昨年1番役に立った本『ディズニーランドの秘密』

有馬哲夫『ディズニーランドの秘密』、新潮社、2011年。(700円+税)

個人的オススメ度⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

星の目安
1.買って損した。
2.読んでも良かったけど内容があまり…。
3.面白かった。読む価値はある。
4.読むべし。
5.人生変わる。読まないと損。


①この本を読んだ理由

読書が趣味と言っている人間が、ディズニー好きなはずがありません!(偏見)
私の職場にはディズニー好きの人が多く、特に某ウイルスが落ち着いた頃からよく誘われるようになりました。しかし私は全く行きたくなかったので、断りきれなかった場合に備えて勉強(すれば少しマシになると思って)のため、この本を中古でポチりました。しかし読んでみるとかなり面白かったので紹介します。


②ウォルトと鉄道
この本は、ウォルトを中心に、ディズニーランドを創った人たちの物語が紹介されています。特に面白いのは、この本で随所に見られるウォルトの病的なまでの鉄道熱です。
著者は第1章で、ウォルトは交通博物館を作りたかったのだと言います。オリジナル・ディズニーランドにはパークを一周する鉄道があります。この鉄道で客はパーク内を移動できるのです。他にも船やロケット、潜水艦までありました。これはただ面白いから作られたのでは無く、ウォルトが交通オタクであり、西部開拓時代の古き良きアメリカから近未来までを体験してほしいと考えていたからです。
ウォルトは小さな頃から大の鉄道好きで、マーセリンという田舎町にいた頃は線路に耳をつけて聴き、近づいてくると手を振るのが楽しみでした。当時のアメリカの子供たちにとって汽車は憧れでした。この頃の記憶がアニメで大成功した後のウォルトがディズニーランドを創る時に大きな影響を与えたのでしょう。他にも本書では、同じく鉄道マニアの部下の持っている機関車に大はしゃぎしたとか、当時ほとんど実用化されていないモノレールを音を録音したりするスタジオで作ってしまったり、というエピソードが書かれています。

③ディズニーランドの「ストーリー」
ディズニーランドが初めて開園した時に、ウォルトがしたスピーチでは、年配の人たちは過去の良き思い出を再体験し、子供たちには未来を経験することができるだろうと話しました。ディズニーランドは本来、客がストーリーを描けてなんぼのものなのです。
ディズニー作品の原作があるものはもちろんですが、前章で書いたようにランドそのものがストーリー性を帯びており、東京の「ワールドバザール」はただのお土産物屋ですが、アメリカの「メインストリートUSA」は皆が古き良き時代を思い出し、ノスタルジアを感じる場所なのです。
ところで、「スプラッシュマウンテン」はディズニーランドにほぼ行ったことがない私でも聞いたことがあるほど有名ですが、原作があることはあまり知られていません。実は「南部の唄」というディズニー映画があり、そのまた原作の「リーマスおじさんのお話」という動物を擬人化した童話があるのです。
悪戯好きのウサギが少しマヌケなクマを騙したり、キツネがウサギに騙されて蜂に追われてウサギが大笑いしたりといったお話です。
あの有名な水に落ちるシーン(私はここしか知りません)も、キツネがウサギを懲らしめようと罠にはめてコールタールまみれにし、燃やしてやろうとしたのですが、ウサギが「あの茂みにだけは落とさないで」と言ったのでキツネはじゃあ落としてやろうということでおとし、ウサギはまんまと助かったというシーンなのです。
しかしこの作品は残念なことに黒人差別と取られる表現で問題になり、日本でもヴィデオ・ソフトが30万本売れていたのに、アメリカに歩調を合わせて販売中止となったのです。

④この本を読んでから
職場で今紹介したような話をすると、皆知らなかったようで、すごくウケました。乗ったこともないのに「スプラッシュマウンテンにはキツネが出るでしょう?」などと言っているのは滑稽ですが、相手がディズニー好きだと何故か話が通じてしまうので不思議な感覚でした。
普段は本を読んでも話題には出来ないのが普通です。そういう意味でもすごく「役に立つ」本ですし、アメリカの歴史や文化など、良い勉強になります。読みやすい本なのでおススメです!
少し古い本ですが、Kindleもあるので是非読んでみてください。

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