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小説の感想

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#アガサ・クリスティ

優しさと冷たさは見分けがつかない

優しさと冷たさは見分けがつかない

事件や殺人が起きるわけではないのに、とても怖い小説を読んだ。
アガサ・クリスティーの『春にして君を離れ』だ。

今まで理想の人生を送ってきたと思っていた主人公が、とあるきっかけから過去を振り返り「自分の人生は本当にこれでよかったんだろうか?」と振り返る話だ。

今までの自分の生き方は正しいと思っていた。人のためを思って自分のことはいつも後回しにし、相手のことを考えて、良き母親、良き妻で常にあろうと

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