見出し画像

忘れちゃ イヤだよ

朝日新聞デジタルの記事に目が留まった。

私の生まれは北海道で、それもオホーツク地方。
なので、知床も身近な存在。

2022年4月23日に起きた遊覧船の事故は、衝撃だった。

世間的にはゴールデンウィークをまじかに控えた週末の出来事。
3年ぶりの本格的な観光をたのしむぞ!という気持ちも一緒に、冷たい海に突き落とされたような気持ちになった。何しろ、ほんの少し前まではこの海域は流氷の下。この時期は雪が舞うことも珍しくない。




「知床旅情」は森繁久彌の作詞作曲の曲。
50代の私は、森繁さんの活躍をリアルに知る最後の世代か。

冒頭の朝日新聞の記事で、森繁さんが私費を投じて映画「地の涯(はて)に生きるもの」を作ったとある。この映画の存在は、知っていたのだが、映画の内容までは知らなかったので、今回調べてみた。

もっと牧歌的な物語なのだと思っていた。しかし、森繁さんが作品を作ろうと思った「きっかけ」も壮絶だし、映画の内容もかなり厳しい。改めて森繁久彌という人が戦中・戦後を生き抜いて、その後を生きる人たちに大切なことを教えようとした人なのだと知る。(そして残念ながら、その思いはなかなか伝わっていない)

森繁久彌は加藤登紀子に思いを託した。慧眼だったと思う。
森繁さんが生み出した「知床旅情」は加藤登紀子が歌い継いで60年以上愛される歌となり、この先も歌い継がれることだろう。

平和であること、安全であること、安心して生活できること。
それがいかに難しいことなのかを思ってしまう。

権力を持つものが、その権力のもとに何かをしでかそうとする
安全性を担保するはずのものが軽んじられたり蔑ろにされたりする
それでも 私たちの世界はぎりぎりのバランスで回り続けるが
ある日 ちょっとしたきっかけで破綻する
そして、私たちが見過ごしてきた代償の大きさを思い知る。

知床旅情の歌詞でもある。「忘れちゃ嫌だよ」「私を泣かすな」

(おまけ)
加藤登紀子さんにはいくつもの代表曲があって、
「百万本のバラ」はロシアのウクライナ侵攻を思わせたりもする。
2022年は、加藤登紀子さんの歌が沁みる。

この記事が参加している募集

ふるさとを語ろう

サポート(募金)でいただいたお金は、 すべて「NPO法人眼瞼下垂の会」の運営に「寄付」します。