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小説の感想

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感想や考察。長いのも短いのもあります。
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2021年6月の記事一覧

悲しみよ こんにちは

悲しみよ こんにちは

ものうさと甘さが胸から離れないこの見知らぬ感情に、悲しみという重々しくも美しい名前をつけるのを、わたしはためらう。

この感傷的でうっとりする書き出しから始まる作品を、古典恋愛小説と呼ぶには少し躊躇いを覚える
わたしには17歳の少女が自分の罪を告白するような内容に思えた
法では裁けない殺人を犯した告白のような

主人公のセシルは自分の父親が軽く、享楽的な人間だと知りながら、それに伴う共犯意識が愉し

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このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる

このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる

意味があるかどうかはわからないけどーー自分の中にある最高の自分に恥ずかしくない生き方をしてほしいってこと。

『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる』が収録されている、短編集が読み終わりました

とても、いい本だった 兎に角、とても

サリンジャーの作品を読む度に、自分の中にある少年性や少女性をまざまざと見せつけられてしまうし、………そして、私は何度も、何度も、何度も、ホールデン・コールフィールド

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