見出し画像

給与体系を変えるときは、月々の給与額を減らすのは基本NG!

「非正規公務員 一部自治体で給料減額の動き」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200104/k10012234921000.html

これは公務員の話ですので一般企業とは少し違うとは思いますが、賞与を支給する代わりに月々の給与額を減らすこととなって問題となっている記事です。正直なところ、人件費に充てられる金額が同じであれば、どこかを増やせばどこかを減らさざるをえないわけですから、こういった問題は生じて当然のことと思います。安易に給与体系を変えると不利益変更ともされかねませんので注意が必要です。
もし、貴社でもこのような無理な賃金体系の変更を御考えされているのであれば、それは考え直しをされた方が良いと思います。

一般的な企業では賞与を作出するために給与額を減額するようなことは、通常は行わないのではないかと思います。しかし、同一労働同一賃金が求められるようになっていますので、今後は非正規従業員(パート・アルバイト・契約社員等)であっても賞与の支給が必要となるケースは増えてきます。その時に、今回の記事のような月々の給与額を減らすようなことのないように注意が必要です。
月々の給与は、従業員にとっては毎日の生活のために必要なお金です。それを減額することは、その対象者が非正規従業員であったとしても避けるべきことです。もしも、月々の給与だろうと賞与だろうと今まで以上の給与を支給するという場合に、今まで支払っていた月々の給与を減額することになれば、大きなトラブルとなるのは当然のことです。
月々の給与額を減額するのであれば、当然に説明をして同意を得る必要がありますが、同意を得ていたとしてもトラブルは生じ得ると御考えください。

一般企業でありがちなケースとしては、古くからの給与体系がそのままになっていて、おかしな手当があったり給与額が従業員間で不均衡になってしまっていたりということが生じていたために給与体系を変更したような場合に、賞与での調整をすることがあります。残業代が正しく支払われていなかった場合に、その対策として給与体系を変えようとする場合にもお見受けすることがあります。
もし、そのようなおかしな給与体系になっている場合は、できるだけ早い時期に適正な給与体系に組み換えをなさることをお勧めいたします。しかし、その場合でも月々の給与額を減らして賞与で調整することは、可能な限り避けるべきことです。
とはいえ、どうしても月々の給与の中だけでは組みなおしができなくなった場合に、給与の一部を賞与で支払うこととせざるを得なくなるケースも出てくるかと思います。すでにお話しましたとおり、この方法は非常にリスクが高いのでお勧めはし難いです。ただ、掲記の記事のように賞与を丸ごと作るために給与を減額するのではなく、ごく少額の移動であれば、従業員の皆様とよく話し合いをされ、従業員の方だけでなく御家族も含めて十分な御理解をいただいて変更されれば、比較的リスクも減らせることになるかと思います。

もしも、そのような変更をされることがありましたら、キチンとした社会保険労務士にご相談なさることをお勧めいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?