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エッセイ

14
書いたエッセイです。
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記事一覧

犬の記憶

 昨日は久しぶりに美術館へ行った。久しぶりの美術館、という響きはなんだか頭をワクワクさせ…

るか
1年前
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手について

 別に手フェチというわけではないが、最近、とても自分の手が気になる。それも、手の甲に浮き…

るか
2年前
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あの僕の国か!と叫べはしないが -山之口貘『会話』を通して

 昨日から、山之口貘の詩を読み始めた。  山之口貘は、沖縄県出身の詩人である。山之口は、…

るか
2年前
13

夜、海の探偵

 かなり遠くの対岸から、僕の目へ向かって、住宅やビルの放つ灯りが届く。灯りはいろんな色を…

るか
2年前
20

音楽と踊りの心許なさ

 ここ1ヶ月、取り憑かれているように音楽ライブや琉球芸能の公演へ通っている。一週間に必ず…

るか
2年前
18

「演じる人」の神話

 小沢健二の歌を聴くと、身体が、愛そのものになってしまう。しかし、歌の中で彼が声をかけて…

るか
2年前
29

布にまつわる禅問答

 今日は、晴れているともいまいち言えない天気で、青空は頻繁に見え隠れを繰り返していた。  僕は、港あたりのホテルで開かれている小さな写真展を見にいった。写真展は質素だった。展示してある写真は、街の灯りと夜空が静かに主張し合っているような構図のものが多かった。とても綺麗で、しっとりとしていた。色と街が溶け合っていることで、米軍の土地と、沖縄の土地の線引きもあいまいになっているかのようだった。でも実際、沖縄はそういう土地だったと、当然ながら改めて実感した。どうでもいいけど、展示

生きるための、小さな戯れ

 掴んだモズクが、指の間から、するすると抜けでる。モズクは踊るように、波に揺れている。そ…

るか
3年前
24

沖縄生活のはじまり

 沖縄での新生活が始まった。これまでは観光客としてしか触れ合えなかった、沖縄。自分の経験…

るか
3年前
46

sayonaraな僕らへ

 前回の投稿の追記のようなもの。  僕は明日から、東京から沖縄へと飛び立つ。もっと色んな…

るか
3年前
10

卒業・できごと・手紙

 卒業した。6年間の時を過ごした学校を。もうこの学校には、僕のために設けられた席はない。…

るか
3年前
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本の効用

 最近、だいぶ前に読んだ本や小説が思い出されて、心に滲みてくる。  そういった後々滲みて…

るか
3年前
16

自然に囲まれて

 今年の夏、何がなんでも暑すぎる!!もはや暑すぎて、空気に“包まれる”心地さえしない。家…

るか
3年前
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「ぼく」と「僕」がまた、手をつなぎあわせる時

 ここ2ヶ月、本当に、鬱屈した日々を過ごしていた実感だけが、身体にこびりついてる。  この春、ある山奥の学校の高校3年生になった僕は、色んなものを背負って高校の最高学年になったつもりだった。  僕は、地域の郷土芸能や民俗芸能をする部活に入っている。和太鼓や、日本の各地域に伝わる踊りを踊ったりするという内容だ。5年間続けてきただけあって、僕は、副部長の座についている。  そのおかげで、学校ではたくさんの人と関わっていた。学校生活が、たしかに存在していたのも自覚しているし、こ