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e-温泉マイスター 金泉、銀泉、有馬温泉

金泉、銀泉、有馬温泉

             e-温泉マイスター  兵庫県  駿川 ゆき

 兵庫県神戸市の北部にある有馬温泉は、関西の奥座敷として長く親しまれています。
 日本を代表する温泉の一つであり、日本書紀・風土記等に登場する「三古泉」(有馬・道後・白浜、※別説あり)、平安時代の枕草子記載の「三名泉」(有馬・玉造・榊原、※別説あり)、江戸時代の儒学者林羅山が評した「三名泉」(有馬・草津・下呂)、そして「三大薬泉」(有馬・草津・松之山)に挙げられています。

 環境省が「療養泉」として定義している10種類の泉質分類うち、有馬温泉は、単純温泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、含鉄泉、放射能泉の7つに該当しており、多くの成分が混合しています。

 その有馬には、「金泉」と「銀泉」があります。「金泉」は、有馬温泉古来の鉄分と塩分を多く含む温泉で、湧き出し口では無色透明ですが、空気に触れると酸化して変化する独特の赤茶色から「金の湯」に見立てられています。一方、それ以外の透明なままの温泉は「銀泉」と呼ばれ、主に炭酸泉やラドン泉です。特に炭酸泉は、近づく鳥や虫が動かなくなることがあり、かつては毒水ではと恐れられていました。しかし明治初期に有用性が証明され、以後飲用や土産物への加工等にも活用されています。

 近畿地方の中南部には、目立った火山活動は無く、いわゆる非火山性温泉です。その中でも、有馬温泉やその周辺は、有馬型温泉として、世界的にも特徴ある区分と言われています。
 火山地帯でないのに高温で、塩分濃度の濃い有馬温泉の考察が続いています。最近の研究では、太平洋側で海洋プレートが地下深部に潜り込む際に引きずり込んだ海水が、比較的新しいプレートの熱により分離され、周囲の物質を溶かし、断層に沿って湧出していると考えられています。600万年以上前の海水が、大地の恵みとして、山あいの有馬の地に湧き出しているのです。

 長い歴史の中では、地震や洪水、大火等で、何度も荒廃してしまったこともありました。
それでも、行基菩薩仁西上人、太閤秀吉公の力添えをはじめ、たくさんの人々が守ってきた温泉。これからも大切につないでいけたらと思っています。
e-温泉マイスター受講におきましては、たいへんお世話になりました。ありがとうございました。

参考:
有馬温泉について | 有馬温泉観光協会公式サイト (arima-onsen.com)
有馬温泉吉高屋ホームページ
有馬まちなみ景観委員会報告書
日本温泉協会温泉検定テキスト
KOBECCO2021年11月号「不思議の湯、有馬温泉その謎を地下から解く」(巽好幸氏)

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