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こんにちは。
ロウリュガールちづるです。
当ブログ「onsen* journal 」に私が筆を執るのは最終回となりました。

最期は入浴剤Onsen* との想い出&お風呂文化に対する願いを記します。
写真なしの少し長い文面となりますが、よろしければお付き合いください。

家庭用入浴剤Onsen*と銭湯がコラボしたワケ

入浴剤Onsen*は元々は家庭用しか製造されていなくて、私が銭湯で勤める以前から個人的に愛用しているプロダクトです。

ある日ふと「この入浴剤を銭湯の大きな湯船でも味わえたら、もっと気持ちいいだろうなぁ」と思い、販売元の株式会社アジケさん(以下アジケ)に業務用を作ってもらえないかと相談したところ、社長の梅本君は「面白そうだからやりましょう」とほぼ即断即決で話が進みました。

業務用入浴剤1回の最小生産量は、なんと300kg!
私の勤務先「みやの湯」での入浴剤使用量は1日500gぐらいだから300kgは600日分。
毎日使用しても使い切るまでに2年かかるという量です。

無茶なお願いというか勇気が要ることを、なんとまぁ気楽に相談したものだなーと、今思うと自分の行動とは信じがたいです(笑)。
そんな途方もない提案を快諾してくれた梅本君の勇気と男らしさに往々にして感心させられ、決して楽ではない日々の活動の原動力のひとつになっています。

家庭にお風呂が普及するに従って銭湯は減少している時代なのに、家風呂を充実させるツールでもあるOnsen*の入浴剤&入浴アプリが銭湯とコラボするというのは不思議な気がするかもしれません。

「人にとって豊かな体験をデザインすることで”味気のある世の中”をつくる」というアジケさんの理念や「入浴を通して毎日豊かに」というOnsen*のコンセプトと、「湯船に浸かる習慣で健やかになれる」「銭湯の湯船はより一層の効果があるから絶やしたくない」という私の活動目的は、芯の部分で一致しているのだと思います。

Onsen*が結んでくれた数々のご縁

「好きすぎる入浴剤を業務用にしちゃったら最小生産量が300kgで…」と日の本湯さん(大阪府守口市)にお話したら、店主の飯田さんがたくさんの銭湯さんに声をかけてくださいました。
そのおかげで、業務用のOnsen*を入れて頂ける銭湯さんがすぐに集まりました。

私個人のSNS等も使って全国の温浴施設さんからの参加も募り、最終的には計20施設で実施してもらうことができました。

参加してくださる施設様の負担をできるだけ少なくしたいのと、自分がその施設で入浴したいという趣味の欲もあり(笑)、関西圏の施設様には入浴剤を自身で持参しました。

メールやDMのやり取りだけで済ませることもできたのですが、実際にお会いできる方が感謝の気持ちを伝えやすく、本来の人間らしさというか”味気”があり楽しかったです。

むらさき湯さん(京都市北区)の女将さんは最寄り駅まで送ってくださって、その道中で「悩み事とかなんでも相談したり頼ったりしてね」と言ってくださったのですが、あの時の女将さんの優しいお顔とお声、今でも時々思い出して目頭が熱くなります。

遠方のため持参も入浴もできなかった施設様にも、いつか必ず個人的に伺いたいと思っています!

参加希望の連絡をくださったけれど、実施日までに廃業しなければならなくなった施設様もあり、連絡を頂けただけでもありがたいのでお礼に伺いたいですが、もうそちらで入浴することは叶わなくなってしまいました。
ご担当者さんは元気になさっていたら嬉しいなと、時折思い出しています。

Onsen*のおかげで関西圏だけでなく、全国の同業者の方々と知り合うことができました。
それを機に別の変わり湯イベントに招いて頂いたり、設備や清掃の悩み相談に乗って頂いたりしています。
Onsen*と銭湯のコラボイベントがなかったら、自分の銭湯での業務内容はもっとレベルが低かったと思います。

最初の橋渡しをしてくださった日の本湯の飯田さん、Onsen*イベントにご参加くださった全国の温浴施設様、コラボイベント終了後もOnsen*を定期的に使ってくださった千代の湯さん(東京都荒川区)、ありがとうございました。
この場を借りて改めて御礼を申し上げます。

湯船につかる文化に対する願い

銭湯の湯船は大きくて深くて気持ちがいいのに、なぜお客さんが減っていくのかな?
家にお風呂があるからなのか?
銭湯に勤めながらずっと考え続けている問いです。

銭湯が減少する原因はひとつではないのですが、家にお風呂があってもシャワーだけで済ませている人が非常に多いらしく、日本の入浴文化自体が廃れつつあることも原因のひとつかもしれません。

世の中はどんどん便利になって、時短できる家電やら食材やらがたくさん生まれているのに、いつまで経っても人間は忙しくしています。
むしろ便利になればなるほど忙しくなっているのではないか?と感じることも多いです。

昔の方が不便で、何をするにも今よりも手間や時間がかかっていたはずですが、その頃の方が皆ゆっくり湯船に浸かっていたように思います。
昔にはなかった疲れがある現代人こそお風呂でゆっくりリラックスできた方が良いのに…。

家のお風呂よりも効果効能が大きい銭湯などの温浴施設に入浴し行ってほしいですが、時間や費用のことが人それぞれあるかと思いますので、家でもいいから自分を労る湯船習慣を持ってほしいです。

そして心身の悩みが少しでも軽くなって暮らしが豊かになる人が増えることを願っています。

様々なタイプの温浴施設がありますが、町の銭湯は距離的にも値段的にも最も身近な存在で、毎日の疲れを気軽に癒しに行ける場所だと思っています。
軒数が少なくなって物理的な距離が遠くなるほど、時間を割いて頑張って行く場所になってしまい、多くの人にとっての手軽に健康維持する機会の損失に繋がるのではないかと考えています。

私が銭湯を日本に残していく活動をしている理由のひとつです。

アジケさんが私にOnsen*の入浴剤やアプリには関係なくお風呂全般のことを自由に書かせてくださっていたのは、生活スタイルや好みは十人十色なので、家のお風呂と銭湯などの温浴施設が共存することで豊かな毎日を過ごせる人が増えることを願っているからだと思います。

きっと私の活動を応援する意味でもこの仕事をくださっていたと思います。
アジケさん、梅本君、ありがとうございます。

約1年半担当いたしましたが、拙いも文章にも関わらず読んでくださった方々にも心から御礼を申し上げます。Onsen*の入浴剤とアプリを今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
本当にありがとうございました。


löyly girl(ロウリュガール)
「湯快な毎日」がモットー。
銭湯で毎日温浴をするようになってから身体の様々な悩みが寛解し、銭湯を後世に残す重要性に気づく。温浴の素晴らしさを伝えていくために銭湯で働いています。ゆとなみ社(みやの湯・門真市)勤務。
https://twitter.com/loylyg
https://instagram.com/loyly_girl

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