのはお客様とリアルに繋がる方法を持つかどうか?だと思うのです。その為にはコストを抑えるという観点においても前田の場合は川根本町への移住が大きなメリットになったと言えます。


最終的にどんな未来を描くか?が大事で最初から理想を追いかけるべきではないと思います

夢に燃えた人にありがちなんですが、1年先に結果を出したがる故に10年先が疎かになりがちということです。10年先にどうあるべきか?がむしろ大事なので、人に馬鹿にされようが愚直にまずは10年先をイメージした方が結果は絶対ついてくると前田は信じております。そんな簡単にすぐ社会的結果が得られるほど世の中は甘くはなく、まず自分の足元をよく見て出来る限り諦めないで目的地に辿り着ける方法論を優先すべきだろうと思うのです。その上で恥ずかしいと思うことも厭わずに立ち向かえるかどうかが大事です。プライドなんていらないのです。


メンタルを維持するには稼ぎは大事です

理想を優先せずに、自分の経済的自由を得てさらにそこへ投資する為にはこういう工芸というのはむしろまずはどうやって稼ぎを産み出すか?自分の経済生活を成立させるか?そんなことは修行では何一つ教えてもらえないけれど、むしろそういう方面の経験と知識があるかないか?はかなり大事だと思います。ですからたくさんの社会経験や読書体験や人とのつながりを持った人である方が成功への可能性は高まってくると思うのでまだ若い人はそこをしっかり自分で育ててみることだと思います。


静岡で工芸を起業したい人はまずは相談に来てください

前田は考えています。もっともっと民藝や工芸をやる若い仲間が必要だと。その為にはいくらでも時間や労力は惜しまないつもりです。若い人でも絶対できるけれど今言ったように、方法論を誤ることほど無意味はないと思うのです。


この辺の思いや考えはブログにはなかなか書きづらいところもあります。大事なのはここを読んでちゃんと民藝を生涯の生業にしたいと思うのであればリアルに行動すべき情熱があなたにあるかどうか?だとすでに思います。
ネット社会ですので、どうしても自らの万能感に酔いがちです。人生そんな甘くはない。ですからどうぞ前田の経験でよければお伝えしますので千頭まで会いにきてね!コンタクトよろしくどうぞ







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