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温泉小噺 やさしい場所2

ジモ泉(地元温泉)は、地域の人にとって
日常生活の場なので、もちろんゆっくり入ってる人もいるが、
チャチャッと洗ってトプンッと浸かってサッと出る人も多い。

今日は、私と、もう一人の顔なじみのおばちゃん。
その後、時々顔を見るおばあさんが来た。
こんにちは、だの、雨がいやだね、だのひととおり挨拶したあと、
「今日は朝からものすごく忙しくてね、○○(地域の名)に行ったり、
○○を取りに行ったり、ずっと動いてて、お昼ご飯を食べそびれてる」
と言う。
今、16時ごろだ。
「それでなんだか力がでなくてふらふらで、お風呂も迷ったんだけど
動きまわって汗かいたしやっぱり入らないと気持ち悪いしで、
やっとたどり着いたわ。」
確かになんだかお疲れの様子。
先にきてたおばちゃんが言う。
「あらら、空腹でお風呂はいったら危ないでぇ」
「うん。車にパン載せてきたんだけどな。お風呂あがって食べようと思って」
「先に食べたらよかったにー」
などなど会話しながら、結局3人でほぼ同時にお風呂から出る。

先にきてたおばちゃん、いつもは短時間でサッサとあがる人だ。
たぶん、空腹おばあちゃんが出るまで付き合ってくれたんだと思う。
私たちが先に出ちゃうと、誰もいなくなって危ないもんね。
おばあちゃんの着替えも、だいたいがゆっくりゆっくりだが、
無事に着替えも終わるまで、だらだらおしゃべりしつつ更衣室で過ごす。

やさしい時間。やさしい場所。

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