要注意作品『ルポ コロナ禍で追い詰められる女性たち』


『ルポ コロナ禍で追い詰められる女性たち』飯島裕子、光文社、2021年。(800円+税)

個人的オススメ度⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

星の目安
1.買って損した。
2.読んでも良かったけど内容があまり…。
3.面白かった。読む価値はある。
4.読むべし。
5.人生変わる。読まないと損。

①内容
「貧困は問題だ」と思っている人は多いでしょうし、「シングルマザーは大変だ」ということを知らない人の方が少ないでしょう。
しかし、どのように追い詰められ、苦しんでいるのか、その実態を知る人はどれだけいるでしょうか。
この本ははっきり言って、読むのが辛い本です。この2年間でほとんどの人が苦しい思いをしたと思います。その中でもおそらく最も苦しい立場に置かれたのが、この本に描かれる女性たちです。
例えば、小さい子供を持つ老人介護施設勤務の非正規シングルマザーは、保育所は制限され、仕事でも子供がいることで保菌者として差別され、仕事を休めば契約が切られる。ただでさえギリギリな日々を送っているシングルマザーに、なぜこんなにも現実は厳しいのか。そう考えずにはいられなくなります。
他にもテレワークによるDV、路上生活、介護士や看護師たちの苦悩など、全てノンフィクションで具体的に描かれています。

②この本を読む意義
この本に希望はありません。解決策もありません。読んだ我々は、これを胸の内に抱えて、自問自答しながら生きるしかないのです。支援が必要なのはわかっても、それを実行するには、かなりの政治的なエネルギーを使います。誰だって苦しいし、あいつらだけお金を貰えるのはおかしいと思うのもわかります。しかし彼女たちを目の前にしてそれを堂々と言えるでしょうか。この本を読むと、彼女たちが目の前にいるかのように感じられて軽率には言えなくなるでしょう。
著者はあとがきでこう語ります。
「ここにいない誰かのことを常に思う想像力が分断を避ける力になるはずだ」
私もこの人たちを救えるほどの余裕はありませんが、せめて彼ら彼女らに優しくなれるよう心がけたいと思います。 

③注意
この本は良書だと思います。しかし、読むコンディションによってはダメージが大きすぎるかもしれません。私は貧乏ですが、月に何冊も本を買えるほどの余裕があります。しかしこの本に書かれている人々に近い境遇の人には苦しすぎるかもしれません。問題解決は容易ではないので。

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