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はたけからうつわまで

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坂ノ途中の農家さん担当スタッフ・武岡が感じた、はたけからうつわまでのお野菜ストーリーです。
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ずっと会いたかったひと。

 京都から電車にゆられ、高知県四万十町にやってきた。    山奥で、一匹の犬、七匹の猫、十二羽の鴨と一緒に、築百余年の家に暮らしている。白髪まじりの無造作ヘアと、くしゃっとした笑顔が、とってもキュートな林真代さん。彼女はひとりで野菜を育てている。その野菜は、力強く、けれども柔らかい雰囲気があって、まるで彼女の人柄を表しているみたい。  私がすきなのは、香り豊かで存在感のある生姜。その生姜を主役にしたジンジャーシロップの商品化に、私はたずさわった。ありがたいことに、お褒めの言葉

はたけからうつわまで・白菜

 その白菜は、食べる前から様子が違った。まな板の上にころんと乗った小さめの白菜。白い軸のところがつやつやと輝いている。おや、なんだか美味しそう。思わず、生でかじってみた。あぁやっぱり美味しい。とてもみずみずしくてあまい白菜だった。これはやられた…。またか。またやってくれたな、今堀さんめ!  その白菜を育てたのは、大阪・能勢の須美ふぁーむ今堀さん。実は、彼の野菜にやられたのはこれが初めてのことではない。丸くてつやつやしたズッキーニに、株ごとのりっぱなセロリ。どちらも唸るほど美味

はたけからうつわまで・おまけの話

 わたしがお野菜セットを受け取って、いちばん気になるのは、おまけ。いつも、季節のハーブや果物がちょこっとだけ入っている。今日のおまけは何だろう。子どもの頃から、おまけというものに、つい心くすぐられてしまう。たいしたことはないんだけれど、なんだか嬉しい、そんな存在。    ミント、キウイ、生姜、辛い唐辛子ミックス。さまざまな香りや色で、食卓を華やかにしてくれる、おまけのいろいろ。少ししかないから、どう使うか、じっくり考える。たとえば、レモングラス。はじめに手のひらでパンと叩いて

はたけからうつわまで・箱をあける楽しみ

 お野菜セットのなかに東さんのれんこんを見つけて、胸が小さくおどった。このれんこん、ちょっと厚めにスライスして、じっくりじっくり焼くと、最高に美味しくなる。  私がお野菜セットのユーザーになってから1年半(定期宅配を申し込んでいるスタッフ、結構います)。毎回、届くたびに、お野菜の種類は変わっているし、同じ野菜でも農家さんが違っていたりするから、箱を開けるのがものすごくワクワクする。  こういう気分って、普通の買い物だと絶対に味わえない。  スーパーマーケットに行くときは、メニ