戦争が起きている今こそ読むべき本『戦争にチャンスを与えよ』
エドワード・ルトワック『戦争にチャンスを与えよ』、奥山真司訳、文藝春秋、2017年。
今1番「アブナイ」本
皆さんご存知の通り、2022年3月4日現在、ウクライナとロシアとの間で「戦争」が起こっています。20代前半の私にとって、今回初めて戦争というものをリアルに体感する出来事となっています。そんな時、数年前に買って衝撃を受け、以後何度も読み返してきたこの本をまた読み直したくなりました。
この本の構成は第1章にまとめ、2章に論文、3章から10章まではもう一人の作者、訳者の奥山真司さんが聞き手となった中国や北朝鮮に対してどうするべきかという論考などが載せられています。
今回は紹介しませんが、戦士の文化論や日本の戦国武将論といった、読み応えたっぷりのラインナップです。「戦略」という言葉に反応してしまうあなたは特に読むべきです。
戦争をするべき理由
ルトワックは自身の主張を次のように要約しています。
戦争には目的がある。その目的は平和をもたら
すことだ。人間は人間であるがゆえに、平和を
もたらすには、戦争による喪失や疲弊が必要に
なる。(p28 )
なぜ戦争が平和のために必要なのか。ルトワックはさまざまな例で語りますが、最も身近な日本とアメリカ、韓国と北朝鮮の事例で分かると思います。
日本とアメリカは悲惨な戦争を経験しました。しかしその結果日本はアメリカに歯向かう元気もなくなったのか、友好的な同盟国になりました。あんなに殺されたのにも関わらずです。韓国と北朝鮮はどうか。彼らは無理やり戦いを止められてしまったために、今も緊張状態が続いています。
昔のヤンキーもので喧嘩して仲良くなるというものがよくありましたが、国同士でも同じようなことが起きるのが不思議です。
とはいえチャンスがあればどんどん戦争しちゃいなよと言っているわけではありません。人間であればいつかは戦争が起きます。その時に全ての責任を取る覚悟もなしに止めに入るなと言っているのです。
ウクライナ問題はどうなる
2017年に書かれたこの本には、流石に今回の有事については書かれていません。ウクライナの現状を見ながら考えてみましょう。
現在各国は批難決議や経済制裁、さまざまなウクライナへの支援を行なっていますが、軍隊を出して強制的にストップさせるような動きはありません。そもそもロシアの首根っこを掴んで抑えられる国はアメリカを含めても存在しないのでしょう。
一方ウクライナの人々の士気は高く、多数の犠牲者を出しながらも戦っています。戦争にチャンスは与えられていると考えられるでしょう。従ってこのまま行けば、いずれ平和は訪れるのではないでしょうか。これからも目が離せません。
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