三霊泉五名泉投票・終盤戦S5.6.29

昭和5年6月29日の新聞より

三霊泉五名泉投票

栄冠か?失格か?

締切り前に突撃追撃いよいよ急

栄冠か?失格か?締切りの切迫とともに各温泉は異様な緊張を示し突撃追撃いよいよ急に火を吐く如き熱戦を続け3万4万の巨弾は火花散らして乱れ飛ぶ この日八位にあった根崎は4万2千という開票以来かつて見ざる驚異的得票をもって昆布子宝の強敵を断然屠りて第三位に躍進したがカルルス洞爺危しの報しきりである その他雨宮豊富共に善戦ゴールは近い、いま一息である、倦まず撓まず歩を進むるも密かに期するところあればこそ、ここで息を抜いたものは長恨の悔を残すことになるであろう(廿八日正午までの成績)

 1位(→0 +5020)
        91120 洞爺 洞爺湖温泉
 2位(→0 +9788)
        89087 幌別 カルルス温泉
 3位(↑5 +47260)
        87277 銭亀沢 根崎温泉
 4位(↑1 +10530)
        72016 豊富 豊富温泉
 5位(↓2 +1293)
        71751 登別 子宝湯
 6位(↓2 +4657)
        71486 南尻別 昆布温泉
 7位(↓1 +12801)
        64269 軽川 光風館 
 8位(↓1 +12155)
        61587 音更 雨宮温泉
 9位(→0 +742)
        41754 士別 瀧不動温泉
10位(→0 +0)
        34313 鹿部 鹿部温泉
11位(→0 +798)
        31348 鴛泊 利尻冷鉱泉
12位(→0 +0)
        24008 留寿都 及川温泉
13位(↑2 +3379)
        22358 岩内 堀株温泉
14位(↓1 +1193)
        20809 小樽 山屋温泉
15位(↓1 +1496)
        20635 歌棄 歌棄温泉
16位(→0 +0)
        18560 留辺蘂 温根湯
17位(→0 +0)
        15881 舌辛 雄阿寒温泉
18位(→0 +1411)
        11664 幾春別 神仙閣
19位(→0 +1199)
        10842 上富良野 吹上温泉
20位(→0 +12)
         6651 弟子屈 弟子屈温泉
21位(→0 +600)
         6498 和寒 塩狩温泉
22位(→0 +1002)
         6403 蘭越 新見温泉
23位(→0 +982)
         6102 倶知安 二世古温泉
24位(→0 +0)
         5044 寿都 湯別温泉
25位(→0 +564)
         4921 椴法華 恵山温泉
26位(→0 +0)
         4219 上士幌 糠平温泉
27位(→0 +0)
         3485 落部 銀婚湯
28位(→0 +0)
         3270 支笏湖 大川原温泉
29位(→0 +0)
         3150 野付牛 若松冷泉
30位(→0 +0)
         2896 千歳 支笏湖温泉
31位(→0 +2)
         2598 富良野 松壽園
32位(↑外 +98)
         2454 上湧別 富美温泉
33位(↑外 +1019)
         2414 定山渓 薄別温泉

(以下省略)
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投票期間が残り一週間を切り、トップ争いがさらに激化しています。台風の目である根崎温泉が凄まじく、わずか2日で7万票も増やしました。この勢いなら上位を維持できそうか…いや、まだ分かりません。
それにしても、この記事を噺家さんにテンポ良く読んでもらいたい。
連日の結果と共にお伝えしたら、かなり面白いだろうなぁ…。

毎日の得票数が目に見えて多くなってきたので、いままで1行で済ませていたものを2行で表記するように変更しました。これで、スマホでも少し見やすくなったかと…そうなっていたら嬉しいです。

さて、今日の温泉小ネタは堀株温泉です。読みは「ほりかっぷ」。
昭和52年発行の北海道立地下資源研究所による「北海道の地熱・温泉」には、この温泉について「昭和初期に掘られた孔井から、泉温23.7度の微温泉が湧出し、これを加熱して堀株の湯と称して付近住民の浴用に利用され、昭和20年頃(1945)まで続いていた。(中略)昭和初期に掘られた旧孔井は掘さく深度が150mと云われているが昭和31年に行われた温度検層のときは、深度85m以深が崩壊していて、泉温23.7度のものが240リットル/分自噴していた」えっ、まだ湧いてる…?謎が一つ増えました。

営業していた当時の文献を探すと、昭和7/8/9年の「北海道温泉案内」の中で紹介されています。いずれも同じ文章で「呼吸器病、神経痛、皮膚病、胃腸病に効く塩類泉で、加熱して浴用に供している。古宇連峯を負い、堀株川に面し、西に日本海を望む高台にあり、老松に囲まれていてその間からは雷電岳を望見することができる。泉松閣という旅館があって、宿泊料は1円30銭から3円である」。

昭和5年の後志大観には、堀株温泉の館主であり、さまざまな事業を営んでいた中村成吉について「その終生の事業とする堀株温泉には昭和2年春浴槽を新設し園木園地を整える等将来岩宇における一大楽園たらしむべく常に全力を傾注しつつあり」とあり、なんと建物の写真も載っています。

画像1

新築でこんな家がありそうな、令和の今でも通じるかわいらしいデザイン。
ただ昭和12年の温泉ガイドに既にその名前はなく、いつまで営業したのかは今のところ知りません。今後も調べてみたいと思います。
堀株地区ではその後も温泉掘さくがされていますが、温泉施設は存在していません。入りたかったなぁ。

※この投票は90年前に終了しています!

温泉経営者だった経験を生かし、北海道の温泉をさらに盛り上げる活動をしていきたいと思っています。サポートしていただけたら嬉しいです!