企業における新型コロナウィルスの対応について
厚生労働省は、2月1日に「新型コロナウィルスに関するQ&A(企業の方向け)」を発表いたしました(その後随時更新されています)。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html
新型コロナウィルスは、まだ法定伝染病には指定されていません。
一般論として、企業で対応された方が好ましいのではないかということについて、お知らせします。基本的には新型インフルエンザの時の対応と同じとお考えいただいて良いのではないかと思います。ただ、これ以外にもするべきことはあるかもしれませんし、ここまではできないというケースもあると思います。これが絶対ということではなく、各企業で可能な対応をお考えください。
1.特に感染者が居ない場合
多くの企業ではこの状況ではないかと思います。明らかに感染したとわかる従業員はいなくても、通勤等で感染の可能性があるということで心配になっている状況ではないかと思います。
① 危機管理に関する対応
・経営陣(社長)を中心に危機管理対策本部を立ち上げる。
と言っても大げさなものではなく、何かあった時の責任所在や連絡体制の確認だけでもしておくことをお勧めします。そして、感染が疑われる状況が生じた場合の会社としての対応を決めておかれる必要があります。
② 具体的な衛生管理対応等
・会社の入口付近に手指消毒用アルコールを設置する。
・出勤時に使用したマスクは入り口で捨てさせる。
・営業等社外へ出る従業員 又は 希望者にマスクを支給する。
・従業員に手洗いを奨励する。
・体温計の準備をしておく。
・産業医がいる企業の場合は、いつでも連絡がとれるようにしておく。
・糖尿病や高血圧等、高リスクの従業員を把握しておく。
・時間差出勤が可能な場合は時間差出勤をさせる(フレックスタイムの導入)。
・在宅勤務が可能な職種は在宅勤務を検討する。
・テレビ会議など移動・集合しないで良い方法をとる。
最近はスカイプ以外にもネットで会議ができるシステムができています。
・できるだけ労働時間を短くするように工夫する。
万一感染したとしても、軽度の症状で済ませることが重要です。そのためには体力や免疫力を上げておく必要があります。長時間労働で深夜まで労働していれば体力も免疫力も落ちます。不要な業務を省き、早く帰宅することを奨励してください。
・不要不急の外出はしないように従業員に指導する。
・プライベートも含め、感染が流行している国・地域への渡航・立ち入りを禁じる。
2.発熱など感染の可能性を疑う従業員への対応
① 新型コロナウィルスかどうか不明な従業員の勤務について
・まずは休ませる。
絶対に無理な出勤はさせないでください。自宅から電話で連絡するように徹底させてください。
・休業日の給与については、義務はありませんが「使用者の責に帰すべき事由による休業」に準じ、6割の支給をされることをお勧めします。ただし、本人が有給休暇の使用を希望するのであれば、それでも良いと思います。会社側から有給休暇の使用を強制することはできません。
・保健所などに設置される「帰国者・接触者相談センター」に問い合わせる。
「新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-kikokusyasessyokusya.html
② 濃厚接触者について
・特に症状が出ていなくても14日間の出勤停止をする。
・休業させた日の給与については、義務はありませんが「使用者の責に帰すべき事由による休業」に準じた6割の支給をされるか、特別休暇扱い(法定の年次有給休暇以外の有給休暇)にされることをお勧めします。
・保健所などに設置される「帰国者・接触者相談センター」に問い合わせる。
3.感染が判明した従業員への対応
・当然に休ませる。
感染していることが確認された場合は、感染症法に基づき都道府県知事が就業制限や入院の勧告等を行うことになっています。入院することになるはずですので、勤務は不可能となります。
・休業日の給与については、3日以内については、義務はありませんが「使用者の責に帰すべき事由による休業」に準じた6割の支給をされるか、有給休暇の利用をお勧めします。4日以上については傷病手当金の請求をされるので良いと思います。
4.家族に感染者がいる場合の対応
・必ず行わなければならない業務がない限り休ませる。
・休業日の給与については、義務はありませんが「使用者の責に帰すべき事由による休業」に準じた6割の支給をされるか、有給休暇の利用をお勧めします。
5.求人をしている場合の対応
・可能であれば、web面接を取り入れる。
この際ですからweb面接を試してみましょう。良い結果なら今後も利用できます。経費や手間の削減や長距離移動による機会損失の回避ができる可能性がありますので、御検討ください。
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