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渋滞の中で考える

ケニアに来てから、100日が経過しました。
雨の多いこの時期は、移動手段に車を使う人が増え、いつもより渋滞しています。
私が普段使っているUber Taxiは、利用者数に応じて一時的に料金が変動します。
悪天候の日に利用者は殺到するため、料金が通常時の2倍から3倍まで跳ね上がります。
さらに、渋滞にはまると乗車時間が長くなります。あるケニアのタクシードライバーは、基本料金に加えて、乗車時間に応じた上乗せを持ちかけてきます。
その根拠は、渋滞で損失した時間とお金を少しでも補うべきというものです。
それを根拠として理解できない人もいると思います。
私も、ずっと拒否し続けてきました。ただでさえ、基本料金が値上がりしているのに、余分のお金を払う必要はないと思っていました。

最近は、そういった場面が多く、毎回ぶっきらぼうに拒否していると、何か悪いことをしている気持ちになります。
そこで、タクシードライバーの置かれている状況を整理してみることにしました。相手の気持ちが分かると、相手への接し方が少し変わります。

タクシードライバーにとって、悪天候の日は利用者が殺到する、いわば「ゲリライベント」になります。某ゲームのように、なるべく短時間で周回して、より多くのお金を稼ぐことができるかもしれません。その大チャンスに群がり、多くのタクシーが出動していますが、良い結果につながっているかは分かりません。

悪天候の乗車中、このチャンスを棒に振ってしまっている、そんな焦りの気持ちがドライバーから私に伝わってきます。
せめて、その損失を少しでも取り返そうとやけになっているようにも見えます。

忙しなくストレートに聞こえる言葉に、ほんの少しの切実さを感じ取ることもできます。
そうすると、自分の感情は少なくとも無愛想ではなくなります。
ようやく最近になって、この感情を的確に言い表している言葉を見つけました。
それは、「慈しむ」です。

日本にいる時は、あまり意識しなかった言葉です。宗教色を感じる言葉に、少し抵抗感があったのかもしれません。
ケニアに来てから、感情を揺さぶる出来事が増えて、あの時はどうすれば良かったのか、自分の言動を振り返る時もあります。
日本での生活感覚が残ったまま、ケニアで生活していると不具合が生じることを学びました。
その不具合は、少しネガティブな結果に過ぎず、なぜそうなったのかを考えるきっかけになります。
そういう考える機会を通して、自分の新たな一面が見えることが成長につながっていると信じています。


(追記)同期の協力隊員から、活動のことは書かないの?と言われ、私はそれをリクエストのように受け取ったので、次回は協力隊員としての「国際協力」をメインにしたいと思います。

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