最強のエントリーモデル!Unique Melody 2HTをナカタクがレビュー
日本にもファンが多いUnique Melody
Unique Melodyは、様々な分野の技術開発が行われ経済特区にも指定されている中国珠海市に本社を置いているカスタムIEMの製造・開発メーカーです。いち早くダイナミックドライバーとバランスド・アーマチュアドライバーをどちらも搭載したハイブリッド型カスタムIEMを開発したことで世界中から評価されました。
国内では代理店がチューニングに携わったユニバーサルフィットモデル「MAVERICK」や「Macbeth」などがとても人気で、多くのポータブルオーディオファンの憧れとなりました。
新時代のエントリーモデル
今回レビューさせていただく2HTはUnique Melodyの新しいエントリーモデルとして開発されたハイブリッド型イヤホンです。
コンセプトとして音楽鑑賞だけでなく、テレビや映画鑑賞、ゲームをプレイする時など様々な場面で「音」を楽しめるようにチューニングされているようで、時代に寄り添った製品と言えるのではないでしょうか?
2HTの製品スペック
2HTの製品仕様
イヤホン筐体 / スタビライズドウッド
ドライバー / ハイブリッド型
ドライバー構成 / 2ドライバー Low(ダイナミック)・Mid/Hign(BA)
周波数特性 / 20Hz - 20kHz
入力感度 / 113dB SPL/mW
インピータンス / 10Ω
イヤホン端子 / Custom 2pin 端子
入力端子 / 3.5mmミニ端子
様々な場面でも楽しめるように、スマートフォンでもしっかりと鳴らすことができるようです。周波数特性は広く無く、可聴領域と言われる幅に収まっています。
細部にもこだわりが見られるデザイン
この価格のモデルにもスタビライズドウッドが使われる時代なんですね。このスタビライズドウッドはカスタムIEMのフェイスプレートオプションとしてポータブルオーディオ業界でも人気になった素材で、木材に樹脂を含浸させることで湿気に強く均一的な硬度を維持できると言ったものです。
樹脂に着色することで独特な華やかさがあるデザインに仕上がり、個体によって木目が異なる点でも所有欲を満たしてくれる素材でもあります。2HTには落ち着いた紫に着色された木材とビビッドなオレンジの樹脂が組み合わされており魅力的な仕上がりです。
また、ケーブルのプラグなどにも蛇柄のような装飾がされており、エントリーモデルとは思えない出来の良さを感じることができるのではないでしょうか。
ネガティブな点が見つからない…?
手持ちのAK70MK2に接続して試聴してみました。
■試聴曲 [Alexandros] / 『閃光』 24bit/48kHz
無駄に膨らまず、別のトラックと上手く分離されたボーカルが軽やかにセンターから響いてきます。ふとした瞬間のブレスからピークの張りまで繊細に表現されており、わかりやすく良質な声の表現だなと感じました。
左右に配置されたギターのトラックも上手く分離されており、音場表現もイヤホンにしては広く感じられました。リードもバッキングも悪目立ちせずに馴染んでおり聴き心地がとても良かったです。
ベース、ドラムは迫力があるのに、抜けがよく「スピード感」が好印象で、ギターと同様に別トラックを一切邪魔せずに配置された場所で周りと馴染みながら響いており、上手く調整されているなと関心しました。
特に気に入ったのは、イントロのスネアドラムとシンバルの余韻と空気感が感じられる丁寧な響き方。この辺りの表現は金属筐体のイヤホンの方が得意なイメージがありましたが全然負けていませんでし、適度な残響感といった点では2HTの方が好みかもしれません。
ここまで書いてみて「あれ?ポジティブなことしか書いて無くない?」と気づいたのですが、このイヤホン、弱点らしい弱点が見つからないんです。定位も、各帯域のバランスも、音場も、解像度も良いんです。
強いていえばモニターライクな傾向があるので「とにかく低音が欲しい!」という方にはややあっさりしているかもしれませんが、その程度だと思います。こんなに出来が良いイヤホンがエントリーモデルとは恐ろしいですよUnique Melody!
評価が良すぎて逆に不安になってしまったので、もう一曲聴いてみました。
■試聴曲 SUPER⭐︎GiRLS / 『ときめきHighレンジ!!!』 24bit/48kHz
女性のみでトラック数が多いボーカルと、打ち込み音がバックサウンドのメインになっているので先ほどの試聴曲とはガラッと雰囲気が変わります。
また、SUPER⭐︎GiRLSの楽曲はレコーディング・ミキシングのレベルが非常に高く、レビューの試聴曲としても優秀だと思っています。特にボーカルトラックの配置は神がかっていて、定位表現がしっかりとしているイヤホンで聴くと感動できると思います。
本題に戻って試聴してみましょう。基本構成でセンターに3、4トラックボーカルが集まっているんですが、しっかりと分離して聴きとることができます。コーラスが左右に配置されていますが、こちらもセンター同様に各トラックの分離がされており素晴らしい定位感だと思います。
音の傾向が少しドライだったので、女性ボーカルには合わないかな?という不安もありましたが気になる程ではありませんでした。
打ち込みのリズムサウンドはズンズン響きながらも、目立ち過ぎない立ち位置で全体のバランスの良さが感じられます。このジャンルでも2HTのポテンシャルの高さを見せつけられました。
【総評】
とても万能でネガティブな要素が見つからないイヤホンでした。エントリーモデルとしては高額ですが一つ持っていて損はないと思います。